◇シン・アスカという主人公/携帯電話の象徴性

 過去などカッコ悪い、オレは今を生きている。今、どこかに確かにある価値観で、心地良い響きに聞こえるフレーズだけれど、果たして過去を尊ぶことはカッコ悪いことなのだろうか。祖父母がいて、父母がいて、兄妹がいて、ずーっと昔からそんな風に続いていて、そして今の自分がいる。そういう連綿と続く過去との関係性が断ち切られてしまった時、例えば父母と死別した時、そう言う人は「過去が断ち切れた」と晴れやかに笑えるものなのだろうか。
 前作ガンダムSEEDのラストバトルは、クローン人間という形で、祖父母、父母、そして自分へという連綿と続く過去との関係性を断ち切られてしまったもの同士、ラウとキラとの闘いという形を取りました。
 断ち切られてしまった関係性を何ものでも埋められなかったラウはこの世界そのものに憎悪を向け、一方ラクスの導き、アスランとの友情の再構築、フレイの愛(僕は愛だったと解釈)で心許なくもその欠落を埋められていたキラは、最後に「それでも守りたい世界があるんだ!」と叫びます。

 そして本続編ガンダムSEED-DESTINYでは、主人公シン・アスカは妹の携帯電話を肌身離さず持っている、そのようなキャラ設定を主人公に付した所から物語が始まります。しかし、既にその携帯電話の持ち主はこの世にはおらず、携帯電話には消されてしまったシンの過去と、現在のシンとを繋ぐ関係性が残留しているだけ。そんな切なさが漂う情景が、この物語の起点なのです。
 シンは、戦争によって家族という過去との関係性を消されてしまった。そこには少なからず前作のラウとキラに通ずるものを感じ取ることができます。すなわち、この物語は、ラウ、キラに続く、過去との関係性が断ち切られてしまった第三の男の物語、そこから始まっているんじゃないかということです。

 果たして、シンはこの欠落を何で埋めているのか、そして何で埋めていくのか。前者の問いはキャラ設定や第01話ラストの台詞、及び第01話のサブタイから、家族を殺したもの、あるいは戦争そのものへの憎悪で現在の所で埋めているようですが、前作でキラが長いスパンで変化していったように、今作でもシンのこの欠落に代わるものは、物語と共に変化していくように考えられます。01話でさっそくステラ・ルーシェと出会いました。前作でのキラのように、出会いとそこから生まれる関係性が欠落を埋めていくのでしょうか。当然予想される先輩の立ち位置になるキラとの出会いはシンにどのような影響をもたらすのでしょうか。ルナマリアやレイといった、前作とは質の違うデフォルト友人の影響は?前作にはない身近な大人政治キャラの影響は?興味は尽きません。長いスパンでシンがどのように変化、成長していくのか、その要因となる周囲の影響とはどのようなものか。そのような点を楽しみに、長い視点を持ってこの新しく始まったエンタメ作品を視聴していきたいと思います。

 感想を続ける前に、これからDESTINYの感想を書いていくにあたっての前置きのようなものをちょいと書いておきます。↓

■当サイトのガンダムSEED DESTINY感想について

 管理人は、基本的にアニメはアニメと割り切って、娯楽エンタメ作品としてSEEDをこれまで観てきており、今後もその感覚は変わらないと思います。
 たまに、自分の情報アンテナがアニメしか無い人が、どっぷりアニメ視点で、「沢山アニメを観てきた自分は人より高尚」というスタンスで、作品批判なんかをやってるのを見かけますが、そういう人達の感想、批評とは、当サイトの感想は対局の位置にあると思って下さい。
 といいますか、僕はそういう人達にあまりイイ印象を持っていません。何か目的を持って筋道だった批判をしているうちは素晴らしいんですが、やたらめったらに作り手を中傷してるようなのになると、とりあえず売れているもの(前作SEEDは取り敢えず商業的に売れました)を中傷することで、自分をそういった売れてるものより高尚な位置に置きたいという自我肥大の心理が見え隠れして、なんだか非常にみっともない。実際は作り手より数段無能な者の、勘違い自我肥大現象。そういうのを見るのが好きじゃありません。
 実際、僕は一般人よりはアニメを観てる方ですが、週何本も観るほどのディープなアニメ視聴者ではないので、他作品との相対評価というものはできませんし、そもそも評論、批評というような高尚なことをするつもりはさらさらありません。ここでこれから書いていくのは、そのような普段は他事で忙しい人間が週一の娯楽、コウスティング時間に視聴したアニメの、主観的な雑想を書いているというような性質のものです。どうかそこの所を踏まえた上でこれから当サイトの感想を見ていってもらえたらと思います。

