そこにはまたあの少女が佇んでいた。

 紫の髪を佳麗に伸ばして、サラファンと呼ばれるロシアの民族衣装を纏い、閑雅なまなざしでジョーを見つめている。この少女が何者なのかも、今ではもう知っている。

 一度目の再会の時、この場所は晴れていて。二度目の繰り返された再会の時は、雨が降っていた。そして、この数多の輪廻の果てに辿り着いた、三度目の彼女との邂逅は、雪景色の中だった。彼女は傘もささないで。降り続ける雪アカリにその身をさらしていた。

 しんしんと。

 しんしんと。

 冷たく。柔らかく。雪がジョーと彼女を包んでいる。

 彼女はこの幽寂の地で、自分を――宮澤ジョーを待ち続けていた。

「全て、思い出したよ」
「ジョー。どこかで私はあなたに思い出してほしくて。どこかで忘れたままでいてほしかった」

 第251節(第248節)「三度(みたび)不思議な世界〜非幸福者同盟」/「カクヨム」および「小説家になろう」にて4月29日(土)に公開。(小説『非幸福者同盟』)


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 ティザー的に。

 作品タイトルコール回。

 長かった第十一話「君の名前は」も、この節を入れて残り二節となります。

 第一話から登場していた紫髪の少女の(歴史建造物としての)真名が判明する回でもあります。

 本作の構想は2013年くらいからになりますが、この場面を実現できるところまで辿り着けて良かったです。

 あと二節更新したら、一週お休みをもらいつつ(予定)そのままラスト二話(/全十三話)に突入していく予定です。

 読めるところをまとめておきますね。↓


小説『非幸福者同盟』/カクヨム

小説『非幸福者同盟』/小説家になろう

小説『非幸福者同盟』イントロダクション&登場人物紹介


 累計40000PVまでも、もうちょっとです!
 是非ぜひ。

 ションさん(Twitter)が作ってくれたイメージ曲(short ver.)なども引き続きよろしくです。↓

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