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 相羽です。

 メインクエスト「第六特異点A.D.1273―神聖円卓領域キャメロット」をクリアいたしました。

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(画像は『Fate/Grand Order』より引用)

 奈須きのこ氏本人執筆による、まさに『Fate2』とでもいうようなシナリオで、充実した体験でした。

 TYPE-MOONのスマートフォン用ソーシャルゲーム、FGOこと『Fate/Grand Order』の感想・プレイ日記です。公式サイトはこちら。↓


『Fate/Grand Order』(公式サイト)


 シナリオ上「セイバーモニュメント」が沢山手に入った(円卓の騎士=強敵のセイバーとたくさん戦う)ので、無事我がカルデアの沖田総司さんも最終霊基再臨。

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(画像は『Fate/Grand Order』より引用)

 今年の春くらいに沖田さんをゲットしてから『FGO』再燃したんだったのでした。

 「第六特異点」はラスボスがランサークラスだったので、クイックカード&クリティカルで斬りまくってめっちゃ活躍してくれました。

 それでは以下、メインクエスト「第六特異点A.D.1273―神聖円卓領域キャメロット」の感想をば。
(ストーリーの感想、ここから。(ネタバレあり)/)

 歴史上の「十字軍」近辺(A.D.1096〜1270頃)の構図ももちろん関係はしているのですが、むしろメインモチーフは第二次大戦後の一般的な区分だと「現代」に入る中東を扱っていると思われ、攻めてるな、と思ったシナリオだったのでした。

 リアルの方のイスラエル建国にはイギリスが関わっている(というか暗躍してるというか……)のは、ある程度歴史の勉強とかしてる人には前提知識だったりします。

 で、イギリスが一枚噛んでるどころか、ダイレクトにイギリス・オブ・イギリス、ブリテン・オブ・ブリテンたるアーサー王と円卓の騎士たちの「キャメロット」が、かの地に「聖都」を作ってしまった! というのがこの「第六特異点A.D.1273―神聖円卓領域キャメロット」です。

 「聖都」はそのまんま連想が可能だし、そうなると「山の民」はパレスチナ難民を受け入れる現地の人たちか……とか、色々と比喩を読み解いていけそうな物語でした。

 2016年〜2017年の日本発の一線の作品だと、『進撃の巨人』なんかもそうですし、中東のこと、シオニズムのこと、などなどを迂言的にでも扱うのはここ数年の創作作品の傾向とも感じます。

 「壁」とか、けっこうストレートな表現ですからね……。

 『FGO』も『進撃の巨人』も、もともと構成にあったのに加えて、ここ数年の中東情勢の変化(というか激化)を受けてタイミングとして意図的に組み込んでるのだと想像してみたりするところです。センシティブな題材だけに、攻めてるな、果敢だな〜と思ったりなのでした。

 ◇◇◇

 ざっくりとは、獅子王側、聖都側のテーゼが「部分救済」です。

 ベディヴィエール卿の回想に出てくるアーサー王(セイバーさん!)が既に、敵側のピクト人だって悪ではないのだけど、ブリテンというリソース(土地・食糧・富など)が限られている以上、自分たちの国を優先して救うしかないということを語っていますし。

 魔術王による人理焼却で人類史が消滅する中、善人だけを「聖抜」しロンゴミニアドの中で保管して守る……という獅子王のやり方も、聖都、槍の外は切り捨てるということですから「部分救済」です。

 『Fate/stay night』で現実に摩耗した側のアーチャー(エミヤ)が、あるいは衛宮切嗣がいたっていた、他を切り捨てて、少しでもマシな方のみ救うという「部分救済」です。

 この「部分救済」のテーゼは、『FGO』でも「第六特異点」以前に、たとえば「第三特異点」で物語の遠景に「Ark(=ノアの方舟)」が匂わされる……という感じで描かれていました。


参考:FGO感想・プレイ日記9〜第三特異点A.D.1573―封鎖終局四海オケアノスラストまで(ネタバレ注意)


