
WJ感想記事の、第4巻相当部分をまとめてみました。
感想は休みました。
◇第28話「第一次成長」
今週はバトルシーンがかなりイイ感じ。巧みに槍をあやつる戦い方とか、バトルシーンにバリエーションが増えてきて楽しくなってきました。決め技はやっぱり突撃(チャージ)なんだろうけど、そこにもっていくまでにコツコツ戦うというのは好きな絵です。あとは桜花先輩の多弾道式っぽい武装錬金とか、それを空中にてバルキリーで撃ち落とす斗貴子さんの絵とか、かなり満足。でもって次週はおそらく秋水くんの武装錬金がついに登場ですよ。やっぱ日本刀かなぁ。だったら和月先生的に気合い入ってそうです。
◇第29話「相性がいい」
ヤ ラ レ タ 。
ガリバーとかハーメルンとか、超常選民同盟の武装錬金は古典名作から名前を取ってきているので、個人的に秋水くんの武装錬金の名前は色々予想していたんですが、いい感じに裏切られました。
形態が日本刀なのは予想できたんで、日本の古典から和名がくるかなーと思って、僕的にも本命は乃木さん(1月5日他、月曜の陣中日記)と同じく『安寿と厨子王』あたりじゃないかと思っていたんですが、全然違いました。 「ソードサムライX」でした。これは熱い。
一応解説しておくと、『サムライX』は『るろうに剣心』の海外版のタイトルですね。和月先生はこのネーミングがスゲー気に入っていて、いつか自分の作品にフィードバックしたいと思ってた……なんて話が『ガン・ブレイズ・ウェスト』の単行本コメントにそう言えば載っていました。カッコいいな、『るろうに剣心』はもはや古典名作ということですよ。
現在連載している荒木先生の「スティール・ボール・ラン」もそうなんですが、こういう自分の過去の作品を元ネタとして仕込むという手法、ヒット作がある人ならではの手法で、なんかカッコいいよね。
◇第30話「接戦」
小手は単に弦を引くとき指を痛めないようにじゃないの(普通の考え)?ちょっと、エンゼル御前は元ネタが分かりません。誰か分かった人は是非とも教えて下さい。何かの作品と関係あると思うんですが。
ラストのいよいよ逆胴が来る緊迫感は燃えです。「裂帛の気合い」っていう単語辺りにるろうにっぽさを感じたり。スッゲーエキセントリックな凌ぎ方をしそうですが、普通に剣道の防御法を踏襲した凌ぎ方なんかでもツボなんですが。
◇第31話「信奉者」
カズキの核鉄は心臓部(左胸)にあるから、それで防御する展開にするために秋水先輩の必殺技は逆胴にしたのか!面でも普通の胴でもこの展開にはできなかったワケで、良く考えてるなーと思いました。
「死が二人を別つまで」は『るろうに』で剣心が巴に「一緒に暮らそう」とプロポーズするときのフレーズですね。巴と桜花のキャラデザが似てるということもあるんですが、どうも、この早坂姉弟篇は、『るろうに』の巴及び雪代姉弟で描きたかったテーマを別の形で描いているという気がしています。
◇第32話「早坂姉弟の世界」
「ダメだ! まだ人間なんだ ここからやり直すコトだって出来る!」
キャラ魅力で言うならば、斗貴子さんもパピヨンもいいけど、やっぱカズキが好きだからこの漫画読んでる自分がいますよ。バルキリースカートをランスで止めたコマはヨシッって感じでした。
早坂姉弟篇クライマックスですよ。今まで描かれてきた、斗貴子さんの過去(「自分たちが一番不幸だと思っているのなら別にそれでも構わない」は泣きポイント)にホムンクルス・即・斬のスタンス、偽善者と呼ばれてもキレイ言を貫こうとするカズキ、このクライマックスを描きたかったために今までがあったという感じです。
