●みえるひと

 もの凄く面白いと思いました。僕が第01話目からこう書いた作品は『武装錬金』に『Waqwaq』と軒並み打ち切られているので今から既に心配してたりしますが。

◇魅力1

 霊系、ホラー系の作品なんで、ついついムヒョとネウロを念頭に置いて見てしまうんですが(これ系統が1雑誌に3作品というのもスゴいですね。夏だからいいけど)、ネウロ−弥子関係、ムヒョ−ロージー関係、明神−姫乃関係が、それぞれ前者が特異能力の使い手で読者への“見せ”担当で、後者が読者視点の視点キャラにして(おそらく)成長キャラ担当というのは同じなんですが、明神はネウロ、ムヒョと違って天才タイプではない感じなのがイイですね。ネウロとムヒョは意図して一般人の感情移入を拒むような役作りにしてると思うんですが、明神は普通に気のイイそこら辺りにいそうなお兄さんで、姫乃視点からは見上げられる立ち位置にいながらも、明神にも感情移入できるようなキャラになってると思います。決して天才系じゃなくて、結構序盤からバトルでも苦戦しそうな雰囲気なのも個人的に好印象です。

◇魅力2

 桶川姫乃ちゃんが可愛い。

 いや、これは普通に。根は真っ直ぐの巻き込まれ型ヒロイン。ステキです。讃良ちゃんに神さまと、僕的ジャンプヒロインが次々と消えていって寂しく思っていたので、ここでヒロイン分を補給したいと思います。

◇魅力3

 霊−人間の境界モノとしての味付けが早くもしてある。

 ホムンクルスと人間、機械と人間、未確認生物と人間、境界テーマを扱った話は僕が非常に好きな所なんですが、早くも霊−人間の境界モノ要素を第01話に入れながら、第01話にして結論を回帰点として出してるのが好感。ラストの、「霊を怖いやつだと決めつけないでくれ―…<中略>根のいい奴らもいるんだよ……<以下略>」辺りの明神の台詞辺りが結論でしょう。霊だから、とか人間だから……とか、「だから」という括りでイイ奴悪いヤツがいるんじゃなくて、存在の善し悪しはそういう境界を無化した所にあると。霊だけどイイ奴の存在は第01話で既にアズミちゃんとか墓場の幽霊ジジイとか出ていましたが、今後はきっと人間だけど悪いヤツとかも出てきてこのテーマを掘り下げていくんじゃないかと。楽しみ楽しみ。

◇魅力4

 さりげなく、アパートモノの要素まで詰め込んでる。

 ラストにうたかた荘が出てきた時は、こんな要素まで詰め込んでくるのかと感動しました。昔のマガジンだったら『ラブひな』のひなた荘とか、今のジャンプの「タカヤ−閃武学園激闘伝−」の閃武学園内の寮なんかも同じ役割だと思いますが、共同の生活空間での、キャラクターエンタメ要素。キャラクター魅力を推した幽霊キャラと姫乃のキャラキャラしい話なんかにもきっと展開していくんじゃないかと。非常に楽しみです。

 って感じで非常に満足。このクオリティーのままできるだけ長く連載が続けばいいなと思っております。

●BLEACH

 虚と死神の対立を軸に、それを超える存在としての仮面の軍勢、主人公は超える存在なんだけど、自分としては死神で、その狭間で揺らぐ物語に入っていく……。こうしてみると、ホムンクルスと人間の対立を軸に、それを超える存在としてのヴィクター、主人公はヴィクターサイドで、だけど自分としては人間なのにと揺らぐ……と、「武装錬金」と構造はほぼ同じですな。一方は主力漫画として残り、もう一方は打ち切りで去っていったと思うと、両者を分けたのはどんな要素なのかとなんだかしみじみと考えさせられます。

 本編は一護親父も隊長クラスと、WJバトル漫画のお約束というか、パワーインフレが進行中。これはこのままドラゴンボールみたいになっていく感じかな。卍解を超える必殺技も普通に出てくると予想しますよ。

 僕的な見所はパワーインフレ進行中で、どうやって長い紹介編を通して肉付けしたソウルソサイアティの死神キャラ達を関わらせてくるのかって所かなぁ。副隊長クラスは既に出番が無いほどにインフレが進んでる気がするんですが、雛森とかやちるとか、副隊長には好きなキャラが多いので、是非ともすくい上げて欲しい所。

●タカヤ−閃武学園激闘伝−

 お金を悪いイメージと結びつけて悪サイドに、貧乏だけど武道なりなんなりで清廉な方を正義サイドに……という描き方は好きじゃないんですが、「オラオラァ!!!土木系ナメんなよコラァ!!」に爆笑させて貰ったんで全て許せました。殺人ブルトーザーて。ネウロのドーピングコンソメスープ辺りでも感じたことですが、梅澤先生が残していったスピリットが未だWJ内のどこかに残留してるような印象を受けます。正直嬉しいです。