 理想的なサンプルだけ、乗員枠が限られた「船」に乗せて、他は切り捨てる……的な方向の話ですね。

 これはこれで劇中で一つの正義として描かれますが、他に何か方法がないのか? というところで出てくるのが、「部分救済」に対して出てくる「全員救済」のテーゼ、というか「理想」です。

 『Fate/stay night』で衛宮士郎が追った「理想」ですね。

 『Fate/stay night』では、僕の解釈では結局桜ルートにいたっても、士郎は桜は救ったけど(「俺は、桜だけの正義の味方になる」)その代わりセイバーさんとイリヤとアンリマユ(とそれを守ろうとした言峰綺礼)は救えなかったということで、「全員救済」は達成されてなかったのですが。

 本『FGO』では、この「全員救済」がもしかしたら成し得るのかもしれないという可能性として、ざっくりとは人類史における「リソースの追加」が描かれています。

 イギリスという一つの島の分しかリソースがないんだというところから、新たな航路を切り開いて世界にリソースの還流をもたらしたフランシス・ドレイクさん(第三特異点)。

 エネルギーは限られてるんだというところから、電気を発明してきたニコラ・テスラさん(第四特異点)。

 優れた技術は一部の特権階級が使える分しかないんだというところから「大量生産」で普通の人にも使えるようにしていったトーマス・エジソンさん(第五特異点)。

 そして、食糧は限られた人間の分しかないというところから、宝具で米を大量に産出する今回「第六特異点」の俵藤太さん。

 いずれも、闘い以外の方法で「全員救済」を達成するための方法として「リソースの追加」ということをやってます。

 ご飯、食糧を作り出せる俵藤太をこそ、獅子王よりも、円卓の騎士たちよりも、あるいは衛宮士郎よりもカッコいい「ヒーロー」として描くこのシナリオは大変に熱いですね。

 ◇◇◇

 また「部分救済」と「全員救済」の対照の他に、長年の奈須きのこ作品読者的には、「理想」と「日常」の対照も見てとれます。

 獅子王側が、あまりに人間というものを「理想」として捉えすぎなのですね。あまりに人間を綺麗なものとして信じすぎているから、裏返しとして「理想」に届かない、綺麗じゃない人間は切り捨てて良いとなってしまう。これは、『空の境界』だと荒耶宗蓮 (あらやそうれん)側の思想です。

 『空の境界』講談社ノベルス版の笠井潔氏の解説に詳しいですが、この荒耶宗蓮の思想に対置する存在として出てくるのが黒桐幹也(こくとうみきや)で、こちらを笠井潔氏の解説では「日常」と呼んでいます。そんなに大したこともしないしできないし、綺麗でもないけど、自分にできることをやって、普通に、日常を生きてる人ですね。


 平凡な、当たり障りのない人生。
 けれど社会の中でそういう風に生きていけるのなら、それは当たり前のように生きているのではない。
 多くの人々は自分から望んでそんな暮らしをしているわけではない。特別になろうとして、成り得なかった結果が平凡な人生というカタチなのだ。
 だから――初めからそうであろうとして生きるコトは、何よりも難しい。
 なら、それこそが"特別"なこと。

 (奈須きのこ『空の境界』より)



 これが、『FGO』では主人公のぐだ男さん(ぐだ子さん)です。メインになってる対立軸は、『空の境界』から『FGO』までそんなに変わってない印象です。

 『空の境界』だと橙子さんがその中間の存在なのですが(荒耶宗蓮ほど、人間に「理想」を見ていない)、この中間的なポジションが『FGO』だとオジマンディアスさんかな。

 当初は獅子王と同じく自分の国の民だけ救おうとしていたんだけど、三蔵ちゃんが、オジマンディアスさんは獅子王と違って「民を見てる」と指摘するのね。ちょっと、普通より、「日常」よりの価値観も分かる人なのですね。

