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 「出来るよ 小狼と黒鋼が帰ってくるのを待ってあげられるよ」(モコナ)

 物語序盤では小狼に救われっぱなしだったサクラが、最後は逆に小狼の居場所になることで小狼の救いになる……っていう伏線が張られてるよなー。
 14巻分の伏線がようやく動き出して、もう一人の小狼が目覚めて、小狼くんにはアイデンティティクライシスの危機が迫ってるわけじゃないですか。そこで小狼が「オレって一体?」という落ちる所に落ちていって、最後は、幼い日のサクラに「それにね、前のこと覚えてなくても、コレからは私が覚えてるよ」と存在肯定されて自分の存在を認めたっていうエピソードがリフレインする形で、居場所になった新しいサクラにもう一度認められて小狼は救われるっていう流れじゃないかなぁ。

 この辺りの『ツバサ』における小狼のアイデンティティテーマの話はアニメ版『ツバサ・クロニクル』第12話「暖かなエガオ」の感想で書いたので、もう少し読みたい方はそっちも読んでみて下さい。

 今巻の時点では、

 「わたし…わたし 何も出来ない…」(サクラ)

 っていうサクラなんだけど、この中盤から何回も挿入されてるサクラの自分の無力感を問う描写もきっとタメで、最後の最後にはサクラが小狼を救うんだよ、きっと。

◇ファイがついに魔法を使った!

 と、14巻の感想はこれに尽きるわけですが。まじで、口笛が伏線だったとはやられましたよ。口笛が吹けないファイっていうの、単なるキャラの特徴づけかと思ってたら、最初に魔法を使うシーンに口笛を使用した音の魔法を使う伏線だったんだ!

 後は、まだ何でファイが入れ墨無しでは魔法を使わないことにしていたのか、その理由が明らかになってないので、その理由が明らかになるエピソードに期待です。後に14巻を振り返って、あの時ファイはいつもの笑顔で笑いつつ、これだけの覚悟で魔法を使ったんだ!って思える形になるとイイです。ついに魔法を使っちゃうほど、ファイも仲間達を好きになっちゃってたんだよね。その変遷がいとしいです。7巻の「…本当に良い子だねサクラちゃん 他に構ってる暇なんてない筈のオレが 幸せを願ってしまうくらい」辺りから顕著になってきて、ピッフル国編の 「そう思えるおまえも変わったんだろ」(黒鋼)「え……」(ファイ)のシーンでもう確定だよね。そして今回の魔法使用。独特の距離感を保ちながら仲間との絆を深めてきたファイ視点からの物語も面白いです。こっちも、桜都国時点では黒鋼に「死にたがり」を見透かされていたファイが、最後に生きる意志を取り戻すイベントがおこり、そのファクターになるのが仲間達との絆なんだと予想します。

◇飛王の願い

 今巻冒頭の意味深な飛王サイドと侑子さんサイドの場面より、飛王も何かしら自身の強い「願い」のために遺跡の力を狙ってることが判明。そしてその願いは飛王にとってはどんな犠牲をはらっても成し遂げるつもりのもので、侑子さん&クロウ・リード曰くは「絶対に不可能」なもの。対価を差し出せばどんな願いでも叶える侑子さんが不可能という願いが何なのか、興味をそそられる引きです。飛王もラスボスの作中悪って感じじゃなく、「願い」を持つ願い人の一人という感じになりそうですね。そして星史郎さんの願いと小狼の願いがぶつかったために二人は戦わなければならなかったという感じで、「願い」が生み出す戦いや、それでも「願う」ことの尊さ・覚悟を描いてきた、「願い」をテーマにしているCLAMP作品のテイストに合致した終盤に流れていきそうです。

 ◇

 エンタメ全開だったピッフル国編が終わってから、重い黒鋼の過去に、もう一人の小狼の目覚め、ファイが魔法を使用と、徐々に重いカラーの話が続くようになってきました。今巻ラストに辿り着いた「砂上の国」も廃墟の世紀末テイストの国と、重めの話が展開されそうな印象です。作品のヤマが重め、シリアス路線に突入していくのはしょうがないと思うんですが、最後はハッピーエンドが見たいよなぁ。

ツバサ 14―RESERVoir CHRoNiCLE (14)

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