前回の「アスラン脱走」、特にアスランとミーアの手を差し伸べ合うシーンにて、もうDESTINYに関しては満足してしまった自分がおります。

 A−B
 理想−現実
 前作の正義−今作の正義
 力に対して非積極的−力に対して積極的

 そして前回「アスラン脱走」で美しく描かれた、

 役割から自由か−役割を全うするか

 このような対比が、14話のアークエンジェル発進、15話のミネルバ発進以来、Aサイドをアークエンジェルに、Bサイドをミネルバにそれぞれ賭して正義2つとして描かれてきたんですが、いよいよ2つが止揚される帰結部分に物語が入ってきたと思います。
 キーとなるのは、第01話から登場しているアスランとカガリ。やはりこの二人が重要です。前に33話の感想で、双方に利点欠点を含みながらの理想サイドと現実サイド、まず理想サイドに決めて行動している、ラクス−キラライン、まず現実サイドに決めて行動している議長−シンライン、そしてその両者の間で揺れ動くカガリ−アスランライン……という話を書きましたが、やはり両サイドの中間を揺れ動いていたアスランとカガリの二人がこの両サイドの止揚を描くに当たってキーパーソン二人になりそうです。

 物語冒頭では前作からの正義を共有して理想サイドに共にいたはずの二人。ところがターニングポイントになる第08話「ジャンクション」での別れ以来、アスランは議長から役割を与えられ、力の行使も厭わないという現実サイドに流れ、逆にカガリはキラ達に拉致されてからはオーブの為政者という役割を放棄して、戦場でも力を使わず呼びかけに徹するという過度の理想サイドに流れていきます。

 特に「役割」に関して、アークエンジェルサイドのスタンスをポジティブに「自由」と取るか、ネガティブに「役割の放棄」と取るか、ミネルバサイドのスタンスをポジティブに「役割を全うしている」と取るか、ネガティブに「依存」と取るか、両サイドのネガ面ポジ面を同時に描き、では視聴者はどう考えるか?というスタンスが制作者サイドには一貫してあったと思うんですが、それぞれのポジティブ面を前面に出されて描かれたキラとシンに比べて、アスランとカガリはネガティブ面を突きつけられて、アークエンジェル−ミネルバの正義2つが物語の中心となった第2クール〜第3クール中盤まではえらくしょんぼりと落とされて描かれてきました。

 それがいよいよ、2つのサイドの間で揺れ動いたからこそ、2つの立場が分かる存在として、2サイドの止揚を描くにあたっての重要な役割を果たす2人として上向きに描かれる所に入ってきたと思います。物語が、役割を放棄して理想に空回りしてしまっていたカガリの現実への帰還、役割に依存して現実に埋没してしまっていたアスランの理想への脱走、この2つが描かれた第3クールに入り、2人はその道の途中でもう一度出会うものと思われます。そこが、作中の事実上の最クライマックス。

 今週のラクスの台詞を始め伏線より、舞台は第08話を受けてオーブ。おそらく現実へと帰ってきたカガリはオーブの為政者としての役割を全うし、再び力を取る選択を下すのでしょう。そして理想へと帰ってきたアスランは戦う人形としての役割から脱出し、理想と自らの意志を持つ戦士として、カガリの力になるのでしょう。この両サイドが手を取った瞬間が、DESTINYという物語の一つの着地だと思います。

 同じコーディネーターだったはずなのに、地球軍とザフト軍という異なるサイドへと別れていってしまったキラとアスランが、物語を経て再び出会い和解し、事実上テーマの着地が描かれた前作39話、40話。それと同じ構造の物語を、今度は上記の理想と現実という思想的にもう少し込み入った所の対立から描き、それが再び出会うであろう今作の○○話。そこが、DESTINYのテーマ上の最クライマックス1ですよ。

 奇しくも前作第08話のラクスの、

 「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」(ラクス)