 三蔵ちゃんに、


 余の民を守る、じゃなくて――
 世界を守る、ぐらい言ったらどうなのよ、ばか――!(三蔵法師)



 ……と言われて、オジマンディアスさんが「部分救済」から「全員救済」に向って動き出すくだりも良かったですね。

 ◇◇◇

 最後は、これまでの特異点と同じように世界の「仮構性」に関して焦点があたります。この特異点での「旅」も、しょせん「偽史」「ニセモノ」に過ぎない。意味はあるのか? というような話です。

 この点に関して、物語も終盤なのでこの第六特異点では一歩踏み込んできておりました。

 まず、第10節「宴、西の村」でのマシュのこちらの台詞。


 その表現は、たいへん素晴らしいと思います。
 "記録に残らなくても意味は残る"……(マシュ)


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(画像は『Fate/Grand Order』より引用)


……たとえ、みんなから忘れられても。
 その時にあった気持ちが、今を積み重ねていくのだと。(マシュ)



 とも。

 三蔵ちゃんが、ざっくりとは仏教の「空(くう)」の話を要所要所でしたりしてる点。三蔵ちゃん、ギャグっぽいシーンでも、唱えてるのが般若心経だったりで、この世界の「仮構性」のテーマと連動してたりであなどれないのですよね……。

 概ね、やがて終わる「仮構」的、「ニセモノ」的な時間、旅、命だとしても、「意味」はあるということを言っています。


・劇中で「特異点」がやがて終わること。

・ブリテンが滅びたこと。

・さらに踏み込んで我々の命そのもの(やがて終わる)。

・そしてソーシャルゲームをやってるような時間(やがて終わる)


 全て重ねられています。

 なんでそれらに「意味」があるって言えるかと言ったら。

 物語の最終節。変化を拒絶して保存するという獅子王の正義に対して。


「……だが嘆くな。
 それが、人間(おまえたち)の幸福である。」

 「限りある命に永遠を。」

 「燃え尽きる命を凍りつかせて保管する。
 その価値が変動(おちぬ)ように停止させる。」

 「それが命を護るという事。
 人間を護る、究極の結論だ。」(獅子王)



 ぐだ男さんでも一歩怯みかけたところで、マシュが前に出ます。獅子王の理論を反駁するのは、自分自身も人より早く命が終わってしまうことを知っていたマシュ。


 終わりは無意味ではないのです。
 命は先に続くもの、その場かぎりのものではなく!(マシュ)


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(画像は『Fate/Grand Order』より引用)


 ルシュド君がマシュが守りたいものの象徴なんでしょうね。その一点で獅子王の理論を反駁。

 ここで特殊演出が入ってマシュの宝具が覚醒。ゲーム的にも宝具Lvが2に……! の演出がカッコ良かったですよ。

 「部分救済」のバッドエンドイギリス(ブリテン)たる獅子王に対して、人理を守るというマシュ。マシュの方が守る範囲が広いんですね。一国の中だけみたいな「部分」ではなく「普遍」の方を向いている。この2016年〜2017年、一つの島の中だけ考えてるフェーズでもないのです。

 奈須きのこ作品は西方の島国イギリスと、東方の島国日本を重ねた文脈の物語系統ですから、日本も他人事じゃありません。イギリスのBrexitが2016年6月、アメリカのトランプ大統領誕生が2016年11月で「第六特異点」配信開始が2016年7月25日。どれくらい意図していたのかはともかく、すごいタイミングでのリリースだったのですね。

 ここでマシュが獅子王に立ち向かうところで、オルガマリーさんの名前を口にします。今こそ、証明してみせると。ここが一番泣けました。ルシュド君にとっての母サリアさん、マシュにとってのオルガマリーさん。

 オルガマリーさん、マシュにとっての疑似母という物語上のポジションだったのか。サリアさんもオルガマリーさんも、何も成し遂げられず死んでしまったんだけど、ルシュド君が、マシュが生きている限り、「終わる」二人の命にも「意味」はある。残り続ける。だから我々は「日常」だとしてもちゃんと生きないといけない。