甘さ、偽善と呼ばれるようなキレイ言を貫けるかがカズキ物語だし、盲信気味というか偏ってるというか、敵・即・殺すの思想を乗り越えられるかが斗貴子さん物語のように思います。さらに、早坂姉弟にも「二人だけの世界で生きていく」という思想を乗り越えられるかという物語が始まりそうな気がします(この考え方は依存心が強いという意味でマイナス属性に思えるんで)。まったくもってコレらの物語が全部描かれるまでこの漫画を見てみたいと思っております。その辺り、面白い連載が始まるのは歓迎しながらも、この漫画脅かすほどの量のヒット新連載はやめて欲しいなと思っていたり。
とりあえず、はやくブラボー来てくれ。
◇早坂姉弟篇とるろうに追憶篇
前からちょこっと言っていたけど、『武装錬金』の早坂姉弟篇は、同和月先生のヒット作『るろうに剣心』の追憶篇の別な形として読んでみると面白そうな気がするんで、ピコっと書いてみる。
とりあえず説を二つほど考えてみた。
●説1/桜花=巴、秋水=剣心、説
この場合の根拠としては、桜花と秋水、巴と剣心のペアがそれぞれ「死が二人を別つまで」一緒にいようという契りを結んでいる点。そして桜花のキャラデザがとっても巴に似ている点。秋水の武装錬金が日本刀な点。というか「ソードサムライX」の「サムライX」は『るろうに剣心』の海外版のタイトルである点。等々。
この場合、『武装錬金』の今後の展開で桜花が死んだりすると、まんま『るろうに追憶篇』のリフレイン。秋水(剣心)は桜花(巴)を守れなかった咎を胸に、今後は人を守るために生きていくなんて展開になるかもしれない。これはこれでリフレインパターンとして、両方読んでる読者にとっては面白いパターン。
●説2/桜花=巴、秋水=縁、斗貴子さん=剣心、説
こっちの場合の根拠は、桜花と秋水、巴と縁のペアがそれぞれ特殊な絆で結ばれる姉弟という関係な点でシンクロしている点。さらに斗貴子さんと剣心が顔の傷の点でシンクロする点。というか和月先生が『武装錬金』の1巻のコメントで「斗貴子さんは抜刀斎に(キャラデザが)似てるなー」みたいなことを言っていた点。さらに現在の斗貴子さんのスタンスが、抜刀斎時代の凶の正義に依存していた剣心のスタンスに重なる点。等々。
この場合、今週の流れのまま桜花が斗貴子さんに殺されたりすると、説1同様『るろうに追憶篇』のリフレインになります。秋水(縁)は斗貴子さん(剣心)に復讐を誓い人格が崩れてゆき、斗貴子さんは剣心同様「贖罪」というテーマを連載中ずーっと背負うことになる…なんて感じで。
で、仮にどちらかの説が当てはまるとして、ここからは僕の願望だけど、追憶篇のリフレイン、やってくれたらやってくれたで面白いけど、何しろ『るろうに』で一番悲しい話の部分だったんで、もう一度悲しませてほしいかというとそうでもない。
となると、今回はどちらの説にせよ、異分子であるカズキがいる点に注目したい。『るろうに』ではいなかった、未熟ながら「守る」ことを信念に掲げるカズキが今回はその場にいます。僕、カズキ大好きなんで、頑張って欲しい。今後、桜花に命の危険がせまり、それをカズキが守るみたいな展開だったら、泣く。
逆に言えばブラボーが場を治めたりしたらブラボー超ブラボーです。
あとは秋水を剣心と見るにせよ縁と見るにせよ今度は桜花を守り通すとかね。それも泣けるなオイ。
◇第33話「諦めるな!」
どくーんと胸にキました。
上のように、どうにも早坂姉弟篇は「るろうに」の追憶篇と重ね合わせて読んでたんで、今週のラスト8ページはヨカッタ。「"死が二人を別つまで"…とうとう…来ちゃったね…今まで…あり…が…」の所まで、ああ、やっぱり追憶篇のリフレインなのか、やっぱり巴(桜花)は死ぬのか…悲譚なのか…と悲哀気分いっぱいにさせられてたんだけど、そこにページめくった所でカズキの「まだだ!!諦めるな!!(サブタイでもある)」がキました。カズキ・゚・(ノД`)・゚・って感じ。
