前作第3クールのラクス→キラ語り、ラクス→アスラン語りを彷彿とさせるラクス語りがラクス→アスランで炸裂。超越者ポジションだった前作第3クールまでから、前作のラストを受けて下ろされ、行動に迷い、逡巡が見られ、積極的なスポットがあたってこなかった今作。実に最終クールまで持ち越して、ついにラクスパートが始まりましたよ。
 「怖いのは閉ざされてしまうこと、こうなのだ、ここまでだと、終えてしまうことです」(ラクス)

 VS諦観

 前作ラストのクルーゼの諦観、今作で議長から割り振られる役割に対してのここまでだ……という諦観。そういったものに抗う存在がラクス。今作第08話で「誤魔化せないのかも・・・、いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす」というシンの諦観に抗って慰霊碑にそれでもラクスが花を添えるシーンから張られていた思想パートの伏線がようやく顕在化。

 議長の作ろうとしている世界は確かに静謐で争いが無くなるかも知れませんが、人の持つ未来への未確定な可能性が奪われてしまうのがキツいです。ネガティブな結果になれ、ポジティブな結果になれ、自分で選ぶからこそ得られる未来への可能性。その可能性をまだ信じてるのが思想パートでVS議長の物語役割を果たすラクス。

 議長ならば、印象的に使われてる「仕方がないだろう?」の台詞を使って、「君は戦士なのだから、こうなのだ、ここまでなのだ、それは仕方がないことだろう?」とアスランに言葉をかける所を、ラクスがかけたのは、

 「そしてあなたは確かに戦士なのかもしれませんが、アスランでしょう?」(ラクス)

 個人

 前作34話の「君は誰?」「私はラクス・クラインですわ」、前作36話の「ザフトのアスラン・ザラ!」を思い出させる、「個人」のテーマを担うラクスの言葉。

 前作で描かれた、ザフトだから、地球軍だから、コーディネーターだから、ナチュラルだから……という「……だから」というカテゴリ依存からの離脱を、戦士だから、こういう役割だから、あの人がこう言ったから……というもう少し広義の依存からの離脱にテーマを広げて描いてきたDESTINY。選んだ未来のポジティブ面、マイナス面に転化してしまうリスクも全て引き受けた上で、「個人」が自分で自分の道を選んで作られていく世界を、ラクスはまだ信じています。

 そんなラクスの言葉を受けて、別サイドの議長の言葉をも回想して飲み込んで、全てのリスクを引き受けてアスランが再びジャスティスに搭乗。

 「アスラン・ザラ、ジャスティス、出る!」(アスラン)

 セイバーの時は「発進する!」だったのが、「出る!」のナチュラルアスランにかえってるのがカッコいいです(セイバー発進の時に変更されてたのはダミー燃えのためのギミックだったのか)。

 錯綜する価値観に迷い、悩み、理想と現実を行ったり来たり、そんなアスランがついに自分の行動を選択して発進。アスラン物語の着地です。キラは既に自己選択のシーンを演出付きで描かれてストライクフリーダムに乗ってるので、残る三主人公の物語はシン物語です。まだシンに燃え演出付き発進シーンが描かれてないのは多分“タメ”です。本当の最終章まで物語を温存されてるシンには今から燃えるものを感じます。

◇その他

・ストライクフリーダムの二刀流&合体銃?はカッコいい。
・ラクスのレアなパイロットスーツ姿は嬉しい。勿論ピンク。
・ジェットストリームアタック!ニヤリとするメガネ燃え。
・ラクスの「選ぶのはあなた」云々のシーンに関連づけてネオの自己選択による介入シーンを入れたのは燃える。

 vestige -ヴェスティージ-をバックにしたデスティニーVSストライクフリーダム、ミネルバVSアークエンジェルが普通にバトルとしても燃えた1話でした。引っ張ってるのはカガリとシンの物語もまだここでは着地させない点でしょうか。やはり、シン物語は最終章の最終章まで持ち越し。

◇次回サブタイ「反撃の声」

 39話で頂点を極めた議長サイドに対しての、自由サイド反撃回。久々の強いアスランに期待です。

 当ブログでは下のコメント欄で、閲覧者の皆様のコメント、感想を広く受け付けております。別に僕の感想と関係なくてもイイんで、広くSEEDの話題を書き込んでいただければ幸いです。トラックバックも積極的に受け付けております。気兼ねなくどうぞ。(ライブドア側の事情によりコメント欄に350字ほどの字数制限がついております、お気をつけ下さい)

前回の感想へ次回の感想へ