 で、カテゴリの対立無化が暗示されていたように、今作でも第08話でアスランが、

 「アスラン・ザラとしてでも、アレックスとしてでも」(アスラン/アレックス)」

 と、役割を全うするとしても、役割から自由にあるとしても……と両サイドの対立無化を暗示していたのが熱い。

 こうしてアスランとカガリを中心に両サイドの止揚が描かれ、では何と戦うのか?というDESTINYのラストは、先週は自由VS運命という言い方をしましたが、ずばり意志&自立思考VS諦観という感じになるんじゃないかと思います。

 なしくずしに戦争に参加することになったとしても「しょうがないさ」と諦めてしまうんじゃなく、自分の意志で考えてみよう……というのが制作者サイドが作品の動機にしてる想いだというのは、各種DESTINY関連のメディアで伝えられてる点です(最近のでは小説版DESTINY2巻のあとがきなどを参照)。

 戦争で世界が滅びるとしてもしょうがないさ、それが必然さ、人とはそういうものさ、これはモロに前作ラストでクルーゼが語った人類滅亡の諦観でしょう。前作のラストはそのままクルーゼの勝利の如く終了したんですが、前に第34話の感想で書いた通り、シンのキラ撃破で前作最終回までのリフレインが完了しているんで、ここから前作の続きとしてのクルーゼの諦観へのリベンジが描かれるんじゃないでしょうか。

 そのVS諦観において、「役割から自由か」VS「役割を全うするか」という両サイドの対立は止揚されていく。第08話でアスランが言っているように、役割でもなんでもとにかく何とかしようという意志こそが大切(そう考えると、第08話では同時に打倒すべき諦観もが、「誤魔化せないのかも・・・、いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす」(シン)の台詞で同時に暗示されてるのが凄い)。

 以下、このようなクライマックス突入を経て、キャラ別今後の見所。

◇シン

 第08話で諦観の台詞を語っており、今話でもどこか「しょうがないさ」的にアスランとメイリンを撃墜と、諦観サイド気味。そのまま諦観のラスボスとなるか、最終的にそこからの離脱が描かれるかが見所。とういか主人公の一人としては離脱して欲しい(また現OPでルナマリアと共にミネルバを去る離脱暗示のようなカットがある)。離脱があるとすれば、その形が役割からの自由化型か役割の自立選択型かがもう一つの見所。自立選択型を希望かな。「軍人」止めますというのじゃなく、「軍人」という役割を自分の意志で再び選び取るあたりに着地して欲しい。

 またシンにはもう一つ「守る」というテーマ軸があり、三度目の「守る」の完遂が描かれるかどうかがポイント。相手がルナマリアでも、民間人の少女でもなんでもいいんです。今度こそ守れるか否か?描かれるのに期待。

◇アスランとカガリ

 前述したんで省略。役割を全うすることを選んだカガリの力として、役割から自由になって帰ってきたアスランがインフィニットジャスティスに搭乗。コレしかないと思う。

◇キラ

 前作の「それでも守りたい世界があるんだ!」に迷いが生じる描写は全くないんで、VS諦観はデフォルト。最高のコーディネーターとして力の役割の方に最後に傾くか、「力だけが僕の全てじゃない」の自由人としての前作の正義をそのまま行くかがポイントとしてあるけれど、理想サイドのメインパーソンとして前作の正義をそのまま体現というのがこれまでのキラのポジションなんで、そのまま行く可能性が高い。というかストライクフリーダム発進は、前作の正義再び発進というのが前作のストライク発進orフリーダム発進とシンクロさせて描かれるものと信じています。

 シン同様、もう一つ「守る」というテーマ軸もあります。シンと同じくラクスでも民間の少女でもいいんですが、三度目の「守る」が完遂できるのかが見所。

◇ラクスとミーア

 役割絡みで一番楽しみなのがこの二人。パターンは二つ、本物のラクスが歌姫という役割からの自由(放棄)をやめて、再びその役割に付き、ミーアの方が本当のミーアとして役割から自由になるパターン。もう一つが、ラクスは役割からの自由をそのまま完遂し、ミーアが偽のラクスという役割を全うするパターン。どっちも非常に熱いんで期待。ああ、あと一応二人ともラクスから自由になって、そしてラクスはいなくなったパターンもあるかな。これも民衆を扇動する存在はいなくなった……という帰結であり得るかも。どっちにしろ、先週の、

