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最終決戦の「自由」VS「運命」の構図は自由サイドに軍配が上がったわけですが、運命サイドの人間にも救いが描かれていたのが優しい最終回だと思いました。もっと、運命サイドが作中悪チックに打倒されるラストもあり得たワケじゃないですか。そういうのよりは、うんと良かった。ラストの運命サイドの疑似家族の特殊な絆で迎えた結末のシーンにはかなりじんときました。
レイのクルーゼの文脈にそった負の感情をキラが言葉で浄化したというラストに感激。前作でクルーゼの負の感情の源泉を表しているフラガの台詞に、
「ヤツには、過去も未来も、自分すらないんだ」(フラガ)
というのがあるんですが、レイの場合もクローンゆえに過去も未来も自分もないと思っていたのがデスティニープランに走った背景だと思われます。
そこに叩きつけられるキラの、
「でも違う!命は何にだって一つだ!だからその命はキミだ!彼じゃない!」(キラ)
が熱かった。
レイに「自分」を与える台詞です。ミーア絡みでも描かれた、真−偽テーマの帰結。クローンで偽だからとかじゃない。キミはキミ、あなたはあなた。
前作で言うなら、
「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」(ラクス)
今作で言うなら、
「あなたの夢はあなたのものですわ。それを歌って下さい。自分のために」(ラクス)
といった所の作中での是の思想。それがキラの言葉を通してレイに叩きつけられます。
ダメ押しのラストのキラの、
「でも僕はソレを知っている。分かっていけることも、変わっていけることも、だから明日が欲しいんだ!」(キラ)
で、明日(未来)を、
ラストのラストの、
「お……母さん……」(レイ)
であり得たかもしれない過去を。
クルーゼ〜レイの文脈の負の感情の源泉をトータルに浄化して、救いが残るラストでした。
前作のラストでは結局憎しみに捕らわれたままクルーゼに突撃するしかなかったキラが、今作ラストでは言葉でもってレイ(クルーゼ)に救いを与えたというのが感動。クルーゼの文脈が色濃かったDESTINYのクルーゼ絡みの物語、最終回にて完全決着。美しい。
◇
それにしても、最後の最後のキラと議長が銃を向け合うシーンまで自由−運命が拮抗してるのがスゴかった(ついに最終回でこの二人が直接対峙というシチェーションも熱いんですが)。最終回Bパートまで、正義相対を貫いた作品でした。されど最後の最後はキラの言葉で、運命の最右翼だったのに「変化」がもたらされてしまったレイの銃弾で、一応の自由勝利の結末に。最後の最後まで、自由−運命でひっぱりました。
◇
ラスト、タリア艦長がマリューに言及して自分の子どもに「いつか会ってやってね」と伝えて欲しいとキラに語る場面も素敵。子どもは最終回で繰り返し「是」として言語化された、「明日」、「未来」の象徴と解釈。それを一応はマリューへの「受け継ぎ」ラスト。ウズミ→カガリ、ミーア→ラクスなどで描かれていた、「受け継ぎ」テーマも完結。さらには、異なるサイドに別れて戦ったタリアとマリューの相互理解エンドでもあります。異なるサイド同士の相互理解は最後の最後に解り合えたミーアとラクスが素敵でしたが、このテーマも最終回ではタリア艦長が担って決着。やはり、ここまで違ってしまって別れても、理解し合える。これも作中の救い。
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そして、個人的に一番の見所だったシンの結末。
「なのに未来まで殺す気かお前は!お前が欲しかったのは本当にそんな力か!」(アスラン)
のアスランの台詞が微かに届きました。アスランよくやった。
悲劇エンドもありえただけに、このささやかな(本当にささやかな)救いエンドは良かったですよ。
守れなかった人達の本当の想いを誤謬してるのがシンのあやまちだったワケですが(マユもステラもシンが復讐に駆られたり、戦うことを望んではいない)、最後の最後、アスランの言葉と共に討たれたのをきっかけにステラと邂逅。
「でもまた明日、うん、明日」(ステラ)
最後にシンの救済エンドに絡んだのはやはりステラでした。不思議な世界で、ステラも「明日」を望んでいたことを知るシン。されど、今、微かにそれに気づいても、もうできるのはルナマリアの胸で泣くことだけ。前作ラストのキラとアスランを彷彿とさせる、結局何もできなくて泣くことしかできないエンドですが、議長の文脈のループから抜け出して最後にステラらの想いに微かに気づいたというのは、微かな救いエンドです。本当に微かな。でも好き。シン良くやった。満足です。完璧な悲劇エンドも予想していただけに本当に満足。
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というわけで、個人的にはこの作品が好きだった、と思える最終回で本当に良かったです。福田己津央監督に両澤千晶さんをはじめ、スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。週一に楽しみがある、素敵な一年間でした。ありがとうございました。
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来週辺りに前作と同じく好きなエピソードベスト5の記事をアップしてとりあえずランゲージダイアリーのDESTINY感想は終了となります(またDVDで追加エピソードとかあったら感想書きますが)。閲覧者の皆様も一年間ありがとうございました。僕の他の文章も見て下さってる方はまたいつもの機会に会いましょう。DESTINY感想だけを週一で見に来ていたという方は、今までありがとうございました。また何かの機会にお会いしましょう。
それでは!
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キラVSレイ……クローンだから、テロメアが短いからと、己を殺して自らの全てを議長に託したレイに『君は君でしかない』と諭して、レイの『個』を触発したキラ。
シンVSアスラン……家族やステラを失った復讐心からしか沸き起こる蛮勇を振るうことしかできなかったシンに、50話がかりでようやく修正の一撃を加えることのできたアスラン(遅いよw)。明日を見て欲しいというステラの幻影と、目を醒ました時、一緒に未来を歩むであろうルナがいてくれたことがシンへの救済なのでしょう。シンの涙は、自らの内面に溜め込まれていた過去を放出する描写だったのでしょうか。(続く)