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 「貴方は貴方だけのものじゃないのよ この世に自分だけのものなんてひとつもないの みんな誰かと関わって何かを共有してる だから自由にならない だからこそ面白くて 悲しくて 愛おしいの」(侑子さん)

 最後のこの侑子さんの言葉が語られる救いの部分で涙。XXXHOLiC初の巻をまたいでの長編エピソードにふさわしいいいエンディングでした・゚・(ノД`)・゚・
 XXXHOLiC、とにかく対価は平等に1=1というテーマを描き続けてきたワケじゃないですか。そして今まではどちらかというと、自分の方を大きくしちゃって、勝手に対価の原理を崩して自分の方を10にして(自分10)=(相手1)で傲慢になってる人間をネガティブゲストキャラとして出して戒めてるエピソードが多かったわけじゃないですか。それが今回は逆で、自分の方を小さくしちゃって自分は傷ついてもイイとか言っちゃう人を戒める、いわば勝手に(自分0.1)=(相手1)にしちゃうような人(今回の気づきを得るまでの四月一日君)をネガティブに描いて戒めるようなお話でした。でもただネガティブに描いて終わりじゃなくて最後に救いが描かれるんですよね。それが百目鬼の片目の半分のエピソードが出てくるエンディング部分の侑子さんの語り。貴方は貴方だけのものじゃない。だから勝手に自分を0.1に傷つけて満足したりするな。対価は平等で回ってるんだから、大事な人との関係は0.5=0.5でいいじゃん……という救い。

 ラストの、

 「半分ずつだな」(百目鬼)

 にはやられました・゚・(ノД`)・゚・。勝手に自分を傷つけてた四月一日のせいで対価の法則が崩れてた四月一日−百目鬼間の関係が対等に昇華された名場面。ちょっと前の女郎蜘蛛の所に向かうあたりで、

 「何事も過不足なく 貰いすぎても貰わな過ぎてもいけないのよ」(侑子さん)

 の台詞がこのテーマの暗示として入ってたことなんかもあり、エンディングが美しく決まりました。ホント良かったよ。

 今回の長編エピソード全体でこの自分を大事にしないことで対価の法則を崩すことへの戒めというテーマを描いてると思うんですが、クライマックスでの四月一日と女郎蜘蛛との会話の所は納得感が強くて良かったですね。自分で簡単に傷つけちゃえるようなものを差し出されてもちょっと……というのは筋が通ってます。「やっぱり自分を大事に」も作戦名として掲げてないと上手くいかないよね。

◇それはそれで

 四月一日と座敷童子の異種族恋愛物語は相変わらずステキ。上記の気付きを得てない状態の台詞なんで若干ネガティブチックなシーンなんですが、即答で「行きます」と答えた四月一日はやっぱりカッコいい。

◇その他のエピソード

 全体的に重かった長編エピソードの息抜きって感じのいつもの寓話チックな話が二つ。

●雷獣の話

 「何が心地よいか分からないから 何が苦しいかも分からないんでしょう」(侑子さん)

 いつもの人間の傲慢に対する戒めが入ってる話でしたが、全体としては雷獣(と侑子さん)に翻弄される四月一日くんで楽しめるライト一編でした。

●雪遊びの話

 「それが何か分かっても分からなくても 認めても認めなくても 在るモノは在るの それだけよ」(侑子さん)

 こっちも哲学チックなテイストも入った話でしたが、全体としては長編エピソード後の四月一日と百目鬼の風景をいつもの面白風景として描いた、まあ表面的には二人はまだいつも通りの感じなんだなと思わせてくれるライトエンタメな話でした。普通に雰囲気が楽しかったです。

 全体としてここで四月一日−百目鬼の関係の進展のエピソードを入れたのは、そろそろひまわりちゃん伏線の話に入る前フリかなぁなんて思ったり。いつも通り続きが楽しみです(^_^;

XXXHOLiC 8 (8)


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