 それは、識が消えてしまっても式が生きている限り識の意味は残る。(『空の境界』)

 セイバーさんと別離したとしても、その出会いは衛宮士郎の一生を照らし続ける。(『Fate/stay night』セイバールート)

 そういう類のことだから。

 TYPE-MOONファンも初期からのファンなんかはけっこうおじさん・おばさんになってきてるので(笑)何らかの死別を経験してる方も多いでしょう。大きい災害もありました。「命は先に続くもの」。獅子王がどんな「究極の結論」的な正義を語っても、マシュもぐだ男さんも(に自分を重ねるプレイヤーたる我々も)、それだけは譲れない。自分のこともともかく、成し遂げられず、記録にも残らずに消えていった人とか作品とかと共に今の自分も生きている。だから、前に出ないといけない。それはリアルの方では必ずしも巨大な何かと戦うとかじゃなくて、普通のことを普通にやって生きるとか、そういうことなのかもしれないけれど。

 物語のラストは、マシュのこういう一連の語りで締めくくられています。


 たとえ消えてしまう世界だとしても、
 誰も覚えてない歪んだ時代だとしても。

 そこで誰かが泣いたり、傷付いたりして……。
 でも、それでも……。

 笑ったり、喜んだり、
 お腹いっぱい美味しい食事をとった事は……

 わたしたちにとっての真実で、皆さんから頂いた
 歓びは決してなくならないと思うのです。(マシュ)



 堪能した「第六特異点A.D.1273―神聖円卓領域キャメロット」でした。『Fate/stay night』を更新する、奈須きのこ氏熱筆による『Fate』の続きが読めたという僥倖でありま した。(/ストーリーの感想、ここまで。)

 次はいよいよメインクエスト「第七特異点B.C.2655―絶対魔獣戦線バビロニア」です。

 イベント「復刻:天魔御伽草子鬼ヶ島ライト版」で戦力を強化したおかげで、戦力的にはそのまま進めそうなので、ストーリーが楽しみなのでした。

 ライダー金時さんで魔獣とか轢いていきたい。

→『空の境界』(笠井潔氏の解説が掲載されてるのはこちらの講談社ノベルス版)

空の境界 上 (講談社ノベルス)
奈須 きのこ
講談社
2004-06-08


→リヨ先生



→前回:FGO感想・プレイ日記16〜不夜城のキャスターさんをゲットしていた頃
→次回:FGO感想・プレイ日記18へ〜不夜城のキャスターさんをLv100・スキルMax・絆レベル10にする作戦を発動していた頃
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・メインクエスト読了時の感想はそれぞれこちら↓

FGO感想・プレイ日記1〜序章:特異点F A.D.2004―炎上汚染都市冬木クリアまで(ネタバレ注意)
FGO感想・プレイ日記5〜第一特異点 A.D.1431―邪竜百年戦争オルレアンラストまで(ネタバレ注意)
FGO感想・プレイ日記7〜第二特異点A.D.0060―永続狂気帝国セプテムラストまで(ネタバレ注意)
FGO感想・プレイ日記9〜第三特異点A.D.1573―封鎖終局四海オケアノスラストまで(ネタバレ注意)
FGO感想・プレイ日記10〜第四特異点A.D.1888―死界魔霧都市ロンドンラストまで(ネタバレ注意)
FGO感想・プレイ日記11〜第五特異点A.D.1783―北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナムラストまで(ネタバレ注意)

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Fate/Grand Order……そろそろ?

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セイバールート(Fate)/感想(TYPE-MOONファン別ブログ)
遠坂凛ルート(Unlimited Blade Works)/感想(TYPE-MOONファン別ブログ)
間桐桜ルート(Heaven's Feel)/感想(TYPE-MOONファン別ブログ)
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『劇場版「空の境界」未来福音』の感想(ネタバレ注意)
『魔法使いの夜』の感想(ネタバレ注意)(TYPE-MOONファン別ブログ)
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