陽毬とエッフェル塔は、大王の言に何も返答はしなかった。

 しばしの沈黙。

 川のせせらぎだけが聴こえた僅かな時間の後に。

 彼女たちの代わりに、とでもいうように……。

「あー、やっぱりあなた、苦手だな、改めて」

 涼風に乗って、「声」が響いてきた。

「私なんて、愚かオブ愚か……みたいな女だしな!」

 自虐の言動とは裏腹に、「声」は誇りのようなものを携えていた。「声」の主なりの、確信が伝わってくる。

 流れゆく七艘の船は、広瀬川中域の広瀬橋をくぐり、下流域に到達していた。

 陽毬が「声」が伝わってきた南岸の河川敷を見やると。

 川に沿って、幾多(あまた)の人々が佇んでいた。

 車掌さん。

 主婦さん。

 自転車屋さん。


――職種、性別、年齢は様々。


 女王のごとき気品を携えた金糸の髪の女子。

 涼やかな瞳をした車椅子の女性。

 夏場に赤いマフラーをした女子と、彼女と相似の、内に宿した幾多の技術がはみ出し気味の男子という組み合わせの兄妹。


――姿も佇まいも、それぞれの事情も様々。


 なんだか2メートルくらいの大きな人。

 仕込み杖を手にした老人。

 ボディがメカメカしい人(?)。


――なんかちょっと変わった感じの人(?)々も。


 小柄なニンジャ装束の少女。

 謎のCGっぽい何か。

 エトセトラ。エトセトラ。

 「S市」にいるみなさん。い続けていたみなみなさん。

 陽毬の瞳の中を、いつか七夕の日にすれ違った気がする人達の姿が流れてゆく。

 「声」の主は続ける。

「ホンモノの聖女様は『この世全ての犠牲』を救うため、彼女にしかできない使命に向かっているからね。ここは、ニセモノの私がおあつらえ向きってこと」

 シンボリックな刺繍が施されたケープをはためかせているのは、「祝韻旋律」の聖女・中谷理華ではない。長い枯茶色の髪を束ねたサイドテールが揺れている。行き届いた所作でも所々に微妙に隙があるのはご愛嬌。綺麗な顔立ちなれど、高嶺の花かと思えばどこかその辺りにいそうな親しみやすい少女像。――「声」の主は山川志麻(やまかわ・しま)だった。

「志麻さん? 沿岸部で待機している手筈では!?」

 陽毬が現れたこの地の「守人」の姿を仰望すると。

「アスミが立てた作戦だからね。アドリブ感が出てくるのは想定済みよ!」


 最新・第263節(第260節)「広瀬川灯明邀撃戦線2〜偽者の聖女」/「カクヨム」および「小説家になろう」にて12月24日(日)に公開。(小説『非幸福者同盟』)


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 ティザー的に。

 郷里的「歴史建造物擬人化×能力バトル」なオリジナル小説『非幸福者同盟』。

 最近は月一節ずつの連載ペースになっておりますが、前回更新分よりついに「最終話」がスタートしております。

 長めの作品となりましたが、完結まで残り十七節となります。

 今年(2017年)更新分は、この12月24日(日)更新分で最後ですね。最初の小説『夢守教会 少女のケニング』の公開日から、ちょうど13年か〜。

 今年のラストがこの節で良かったな〜などと思ったりですw。

 物語の結末、見届けてやって頂けたら喜びます〜。

 読めるところをまとめておきますね。↓


小説『非幸福者同盟』/カクヨム

小説『非幸福者同盟』/小説家になろう

小説『非幸福者同盟』イントロダクション&登場人物紹介


 ついに累計50000PV達成も感謝です!
 是非ぜひ。

 ションさん(Twitter)が作ってくれたイメージ曲(short ver.)なども引き続きよろしくです。↓

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