本日は漫画部門をお送りします。企画概要はこちら。
今年はあんまし新規開拓をしなかった感じです。なんで、単行本出るたびに買ってるような、コンスタントに楽しませて貰ってる作品&作家さんのモノを選んだ感じです。
佐渡川準『無敵看板娘』
「行くぞ!なんでも自分の思い通りにはならないという現実と、そんな現実の中で生きる人間のたくましさを、教えてやる」
何気に毎年選んでる気がする1作です。1話完結の日常コメディなんで、ちょっとあいた時間に何話かパラパラと読むことが多いという、僕的に再読性が高いコミックです。ギャグ漫画なんだけど、たまにちょっぴりイイ話、なんとなく教訓めいた話が入るのもイイ所。巻末コメントなんかから察するに作者、めちゃめちゃ謙虚でイイ人なんじゃないかと思ってます。最近は太田さんと権藤さんが出てくる話が好き。ときおり読み返しては笑いたいので、長く続いて欲しい漫画です。

CLAMP『ツバサ―Reservoir chronicle』
「一人だったらきっと辛かったと思います、でも……一緒だから」
大胆にサクラを主人公に添えたピッフル国編が楽しめた2005年でした。物語冒頭では記憶の羽が飛び散って心が空白状態だったサクラが、物語を経てここまでVividになれたというお話。可愛くて元気な女の子が活躍する話が好きだ!と確認してしまった話でした。おジャ魔女とかプリキュアとか好きなはずだよ、自分。サクラを原作版よりも重要視してるアニメ版も楽しめた1年でした。4月からの第2シーズンでサクラ全開のピッフル国編が映像化されるのを楽しみにしています。

榛野なな恵『卒業式』
「――桃川……疑問を持ち、理想を追うのもいいことだが、世の中の大多数の人間はその日その日を平穏に生きていくことが一番大切だと思ってるんだ。それは決して責められることではなくて――」
「まだ15年しか生きてない私がこんなこと言うのナマイキだけど、平凡が一番とかそれが自然なんていう言葉は壁みたいなものだと思う。そこで思考をストップさせてしまうための都合のいい壁。私はその向こうにあるものを見たいの、聞きたいの先生。そうじゃなかったら、どうしてこんなめんどうな勉強をするの?難しい本を読む必要があるの?」
宇多田ヒカルの『Passion』の歌詞を引用すれば、「昔からの決まり事を たまに疑いたくなるよ」ってな感じで、既存のスタンダード、普通ってな価値観をそのままは受け入れられない女の子の話が中心の榛野なな恵作品です。数年前はストレートに共感してたんですが、最近は「スタンダード」や「普通」もいい面もあるし、孤高もカッコいいけど仲間パワーも楽しくて強いと感じることも多くなってきたので、共感指数は以前ほどでもなくなってきています。それでも、描かれてる聡明で行動力がある女の子が魅力的過ぎるんで榛野作品はずっと読み続けてしまうと思います。この短編の清良もそんな女の子。手をつけやすい短編集から入って、『ダブルハウス』、『ピエタ』といった中編へ、そして超名作のロングセラー『Papa told me』に突撃するのがヨロシイかと思います。

あずまきよひこ『よつばと!』
「とーちゃんはいっつもパンツまるだしだ!!」
どこか懐かしくて、何か新しい、そんなよつばちゃんとまわりの大人達や子ども達が織りなす日常が描かれてる、ステキな漫画。刺激とか大感動を求めてる人は激しくお断りの作品です。むしろそういうのに疲れて、ちょっと何気ないけどステキな話が読みたい人にお勧め。年齢、境遇がらとーちゃん視点から読んでしまいますね、こういう生活、いいよなと。2巻の帯のキャッチフレーズが「ただ、ここにいるだけのしあわせ。」なんですが、まさにそんな感じ。目的に向かって邁進することも尊いけど、この漫画みたいに何気ない日々に楽しさや幸せを見つけられることも素晴らしいことだと思います。そういう楽しさや幸せを見事に切り取って描いてるステキな漫画です。これも長く続いて欲しい漫画です。

和月伸宏『武装錬金』
「オレがみんなを守るから、誰かオレを守ってくれ……」
「守る」という理想、信念を掲げて頑張ってきたカズキが、最終回(WJ上)でもらす等身大の男の子としての吐露。このシーンは好きです。この後すぐに斗貴子さんが現れて、カズキに勇気をくれる人、少なくともカズキの心を守ってくれる人として今は斗貴子さんがいると、そんな感じでWJ上最終回はカズキと斗貴子さんの関係に収斂させてまとめていたのですが、武装錬金ファイナルでは、そんな斗貴子さんの手を最後にカズキは離してしまうのが切ない。されど、それがカズキ。もうすぐ発表の武装錬金ピリオドでどのような着地が描かれるのかが楽しみです。あとは、カズキとパピヨンの関係を軸とした話になんらかの結末が描かれれば、作品としては綺麗に完結すると思うので。
これも毎年選んでた作品です。もう3年連続で選んでるのか。そういった感慨深さも込めて武装錬金が1位。毎週月曜日が楽しみでしょうがない、打ち切り最終回まで、そんなワクワクを与え続けてくれてた作品でした。

とりあえず漫画部門はこんな所です。読む量は減ってきてる感じなんですが、そんな中で変わらずに残った作品を選んだ感じでしょうか。あとは、可愛い女の子が出てくる作品を選んだ感じでしょうか(笑)。この感じだと、来年は少女漫画とか増えるかもです。
次回は映像部門かな。ぼちぼちいきまーす。
映画化までされた『逆境ナイン』を押しのけ、私的漫画部門三年連続島本作品という偉業を阻んだのは、今年、十一年に及ぶ連載に終止符をうった『蒼天航路』でした。
作者の王欣太氏が『テキパキ終わらそうとしてるんですが、関(羽)さんがプロットを潰しにかかってきはるんですよ』と嘆息したように、想定外の強さで作品を牽き擦り回した関羽。現在に至るまで『関帝』として中華民族に信仰されるのもむべなるかな、と錯覚させられてしまうほどの『力』を発揮したコレが、私的漫画部門第一位です。(続く)