映画『ポッピンQ(公式サイト)』のBlu-rayが予約開始ということで。↓

ポッピンQ Blu-ray *豪華版
エイベックス・ピクチャーズ
2017-06-02


 こちらの昨年(2016年)のアニメーション作品ベスト記事で、第5位にも選んでいたりした作品です。↓


参考:2016年「アニメ作品」ベスト10〜過去の悲しい出来事を受け取り直し始める震災から五年後の想像力(ネタバレ注意)


 単独記事で感想をまだアップしてなかったので、上の記事の該当部分を再掲しておきますね。

 作品単体でも楽しいですが、『プリキュアシリーズ』『仮面ライダーシリーズ』、もっと遡って石ノ森章太郎作品(東北の想像力!)とか、オマージュ元などを知ってるとより楽しめる感じの映画でもありました。

 以下、ネタバレ注意です。
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 昨年のアニメーション作品によく見られた、「過去」を「受け取り直す」という要素に関して。

 本作における「過去」は、メイン五人がそれぞれに抱えていますが、主立って焦点があたるのは、伊純の「最後の陸上の試合で勝つことができず、自分に嘘をついている」という「後悔」の「過去」と、沙紀のかつてのダンス仲間から排斥されてしまったという、「共同体」崩壊にまつわる「過去」です。

 舞台となる「時の谷」は、未来沙紀と過去沙紀の両方から干渉を受けているという、これは『劇場版 艦これ(参考:過去世と未来世が相互貫入し合う波打ち際の仮構世界だとしても〜『劇場版艦これ』の感想(ネタバレ注意) )』の虚構的・ループ的・仮構的世界とほぼ同じ設定なのですが、本作だと未来の沙紀がだいぶ絶望していて、いかんことになってるのですね。

 そういう状況で、「過去」を受け取り直して、ちゃんとしてから前に進み始める物語です。たとえ、「未来」に絶望が待っているとしても、です。

 「過去」の受け取り直し要素は沙紀でも描かれますが、こっちは伊純からの承認という形なので(そのおかげで、一度は「共同体」崩壊を起こした「過去」があっても、その上で「他者」をもう一度信じてみようと思えるようになる)、一番の焦点は伊純で描かれています。

 かなり明確に、それこそ『君の名は。』を念頭に置いてるのか? というくらい、「過去をなかったことにしてやり直すか」それとも「やり直さずに今の友達を選ぶか」という選択肢が伊純に提示されて、伊純は後者を選ぶ、というプロセスが描かれます。

 そこからバトル展開になる(端折り過ぎ!?)飛躍がある作品なのですが、そこで主人公の伊純に立ち現れる能力がダッシュ=「加速」で、これは石ノ森章太郎は『サイボーグ009』の島村ジョーの「加速装置」のオマージュかと思います。ここが、東映さんが「過去」の宮城県は石巻出身の石ノ森章太郎氏の「ヒーロー像」を継いでくれたんだな! と個人的に一番熱かったシーンです。東北の想像力は、「東映」さんの中で東京の想像力と共に生きてるんや……! 伊純、よく見ると赤いマフラーも巻いてますし、もろに「仮面ライダー」含む、石ノ森章太郎系の「ヒーロー像」の2016年版の顕現なのですね。

 そして、石ノ森章太郎系のヒーローは内に弱さも抱えながら生きていきますので、伊純も、自分が嘘をついていたことについて、「なかったことにする」のではなくて、「今」でしっかりと認めるシーンが描かれます。その上で、沙紀の元に走る。人が強くなれる理由を、こういう「地道な」要素で描いてくれたのが良かった映画です。ともすると、人間は自分の弱さを認めることを避けてしまいがちな生き物ですので。

 「過去」は「後悔」や「嘘」といった良いことばかりではないかもしれないけれど、そういう清濁の濁も含めて受け取り直した時に、「過去」の高潔なるもの、『009』も受け取ることができる。大事な「今」、友の元へ加速できる。良い映画でした。

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