townslightshyoushi

 相羽です。

 昨年夏に(ほぼ)毎日更新でWEB連載していた小説『こちら街アカリの復興部!』の「改稿版」を、改めてWEB連載中です。

 今回から新しく読んでくださる方はもちろん、昨年のヴァージョンから今回の改稿版はだいぶ変わってるので、もう一度読んでやるかという方も各々のタイミングで読んでやって頂けたら喜びます。「ノベラボ」様は(スマホからも)縦書きで読む仕様で、けっこう雰囲気がありますよ。

 本日は第22節/祈(イノリ)という人間 (1,862文字)……をアップです。本日は「青春・友情」18位ありがとうございます!)

 この後も、毎週、月、水、金に一節ずつ更新の予定となります。

 小説『非幸福者同盟』ともども、こちらの方もよろしくお願いします。

 「ノベラボ」様で読むページはこちらをクリックでお願いします。↓


こちら街アカリの復興部!/ノベラボ


 以下、軽く去年公開していたヴァージョンと今回の「改稿版」の違いなどについてライナーノート。
・第22節/祈(イノリ)という人間

 →節タイトルに名前が出てきている通り、祈が一番掘り下げられている節ですね。

 やっかい文学少年みたいになってますが(笑)、ただの柔和に笑ってる男ではないという辺りが出せていたらと思います。あと、彼がそういう部分を出しやすいのは奈由歌の前だという辺りも。


---

「ナユカの、そーゆーあっけらかんとしたところは好きだけどねぇ」
「御曹司とやらと比べなくてよいよい。イノリは、私と結婚して子孫を残せばよいよい」
「ま、その話はまた今度ね」
「いつもはぐらかされるな〜」

 やがて二人が待ち合わせ場所――再開発地区にある、冬の間は凍結している噴水の前に辿り着くと、目的の女性は待っていた。

 真雪は傘も差さずに、シンシンと雪が降る中に立っていた。首元の紅いストールが、雪の上に咲いた鮮やかな花のようである。先日部室で話した時には、稚気と紙一重の少女性を感じさせられたが、ようは純真なヒトだということ。それなりにドス黒い世界も見てきた祈には、その存在の純粋さが、危うくも感じられる。強者が吐き出す原色のドロドロとしたものに、そのままでは塗りつぶされてしまうような白色の女性。しかし一方で、そんな殺伐とした現実に現れた「ゆらめき」を前にした時、彼女を襲う「澱み」があるなら払ってやりたい。岬(みさき)祈(イノリ)は、現実社会との齟齬を軽減するために、アルカイックな笑みを浮かべていることが多い外見とは裏腹に、心の内にそんな気高い童心を持ち続けたまま成長してしまった人間だったりする。

 彼女の姿をしばし遠目に眺めると、やがて祈は、ハっと何かに気づいたようだった。

「なるほど、駒子(こまこ)」


---


 この辺り、僕は好きなんですけどねw。

 劇中に文学の話が出てくるのと呼応して、この節の文章自体が文芸調になってるという演出にもなってます。

 ふだん、この作品はライトノベルと文芸の中間くらいですと言うことが多いのですが、この節はグっとさらに文芸寄りですね。文体、息遣い、構築、現時点の僕の文芸表現の粋みたいな感じの節になっております。

 うんうん。やっかい文学少年、近くにいたものですよね!

 「改稿版」、よろしくです!↓


こちら街アカリの復興部!/ノベラボ