「志摩子が思っているより、ずっとこの世界は生きやすい場所なんだって」(聖)

 またまた再読感想です。祐巳−祥子さまラインはとにかくコメディチックで面白く、一方で、志摩子さん−聖&蟹名静ラインの方はコメディというより文芸風味。この一粒で何度も美味しいファーストデートトライアングルもものすごく好きな話です。
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 「それから志摩子さん、あなたにも興味があるわ」(蟹名静)

 ちょっと孤高な所とか、性質的な部分もそうなんですが、「学園から去っていく」というのがキーになって、志摩子さんと静嬢は似たもの同士なんですよね。結末としては、静は実際に学園を去ってイタリアへと渡り、志摩子さんは乃梨子との出会い、そして祐巳をはじめとする仲間との絆に引っ張られてリリアンに残るという。そういう物語の背後にはやっぱり白薔薇物語の系譜の原点ともいうべき聖と栞との別れの悲譚があって、そこから始まって、お互い傷つく形で聖は学園に残り、栞は学園を去っていった(「学園から去っていくという」キーは実は栞さんから続くモノ、一文だけ、本巻でそれを暗示させる文章が入ります)という聖−栞の結末からレベルアップして、乃梨子や仲間に支えられて学園に残る志摩子さんに、なんか、学園から去るんだけど、悲哀の香りはせずに、なんか前向きな感じで学園を去っていく静さまという風に繋がっていくという。時代を経、人間関係も移り変わりながら、悲譚から前向きな話へ、それが白薔薇ストーリー。マリみての中ではサイドストーリーなんですが、文芸的なベクトルではやっぱり白薔薇物語がピカ一だと思っております。志摩子さんも、乃梨子も、聖も静嬢もみんな好きだ!

◇祥子さまの課題?

 「紅いカード」に出てくる、美冬嬢が祥子さまを評してのこんな一文、

 彼女は、大概の人間に対してそんな風に接する。喩えて言えば、絹の手袋をはめた手で握手をする。そんな感じだ。(P173)

 前巻の聖さまのあの子はね、自分がそうしていい場所をわきまえて威張っているの。この人の前だから自分を出しても大丈夫、って。という評も含めて、なんというか自分の回りにバリアを張って、孤高な感じ。その辺りが祥子さまの課題というか、これから変わっていくのが描かれる変化のポイントなのかもしれません。志摩子さんストーリーもそうですが、ちょっと孤高な感じだった人が、人との交流を経てちょっぴりまるくなっていく過程を描いてる感がありますよね、マリみて。そんな孤高な感じ、一般人との距離を縮めたいという主題が、最後の「紅薔薇さま、人生最良の日」にかかってくるんですね。孤高で近寄り難い薔薇の館よりも、多くの生徒とうち解けた開いた薔薇の館へ。祥子さまもこのノリで色んな人と広くうち解けた感じに変わっていくのかも、なんて思わされた1冊でした。

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 まとめると、なんだか無性に自分もウィンドウショッピングがしたくなる1冊だということです。もうどんだけまともなウィンドウショッピングやってないだろう自分。僕も妹とファーストフード行って、ジーンズ屋行って、スニーカー買って、喫茶でお茶したいです。一緒に行ってくれる人募集。女性優遇。

マリア様がみてる―ウァレンティーヌスの贈り物〈後編〉

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