相羽です。

 『FGO(感想・プレイ日記)』で最近リリースされた「亜種特異点 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負(こちら)」が、山田風太郎の小説『魔界転生』のオマージュ作品になっておりましたので、昔旧サイトで書いてた『魔界転生』の感想をブログに再掲してみます。

 文章のノリがいつもと違うのは若い時に書いた文章だからです(笑)。

 22歳くらい? 若かった!

 けっこうネタバレで書いてますかね。注意です。
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(以下、2004年の8月くらいに書いた山田風太郎『魔界転生』の感想)


 壮絶

 いや、もうホント読み手の体力までも奪うぐらいに、濃密でかつ壮絶です。山田風太郎スゲ。

 それはそうと、本編の感想に入る前に、ずっと思ってたことを一つ。


 山田風太郎小説が好きな人は板垣恵介漫画も好きという法則ってない?


 いや、前々から気になってたんですが、僕がWEBで見かける山田風太郎ファンの人はことごとく板垣漫画のファンでもあるという現象がありまして……なんか、かなり有意な傾向があるように前から思っておりました。

 で、今回初めて山田風太郎小説を読んでみて、なんとなく分かった気がしました。両者の作品とも、なんつーか登場人物が人間の根元を追ってる感じが共通しています。剣術であったり忍術であったり、板垣漫画なら格闘術であったり、そういったものに命賭けで取り組むことで、なにか根元を追ってる感じの人々がよう出てきます。

 あと、構成も似てるよね。『バキ』の死刑囚編なんか、最初に戦うことになる敵を濃密に描写してから、それと戦う味方サイド……という順番で話の流れを構成してるのなんか、まんま今回の『魔界転生』にそっくりです(山田風太郎の方が先でしょうが)。

 その後、敵サイド、味方サイドに別れてのバトル編となるのも、非常に山風的でかつ板垣的と言えそうです。そしてどうやら僕もかなりこの山風くささ、板垣くささが好きらしい。なんで、本日をもって上述の山田風太郎ファンかつ板垣恵介ファンに、僕も仲間入り。やっぱ、山田風太郎も板垣恵介も面白いよ!

----------<閑話休題>----------

 で、本編の方ですが、

 最初から、女体の内部から女体をブチ破ってムキムキの男が登場!……とか、山田風太郎テイスト全開で飛ばしていくことになります。

 その忍法魔界転生を使って復活する面々がスゴい。天草四郎・荒木又右衛門・田宮坊太郎・宮本武蔵・柳生但馬守・宝蔵院胤舜・柳生如雲斎……この歴史的に超メジャーな強者どもが復活します。それも敵として

 敵として復活するという展開もスゴいんですが、それ以上にスゴいのが、山田風太郎、この敵の復活描写に、実に物語の四分の一の200ページあまりを割いていることです

 敵をしっかり描写してこそそれを倒した時の爽快感が出てくるというのはバトルモノの基本ですが、山田風太郎やり過ぎ。なんて熱い人なんだ、山田風太郎。

 で、この敵の紹介、復活過程が邪悪さ全開、憎悪全開でイッパイイッパイの濃密さ、もう僕、最初の200ページを読み終えた頃にはぐったりしてました

 

 前半200ページを持って怨怨とした邪悪描写を濃密に描いたからこそ、その後出てくる主人公、柳生十兵衛の飄々たる描写がエラく映えます。もう、邪悪に満ちてた読み手の精神を洗い流してくれるかのように、十兵衛が出てきたところで精神的な負荷がぐっと軽くなります。もう、その時読者が思うのは、

 十兵衛カッコイイ!

 の一念のみ。あー、ホント十兵衛出てきて、読んでて助かった(僕が)。

 で、その後はまあ上述の濃密に描かれた敵達と十兵衛が戦っていくバトル小説になるんですが、このバトル編が血が沸騰しそうなくらいに熱過ぎ!板垣ネタがらみで烈先生風に言えば、今世に出てるバトル小説の多くは、山田風太郎がはるか昔に通過した場所なんじゃないかと思えるほどに激烈に今読んでも輝くバトル描写です。

 情景描写として天守閣をタメにタメておいて天守閣で決闘となる柳生如雲斎とのバトルなども捨てがたいですが、なんと言ってもラストバトルのVS宮本武蔵がヤバ過ぎる。

 かの有名な佐々木小次郎VS宮本武蔵の巌流島での決闘をリフレインさせたシチェーションでの、柳生十兵衛VS宮本武蔵。太陽を背に背負い、巨大な木剣を振り上げる武蔵を十兵衛はどう攻略するのか?

 この壮絶なシチェーション、決闘に山田風太郎が与えた解答に衝撃するべし

 背筋に電流が走ること請け合い。僕的に、カ、カッコイイ……と唸るしかない決着シーンでしたぜ?死ぬまでに読んでおくが良し。

→最近は電子書籍でも出ております