ラスト8p良すぎ。「もしもあの時…早坂の扉が閉ざされた時…すぐ外に武藤クンがいたら絶対に助けてくれたんだろうな…って」が普通に泣けます。ここで、桜花助かって欲しいとホント思いました。ああ、でもやっぱ悲譚なのか…って感じで絶望に襲われる僕。そこで飛び出す主人公(読者の代理)の「あきらめるな!!」…かなり最高。つーか無駄なさ過ぎ、前回の蝶野戦を踏まえた「今度は守る」のカズキの台詞が今週の結末に深みを与えるし、今週の結末自体が、やたらとブっ殺すという思想を乗り越えられるかという斗貴子さん物語、「二人きりの世界」という依存を抜け出せるかという早坂姉弟物語それぞれにとって重要なイベントになっています。
追憶篇リフレイン視点から見ても、先週書いたように異分子である守り人カズキが今度は守るという僕の望んでいた展開で、かなり満足。和月氏、同じ結末はつけませんでした。これが、オレは読みたかったのだよ。
◇第34話「Let’sお見舞い」
3週ほどギャグ無しのシリアス話だったんで、月をバックにライダーキックで現れるブラボーを始め、今週のギャグモードには和みました。
掲載位置ヤバ目ですが、なんとか超常選民同盟の話が完結するまでは続いて欲しい所。逆に、この話でラストとなっても、とりあえず満足できそうな自分がいます。蝶野篇と早坂姉弟篇は僕的に最高レベルの満足度だったので、もう和月信念というものを十分に見せて貰ったと思うし、和月先生は核の部分はもう十分に伝えたんじゃないかと思う自分がいるんで。
あとは、カズキとパピヨンの因縁の決着、斗貴子さん物語の決着(おそらく障害として立ちはだかる斗貴子篇のボス西山くん(仮)の撃破)、ブラボーVS月の人の決着、二人きりの依存を抜け出した秋水の参戦、そしてラスボスの選民同盟の錬金戦士撃破……このくらいが描かれれば最高の終わり方が出来ると思います。でもこうやって書いてみたけど結構まだ多いな。やっぱもう一年は必要ですよ。あんまりもの凄い新連載が現れませんように(ネガティブ発言)。
◇第35話「作戦開始は13時間後」
掲載位置最下位です。コレは、終わるな。うん、終わる覚悟をしておこう。
先週も言ったけど、蝶野篇、早坂姉弟篇でこの作品の核は描き切ったと思うんで、まとめに入ってくれても納得です。逆に、短期で完結した方が、僕的漫画史に残る名作になりそうにさえ思えます。刹那的で高密度と言うのは燃えます。
本編は夏休みに海に行こうという約束を胸に、戦士と認められたカズキが戦いにおもむくところまで。末尾のアオリ「友との約束を胸に 今 少年は戦士になる!」がカッチョいいです。そしてどうにも最終決戦前という一話です。「戦いが終わったら〜」って言うのはもう最終決戦の雰囲気バリバリです。戦いの最中、瀕死の状態でこの「海に行く」という約束が回想されるのかなーとか、エピローグは海でのカズキ、斗貴子さんのトークかなーとか、王道の想像が膨らみます。
あとはまとめるのにどのくらい話数がいるのかですな。2クールあれば十分と思いますが、この感じだと1クールしかないのかなぁ。でもまあ1話に一人倒すくらいの勢いなら間に合うかな、そのくらいのテンションが可能な漫画ですし。
残りの消化要素ですけど、前に言っていた秋水くんの参戦は無くてもOKですな。何かを手に入れて帰ってくるところまで描けば完結感は増しますが、この前の話、依存していた自分に気づいてそれを乗り越える修行の旅に出るというところまでで、十分秋水物語はまとまってます(去り際の演出は詩的だったし)。ということで斗貴子さん物語の過去との決着と、カズキVSパピヨンの決着、この二点さえ描かれれば十分な完結感が得られると思います。ブラボーVSムーンフェイスはサクッと終わらせられそうだし、バタフライとラスボスっぽい裏切りの戦士の話は、なんつーかこの作品の核ではないように思うんで、テキトーでもいいです(裏切りの戦士とか、カズキと斗貴子さんとの間に特に因縁とか、伏線とか無いと思うんで)。
