「シン……好き……」(ステラ)

 ・゚・(ノД`)・゚・

 単純に悲しさのカタルシスもあるんですが、それ以上に物語の構造美にクラクラっとキました。

 シンとキラの対比構造がDESTINYの主軸であって、今話で対比描写に一区切り。あとは両者の闘いへ(あるいは理解もあり得るのか?)……という所まで物語が物語られたものと感じました。
 というのも、ステラの死、完全にフレイの死とパラレルな表現で、シン−キラ対比の重要な側面を担うシーンとして機能してると感じたからです。

 対比というよりも、両者の対比の中の共通点を描写して一区切りつけた……というような感じ。様々に真逆に対比されて描かれてきたシン−キラが、「守りたい者を二度とも守れなかった」という共通の経験に辿り着いたという物語。

 まず前作のキラで言えば、キラは序盤にエルという少女を守りたくとも守れなかった……というのを背負うのですが、最終話では序盤にエルの乗ったシャトルが落とされるシーンと演出をシンクロさせて、フレイの乗ったシャトルが落とされるシーンが描かれます。守りたい者を二度守れなかったキラ。

 一方今作でも、シンは最初に妹(と家族)を守れなかった……というのを背負うのですが、今話で天を仰いで絶叫という、妹を失ったシーンと演出をシンクロさせて、ステラを失うシンという姿が描かれました。キラと同様に、守りたい者を二度守れなかったシン。

 そもそも、フレイの死とステラの死の演出をシンクロさせまくり。パッ挙げて、

・一度目の失った存在(シンにとってのマユ、キラにとってのエル)が幼(少)女というのが共通。
・二度目の失った存在(シンにとってのステラ、キラにとってのフレイ)が、シンの場合は「大丈夫だ、オレがちゃんと、オレがちゃんと守るから」(第21話)、キラの場合は「僕が傷つけた、僕が守ってあげなくちゃならない人なんだ…」(前作第46話)と、シン、キラそれぞれ自ら「守る」と誓った存在だというのが共通。
・二度目の存在の方を失う場面において、紫色の不思議な世界でヒロインの方の魂?が裸で飛び出してくるという演出が共通。
・二度目の失った存在の方の声優さんが、両方とも桑島法子さん(笑)。(最初からこれをやりたいがためのキャスティングだったのならばかなりスゴい。)

 といった共通点演出に気がつきます。

 また、二度目の存在の方の、ヒロイン視点からの帰結が、ステラの方は「シン、ステラを守るって」と、守って貰う方で一貫してるのに対し、フレイの方は「本当の…私の想いが、あなたを守るから……」と守る側に転化していたという対比も面白いです。

 ……と、ヒロインの死という主人公二人にとっての一大イベントをシンクロさせて二人の対比を決定的に描写した所で、いよいよシンとキラが闘う展開に入っていくと思われます。で、待っているのがシンのデスティニーガンダム発進回です。

 前に、ここまで力の使い方に関する伏線を張ってきた以上、シンが更なる力を発進させるデスティニーガンダム発進回が物語上のクライマックス1ではないかなんて書いたんですが、どうも、ここもキラとは真逆の発進になるんじゃないかという気がしてきました。前作のフリーダム発進が34話なんで、今回もその辺りでデスティニー発進だとすると、あと2、3話しかないワケですよ。そんな少ない話数でシンの属性が陽に裏返るとは思えないので、デスティニー発進は前作34話のフリーダム発進がライト(光)なクライマックスだったとすると、ダークなクライマックスになるんじゃないかと。今話で結果的にキラがステラを殺してしまったので、シンの憎しみの対象としてのキラがいよいよ成り立ちます。前作のキラが「憎しみの連鎖を断ち切るための発進」だったのに対して、今作のシンは「憎しみを全うするための発進」になるんじゃないかなぁ。

 いよいよ予想される、対比された主人公二人の激突に向けて、以下、シン−キラ対比一覧。

シン キラ
キーワード1 運命 自由
キーワード2 現実 理想
キーワード3 所属 非所属
イメージカラー レッド ブルー
武力について 肯定 基本的に否定
殺傷について 基本的に必殺 基本的に不殺
力に関して 守れなかったから力を欲した 力があっても守れなかった
憎しみに関して 憎しみを忘れずに全うする 憎しみの連鎖を断ち切る
諦観的運命観について やや諦観(「誤魔化せないのかも・・・、いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす」 反発(「それでも守りたい世界があるんだ!」
ステラ返還とラクス返還の対比 ・そのままステラについていけばあるいは幸せになれたかもしれない。
・軍へと帰ってきた。
・返還されたステラに待っていたのは過酷な世界。
・返還されたステラは結果的に多くの人命を奪うことに。
・そのままラクス(アスラン)についていけばあるいは幸せになれたかもしれない。
・身近な守りたい人達(当時のAAの級友)の所へと帰ってきた。
・返還されたラクスに待っていたのは(とりあえず)穏やかな世界。
・返還されたラクスは最終的に多くの人命を救うことに。
背後にいる人物 デュランダル議長 ラクス


 他、こんな対比もある!という方は是非コメント欄に。

 そして、対比の他に共通点もある点が重要。

・二人とも守りたい者のために闘う。
・けれど二人とも二度も守りたい者を守れなかった。
・そもそもキャラデザインが似ている(今にして思うと対比〜共通描写される二人という記号も入っているんじゃないかと)。

 ようやくこれだけ積み重ねられた二人が直に接触してのクライマックス開始ですよ。楽しみ楽しみ。

 対立バトルはここまで描写した以上必須なんですが、理解へ……という帰着があり得るのかどうかが見所。対比された思想の違いから対立へ、そして共通する想いから理解へ……というのがあり得るのか否か。ラストED、「君は僕に似ている」の表題ヨロシクで、そこが理解への光明になったりはしないのかなぁ。

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