 前回はキャラクター路線にやっぱり入ってきたなぁなんて感想を書きましたが、今回もう一つ、同じくそういう路線に入った方が子どもにはウケるんじゃない?と書いていた、必殺技でバトル路線に入ってきました。渚ちゃんが「流掌鳴動」、「破裏深威」と、必殺技を振る舞っておりました。これは子どもにはウケると思うんだけどなー。

 というワケで新連載、僕の子ども心を読む能力がそれなりだったなら、タカヤは生き残るんじゃないかと。見事に外れた時は笑ってやって下さい。

●カイン

 兄に劣等感を抱く弟という所から物語が始まって、でも実は弟は兄に対して憧れの気持ちも抱いていて、さらに兄の方でも弟に愛情はあって……と、オーソドックスな兄弟劣等感物語を過去編で1話描いてきました。個人的に少し目新しく感じたのは、大抵は主人公で視点キャラの方が劣等感を抱いている弟の場合が多いんだけど、カインでは主人公の方が劣等感を抱かれる側だったって辺りかな。

 で、結局はそういう物語を経て解り合えたのに、また闘わねばならない、悲しい……という話を描く模様。

 これはただ悲劇的な結末がついて悲しいね……ではちょっと物足りないかな。何かしらギミック付きで、和解、再理解の方に帰着する展開を期待したいです。

●魔人探偵脳噛ネウロ

 序盤の頃ヨロシクで、人間的、倫理的に殺人に対して憤りを抱く弥子に対して、ネウロはその辺りを超越していて謎にだけ興味を示し、そっち系には無関心というのが痺れます。いや、ネウロは謎だけってわけじゃないのかな、アヤ・エイジアに若干の敬意を示したのや、今回のX・Iに対する反応から見ても、広く「優秀さ」にも興味を示してるキャラの様に思います。

 それにしてもストレートな正義とは言えないネウロVS別ベクトルの悪という構図です。悪VS悪感が強いDEATH NOTEまでいかずとも、一つスタンダードから外して、友情・愛情・正義とか、そういう「陽」の要素が無いバトルを見せて欲しいです。もう、ネウロはバトル漫画でもなんでもアリです。

●武装錬金ファイナル予告

 見開き絵カッコいい。やっぱりカズキはカッコいいよ。

 65Pと、結構なページ数も取って貰ったんで、普通に期待させて頂きます。すっごいイイ所で終わってますしね。偽善、キレイ言と罵られながらも、「陽」の信念を貫かんとするカズキが、時にそれを貫けないような過酷な状況に置かれてしまうのが一つ武装錬金の魅力にあったと思うんですが、全員救済の「陽」の信念を貫けずに結局、蝶野の命と斗貴子さんの命を量りにかけて斗貴子さんの命を選択した蝶野編のラストを踏まえて、今度はヴィクターの命と自分の命の二択に……!という所で終わってるワケですよ。和月先生といえば自分でもハッピーエンド指向だと仰ってる方なんですが、『武装錬金』には『仮面ライダー』や『サイボーグ009』系の、悲哀のヒーロー路線の雰囲気があったのも事実です。果たしてハッピーエンドなのか否か。やっぱり楽しみですよ。

●こち亀

 早矢の真意は何?みたいなちょっとだけミステリ要素が前回には入ってたんですが、普通に部長と憂鬱の自意識過剰勘違いオチでした。こういう情けない男ポジションは両津に回ってくることが多いのに、とりあえずは真面目キャラの憂鬱に回ってくる辺りは面白かったです。相対的に両さんの方が常識人じゃん!みたいな。

 祭り描写がメインで、ほとんど日本文化紹介エピソードですね。打ち切り免除作品だとこういう話で1話もアリなんだと感動。まあ、地域文化、マイナー文化紹介はこち亀の魅力の一つなわけなんでいいんですが。

 ラストのプラスと檸檬の邂逅はピュアピュアしくてちょっと良かったかもだ。

●HUNTER×HUNTER

 ここにきて、女王が王を生んだ辺りでも描かれた、「子を想う親の気持ち」という部分がテーマとして浮上してきましたよ。王VS盲目の女性の軍儀勝負は、ゴンとメレオロンの関係と同時進行で描かれてる異種族理解物語の一側面だとは思ってたんですが、ここで子を想う気持ちの話がかかってくるとは。

 『幽遊白書』しかり、『レベルE』しかりで異種族対立が無化されるラストがあり得るんじゃないかとはずっと書いてきましたが、案外、この辺りの、どんな種族でも共通普遍に持ってる想い辺りを媒介にして種族対立の無化が描かれるのかもしれませんね。

●いちご100%

 西野エンディング編とも言える1話。

 しかもファイナルエンディングは誰と結ばれるでもなく、真中の自立エンドのような、ギャルゲーテイストを念頭に置いた作品らしくないカッコイイ結末になりそうな雰囲気も。

 いちご、パンチラにバカな物理ギミックで密着エロと、そっち系の描写がメインイメージの漫画ではあったと思うんですが、「夢」とか「依存しない関係」、「自立」なんていう着地点となりそうなテーマは中学編からずーっと続いて描かれてたんですよね。自立した関係でそれぞれの夢へという今回の西野エンディング。キレイでしたよ。残るファイナルエンディングに期待です。


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