 それでは感想の続きです。↓

◇デフォルト友人の質の違い/SEEDとDESTINYの間で

 前作SEEDでは、サイに代表される物語冒頭からキラの友人として登場したデフォルト友人達は、実はキラとは未成熟な関係しか築けていなかった、第12話「フレイの選択」では、デフォルトな友情を盲信したまま、友人依存、他者依存でアークエンジェルに残ることを選択するという未成熟さ……それを後に第3クールでそれそれが自分の意思で行動を決め、キラとも自立した関係性を築く、そういう描かれ方でした。
 しかしながら、一方今回のDESTINYでは、シンのデフォルト友人のルナマリアにレイは、第01話から随分と成熟した大人なキャラの印象を受けます。颯爽と軍用車に乗るルナマリア、敵襲に睨みを入れるレイ、双方、SEEDの初期サイなんかと比べると、最初から随分キレる印象です。これは思うに、ルナマリアとレイは初期設定からMSパイロットで、既に戦うことを選択している状態からキャラクターが始まっているというのが一つあると思います。コレは主人公のシンにも言えることです。前作のキラサイドが巻き込まれ型の登場人物達だったのに対し、今回の主人公サイドは、最初から戦う決断を下している状態から始まっている。この対比で何を見せてくれるのか、それが今から楽しみです。

◇キャラ同士の関係性のバリエーションの魅力

 今回は新キャラ、旧キャラゾロゾロで非常に登場人物数が多いんですが、逆に言えば、キャラ同士の関係性のバリエーションが実に多彩になり得て楽しみだということも言えると思います。バリエーションのパターンはパっと思いつくだけで3パターン。

 まずは、さっき言及した、新キャラ同士のデフォルトの関係性。シンとルナマリア、シンとレイなんかがこれにあたります。これらの関係性が初期状態から如何に、どのような要因のもとに変化して行くのか、それが非常に楽しみです。

 次に、前作で築きあげられた旧キャラ同士の関係性の変遷。中でもやはり旧作視聴者的に楽しみなのは、前作で39話かけて、すれ違い、解体、再構築が描かれた、主人公キラとアスランの友情の行方でしょう。果たして前作の経過は本物だった、すなわち本作ではポジションが謎になっているキラとアスランの友情は持続しているのか、それとも、何か変わった関係性へと変化しているのか?そんな感じで、果たしてイザークとディアッカは、ディアッカとミリアリアは、トラは、マリューは、そして超越者ポジションのラクスは次はどんな関係性の文脈の中に置かれるのか?楽しみは尽きません。

 最後は、各キャラの新たな関係性の発展。これは、新キャラ、旧キャラを問いません。というか、それらがシャッフルされています。それがかえって面白い。シンとイザークが出会ったりするかもしれません。ラクスに新たな人物が出会うかもしれません。所属陣営、旧キャラ、新キャラというカテゴリーを縦横無尽に横断し、さまざまな関係のるつぼが描かれていくと予想されます。思うに、前作SEEDの面白さも、異なるカテゴリーに所属していた登場人物達がシャッフルされ始める辺りから、面白さを増していったように思います。 願わくば、それらのキャラ同士の関係性にそれぞれの帰結を描いて欲しいです。全てのキャラ同士に前作39話のキラとアスラン、49話のマリュー、ナタル、ムウ、最終話のキラとフレイ、キラとラウ、アスランとカガリほどの帰結を用意しろと贅沢なことは言いませんが、36話のキラとサイ程度の帰結はつけて欲しいなぁ。ここんとこも、作り手は大変でしょうが、期待したい所です。

 あんまり普通の感想ばっかでもなんなんで。↓

◇萌え萌え感想

・ステラたん萌え
 か、可愛い。突然舞ってるちょっとイッちゃってる所とか、普段の様子と戦闘時の激しさのギャップとか。心性の欠落を抱えているヒロインの成長物語というのは、考えるだけで萌えるものがあります。

・ルナマリアたん萌え
 足がイイ。太ももが。

・アウルたん萌え
 ガバッと開けた胸元がセクシー。とか思ったでしょ?>女性視聴者の方。

・アスランたん萌え
 相変わらずちょっと情けないオーラを出してるのが萌え。この人が回想に入ったら要注意です。平気で番組の3分の1くらい回想する人なんで。前作での呼び名は、回想王

・インパルスガンダムたん萌え
 合体ってなんか手間がかかってるっぽい所萌え。最初から組み立てておいてもイイじゃん的な感想を持っちゃうあたり萌え。

 とりあえず、ここまでで今回の感想は終わりですが、僕が前夜祭で視聴した時の第01話感想も読みたい方は、→こちら

 あと、たびたび言及することがあると思うんで、一昨年書いた僕の前作SEED感想も紹介。最初は流し感想でしたが、34話からは少々気合い入れて書いてます。考察から読むのがお薦め。万単位でアクセスのあった感想なんで、ある程度の文章質はあるんじゃないかと。興味を持たれた方はどうぞ→こちらの前サイトから。

 最後に、下のコメント欄で、閲覧者の皆様のコメント、感想を広く受け付けたいと思います。別に僕の感想と関係なくてもイイんで、広くSEEDの話題を書き込んでいただければ。あんまり長くなった場合、管理人の全レスはムズかしいかもしれませんが、それでもよろしければ。コメント欄だけで一つのコンテンツ価値を生み出す!くらいが理想です。トラックバックも積極的に受け付けております。

 そんな感じで、また来週。

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