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 相羽です。

 アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン(公式サイト)』第1話「「愛してる」と自動手記人形」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 冒頭のシーン。

 ヴァイオレットは大切な人(ギルベルト)への手紙(報告書)を書いていますが、風に吹かれてしまって手紙はギルベルトへは届きません。

 「想い」を大切な誰かに届けるということ。

 当ブログでは折に触れて書いているように、京都アニメーション作品には作品をまたいで継承しているテーマのようなものがあります。

 「想い」のテーマに関しては、近作では『響け!ユーフォニアム2(感想)』で中心的に描かれていました。

 「想い」を届けるということに関して、分かりやすい部分では、


 久美子→あすか先輩
 久美子→姉の麻美子


 で「想い」は届くのか? という物語が描かれている作品でした。

 なのですが、『響け!ユーフォニアム2』にはもう一層奥の物語があって、故人である滝先生の奥さんの「想い」が届く……という裏物語が描かれていた、というのは、こちらの第十一回の感想記事で中心的に書いてみたことでした。↓


参考:響け!ユーフォニアム2感想/第十一回「はつこいトランペット」(ネタバレ注意)


 第十一回ラストの麗奈がトランペットを吹くシーンは、まさに「愛してる」という類の故人(滝先生の奥さん)の「想い」に、麗奈が触れているというシーンですね。

 故人からの「想い」……という要素は京都アニメーション作品では何度も扱われている題材ですが、もう一つあげてみるなら、今作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と同じく吉田玲子さんがシリーズ構成(脚本)を担当された『たまこまーけっと』〜『たまこラブストーリー』でも描かれていました。

 故人であるたまこのお母さんの「想い」、たまこからお母さんへの「想い」……にまつまわる物語が裏物語として描かれていて、『たまこラブストーリー』のラストシーンで擬似的に「想い」の疎通が描かれる(それはもちろん、誤配、誤解釈かもしれないのだけれど)……というまでを描いていた作品でした。


 ギルベルトからの「愛してる」の「想い」。

 ヴァイオレットのギルベルトへの「想い」。


 これらが中心的な題材として描かれている『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、『響け!ユーフォニアム2』『たまこまーけっと』〜『たまこラブストーリー』をはじめとする、京都アニメーション作品の故人の「想い」を届ける(受け取る)物語から続いている作品とも捉えられるということです。

 物語の背景。

 世界の方は、戦争で一旦破綻が訪れた世界が描かれています。

 現実で生きる我々は、先の第二次世界大戦後を連想するかもしれないですし、近年では東日本大震災後の世界を連想するかもしれません。

 壊れた橋(「経路」の象徴)が印象的に描かれています。

 本当に、橋も、道路も、線路も、「経路」は壊れるんだというのを実感した後の世界を我々は生きています。

 つまり、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は世界の破綻の中で断線した「想い」と「想い」の経路を巡る物語。とも捉えられるということです。

 「郵便」という題材が効いています。

 ヴァイオレット自身にギルベルトから貰った「愛してる」の言葉への希求を呼び起こしたのは、名もなき依頼人が誰かにあてた手紙の中にあった「愛してる」の言葉でした。

 他人がきっかけである、というのがポイントなのですね。

 一人で、自分の中だけでじゅんぐりじゅんぐりしてるだけのフェーズはもう何か違うという話です。

 あり触れた言葉でいえば「他者性」に開かれているということを描いている箇所です。

 これから、ヴァイオレットの「他者」の「想い」を代筆(「代役」)として紡ぐ旅が始まります。

 様々な「他者」と出会う中で、やはり「故人」からの「想い」……という要素が浮かび上がってくる作品です。

 故人の「想い」を巡りながら、ヴァイオレット自身が一つの「想い」――ギルベルトから貰った「愛してる」に近づいてゆく物語です。

 最近の僕の感想記事で使ってる言葉でいえば「慰霊」の物語でもあるということです。

 ヴァイオレットの旅路には、『響け!ユーフォニアム2』の滝先生の奥さんの「想い」の物語も、『たまこまーけっと』〜『たまこラブストーリー』のたまこのお母さんの「想い」の物語も、これまでの京都アニメーション作品で描かれてきた故人からの「想い」の物語も重なってゆきます。

 あるいは現実の破綻的な出来事で大切な誰かを失った人にとっては、その今はいない人の「想い」を巡る物語を連想するかもしれません。

 冒頭のシーンで風に舞って世界へと消えてしまったような(ように見える)「想い」について。ヴァイオレットが旅路の果てで何を見つけるのか。視聴者も共に追っていく。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、そんな物語なのです。

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→主題歌



→次回:『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第2話「戻ってこない」の感想へ
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