 「役割だっていいじゃない!ちゃんと、ちゃんとやれば、そうやって生きたっていいじゃない!」(ミーア)

 から、役割テーマの帰結を担うのがこの二人なのはかなり確実だと思います。

◇ステラ

 これからってワケじゃないけど、第32話ラストの、

 「シン……好き……」(ステラ)

 で、生体兵器としての役割からは自由にという帰結。ここまで分かって振り返るとまた泣けます。

◇議長とレイ

 前回の真の目的予想が大体でも合ってるなら、諦観を浸透させてる人達でVS諦観と考えると打倒されるべき存在。議長が諦観を浸透させてる印象的なギミックは実は前からあって、議長は話の折々に「仕方ないだろう?」「それは仕方のないことだ」と「仕方ない」を沢山挿入するキャラとして描かれています。キラの「それでも!」と相反する台詞です。ただ、議長とレイを通して前作のクルーゼへの救いを描いてる側面がDESTINYにはあるんで(29話の「君とて望んで生きたのだ」とか、レイとクルーゼの親密な描写とか)、その辺りの救いが描かれるかどうかが見所。

◇ネオ

 役割テーマを担うもう一人。役割を全うしてネオとして行動するのか、そこから自由になってフラガとして行動するのか。これまでのネオは明らかに諦観サイドでしたが、役割テーマがどうでるにしろ意志を持って諦観に反逆……と変化するのが熱いと思います。

◇ルナマリア

 「軍人」の役割を選び取るか捨てるかがポイント。アスランから「敵って誰だよ?」を言われてる描写があるので、自分の意志でもって敵を定めて「軍人」の役割を選び取るパターンが一番熱いと思う(つまりシンに期待してるのと同じパターン)。ちょうど現OPではそんな展開になるようなカットがあるんだけど、さてはて。

◇メイリン

 前話で「軍人」としての役割は放棄したんだけど、まだ自分の強い意志による決断というのではない感じ。メイリンは「軍人」離脱決断もアリのような気がする。他のキャラと同じく、自分の意志による決断が役割からの自由か全うかかが見所。

◇タリア

 議長の与えた役割からはモロに離脱しそうな伏線が豊富ですが、議長との恋愛関係の方の話を考えると読めない人です。離脱してアークエンジェルと共闘まで行くのか、葛藤までは描かれても離脱するまでには至らないのか、その辺りが見所。

◇イザークとディアッカ

 前作でとにかく意志と自立思考に目覚めるまでが十全に描かれた二人なので、VS諦観は確実かと。ザフト軍人としての役割を生かして反逆するのか、そこから離脱して自由化(アークエンジェルと合流とか)して反逆するのか辺りが見所です。

 ざっとこんな感じで、幾人かは役割から自由になることを選び、また幾人かは役割を全うすることを選び……で物語が展開していくものと思われます。そこに共通する自分の意志、その辺りがこの物語の着地じゃないでしょうか。

 今話と直接関係の無い辺りで長く書いてしまった。

 SEEDの時も感じた、序盤に提示された美しい1ピース(「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」/「アスラン・ザラとしてでも、アレックスとしてでも」)が、物語が進んでパズル全体の枠組みが組みあがってきた所でピタリと最高の場所にハマる感覚が再び味わえたので満足です。

◇今週のモエ

・デスティニーガンダムの手の武装

 オレのこの手が真っ赤に燃える!

◇次回サブタイ「新しき旗」

 テーマ云々はとりあえず置いておいて、デスティニーガンダム活躍のバトルエンターテイメントに期待です。

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