そんな感じで、近いウチの終幕を予感しつつ、一応今週からアンケートハガキを出そうと思います。
◇第36話「カーニバル[祭]」
そのまんまだ!>ムーン・フェイス。
舞台を学校に移しての最終決戦。てっきりるろうにの志々雄編みたいに敵アジトで敵を倒しながら先に進んでいく展開になると思ってたんだけど、学校、最終決戦の場としてはこれ以上ふさわしい舞台は無いよな。カズキの守ベき日常の象徴でかつ斗貴子さんの過去と同じ舞台。そして誰も蝶野のことを認識しなかった学校。ナウシカのOPの巨神兵チックな敵雑魚兵(推定)がワラワラ出てきて盛り上がる中、浮いてるバタフライとラスボスの彼に、気になるパピヨンの動向。最終戦、大盛り上がりで加速しています。
◇コミックス第4巻、発売時の感想
ずっと、桜花=『るろうに』の巴、秋水=縁or剣心ということを言っていたのだけど、
桜花にていて:「途中から少し『るろうに剣心』の雪代巴が入ってます」
秋水について:「桜花同様、途中から少し『るろうに剣心』の雪代縁が入ってます」
との作者コメントから、結構当たっていたということが判明(剣心はあんまし関係なかったみたいだけど)。
でも、桜花死にかけシーンと巴死亡シーンが非常に似ている点について、
「ホントだ!ソックリビックリだ!!まったく意識しないで描いてた…。やっぱりこの二人は巴と縁のリボーンキャラなんだなぁ。しみじみ」
なんてコメントしていることから、どうやら最初からプロットを組んで意図的に似せたワケではないらしい。
こ、この話は何かイイな。無意識なんだけど、深層意識に自キャラの影響が組み込まれていた!みたいな。
「マンガの影響力をあなどるなよ……一番、影響を受けるのは、作者だからな!!」(『吼えろペン』より)
を、地でいったみたいな。
結果として、『るろうに』と『武装錬金』の両方の読者にとってはエラく感動的なテイストになってるのが熱い。やっぱり、ギリギリまで今度も巴と縁の物語は悲譚なのか……と思わせといて、そこで、武装錬金にだけ存在するカズキの「あきらめるな!」が飛び出すという。
「心のどこかで報われる縁を見てみたかったんだろうなぁ」
とか言ってるけど、無意識の産物にしては出来すぎですぜ、コレは。エンディングほんとキレイだし。依存をやめてそれぞれ歩み出すっていうラスト。「花の香り?」のラストシーンが、ほんとステキ。2巻のラストといい、エンディングは出色。
●秋水とカズキの剣劇は省略
人気とか、色々考慮してるらしい。『るろうに』の剣劇好きだった読者としてはじっくり絵を楽しみたかったりもするんですが、しょうがないですね、ぶっちゃけ、この漫画人気無いんで、多数の読者が望まない部分はガンガン省略していかないと。
●太と細
使い捨てのやっつけキャラと作者自ら存分に暴露してるのが相変わらずステキです。大丈夫、読者もそんなことは分かっていた!
●他
ソードサムライXについてとかもうちょっと聞きたかったかな。版権の関係で自作に登場させるのは無理かなぁ、とか言ってたのをどうやってクリアしたのかとか。やっぱり頭にソードをつけたからOKッ!とかだったの?
◇補
33話のラストの「共に生きることを誓いますか?」の部分と、34話のラストの「花の香り?」の両方の部分で使われてる香りを表現したと思われるトーンが、一つの記号なんでしょうな。二人の関係が依存し合ったマイナスのものじゃなく、前向きなものに裏返ったのを表す記号。言葉と絵の媒体である漫画の、絵の部分を表現に活用していていい感じ。

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