相羽です。

 アニメ『中二病でも恋がしたい!(公式サイト)』の新作劇場版が発表されました。↓

 以下、記事中には『中二病でも恋がしたい!(戀)』および『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』のネタバレを含みます。

 『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』が一部「中二病」的な要素がある作品だと放映当時語られていたこと。『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』の主人公のルルーシュの役者さんは福山潤さんであること。

 その福山潤さんが『中二病でも恋がしたい!(戀)』では主人公の富樫勇太を演じていること。『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』の「ギアス」が、『中二病でも恋がしたい!(戀)』の「邪王真眼」と(絵的に)重なる感じに描かれていること。

 以上のことから、『中二病でも恋がしたい!(戀)』は一定の『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』のオマージュ表現が見られる作品と解釈することができます。

 そういう視点で観てみると……
 ルルーシュの「ギアス」は(両瞳ギアスになる前は)左眼なんだから、六花の「邪王真眼」も左眼に揃えた方がオマージュとして綺麗なんじゃ? って一瞬思ってしまうのですが、六花の「邪王真眼」は右眼なのですね。

 ここで、思い出してほしいのは、当ブログの『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』感想(6万ユニークアクセス以上してる、人気記事だったりです……)で書いていた、ルルーシュの左瞳(ギアス)は「強制意志」の象徴、右瞳は「自由意志」の象徴……という演出が劇中で成されているという話です。

 『コードギアス反逆のルルーシュ(R2)』では、主人公のルルーシュの能力ながら他者の「自由意志」を剥奪する「ギアス」はどちらかというとネガティブなニュアンスで描かれており、劇中でルルーシュが他者の「自由意志」を剥奪するような場面では「ギアス」の左瞳がアップになり、逆に他者の「自由意志」を尊重する(シャーリーとかカレンには「ギアス」は使わない的な)ようなシーンでは右瞳がアップになる……という演出が使われていたのでした。

 その流れからオマージュとしての『中二病でも恋がしたい!(戀)』への接続を考えてみると、『中二病でも恋がしたい!(戀)』では、六花の「邪王真眼」は、「ギアス」的に相手の意志を剥奪する類のものかというとその逆で、「自由意志(中二病的イメージ世界)」の発露として描かれているのですね。だから、こっちは右瞳の設定でいいんだろうなと。

 近年の京都アニメーション作品の一つのテーマは「虚構(イメージ)」と「現実(リアル)」の「全体性(バランス)」の回復ですが、『中二病でも恋がしたい!(戀)』も、「邪王真眼」的なもの(中二病的イメージ世界)と現実(リアル)との縫合・調整の物語として捉えられるような作品でした。

 これは象徴的に表現してみるなら、右瞳と左瞳のバランスの物語で、だけど両瞳があるから世界は立体的に見えるんだ、みたいな話です。

 発表された劇場版のあらすじが、もろにこの「虚構(イメージ=中二病のままでいること)」と「現実(リアル=高校卒業が迫る)」の対立から始まり、「全体性」を模索するような物語になっていそうな感じだったので、とても楽しみなのでした。

 当ブログの『中二病でも恋がしたい!』の感想はこちらです。↓


中二病でも恋がしたい!感想


 合わせて、「ねざめ堂」さんのこちらの記事なども参照にしておくと、より楽しめるのでありましょう。そうでしょう。↓


「好き」を続けていくために 〜『中二病でも恋がしたい!戀』感想/ねざめ堂

「連関天則」の意味するもの 〜『中二病でも恋がしたい!戀』感想◆燭佑兇疇


 劇中の「中二病」言葉は、あ、中二病なんだな(笑)……で十分楽しめるんですが、裏のレイヤーとしてけっこうちゃんと意味があるというテクニカルな作品です。

 僕は七宮智音が「魔法魔王少女ソフィアリング・SP・サターン7世」と名乗るのに、「ソフィア」、つまり西欧世界観で「マリア」と対になる東方的全体性の女性像「ソフィア」の概念の意味で解釈すると色々筋が通ると気づいた時に戦慄しましたよ。この作品も、近年の京都アニメーション作品で描かれている「(合理論的な)二項対立の無化」要素が入ってる作品(『境界の彼方』など)だったりだったという。

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・発表された続編『コードギアス復活のルルーシュ(公式サイト)』の前の予習に↓

ルルーシュ生存説・まとめ6万ユニークアクセス超え人気記事

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2016年「アニメ作品」ベスト10〜過去の悲しい出来事を受け取り直し始める震災から五年後の想像力(ネタバレ注意)


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