モブシーンすげー／『涼宮ハルヒの憂鬱』アニメ版／第12話「ライブ ア ライブ」／感想

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　「私　ついていくよ　どんなつらい　闇の中でさえ　きっと　あなたは輝いて」（挿入歌『God knows…』）

　これはスゴイ。久々に録画してたのを何回も繰り返し観てしまったよ。

　ライブシーンがとにかく圧巻。文化祭の一般展示を描写したＡパートからモブが神がかってましたが、クライマックスのライブシーンはもうクラクラしました。あの、高校の文化祭レベルのちょっとしょぼい照明の光源に照らされてる舞台＆観客席の再現具合とか、観客のモブをすっげー細かく段階的に動かしていくことで徐々にライブの「ノリ」が波及していく様を再現したり（こんなことが可能なのか）、一曲目のラストにハルヒがチラッと長門さんに視線を向けた所で長門さんの超絶ギターが始まったりと、「高校文化祭でのライブ」という空間を再現するのに細部まで作り込みすぎ。何もそこまでせんでも！というくらいです。またハルヒが歌う挿入歌もイイしね。ハルヒは北高では奇人変人扱いでちょっと近寄りがたく思われてるんですが、高クオリティーの音楽という人類共通言語の前ではそんな距離感が無化されて、観客の北高一般生の間にもノリが波及していく様がカッコ良かったです。本当は結構大事でハルヒの近くにいる古泉も一時その空間に身をまかせてリズム取っちゃったり（原作にあったキョンと古泉の深い会話が省略されてたのはちょっと残念ですが）、最後はキョンも指でリズム取っちゃったりと、その辺りの、様々な思惑が無化されて会場が一体になっていく様がすげー良かったですよ。アニメって媒体はこんな空間も表現できるんだと大げさじゃなく感動してしまいましたよ。

　◇

　「どうだいこの衣装？　めがっさ似合ってると思わないかなぁ？　どうニョロ？」（鶴谷さん）

　（おそらく）アニメ版最後の出番。このテンションが好きでした。「めがっさ」て。「ニョロ」て。

　◇

　物語としては（時系列上）最終回前話らしく、『涼宮ハルヒの憂鬱』という名のこの作品で、ハルヒの憂鬱が晴れてきた様を描いた話。漫画的アニメ的特撮的非日常が起こりえない世界に憂鬱を感じてた所からハルヒの物語は始まったんですが、様々なイベントを経てそれが晴れてきて、ライブの舞台上でミズキさんとマイさんに向けて笑顔を向ける所までやってきた……という部分ですよ。それで最終話「サムデイ　イン　ザ　レイン」では何も起こらない日常でキョンと相合い傘で帰ってもそれはそれで満足そうで……という絵で終幕と、ものすごく綺麗に纏まってると思います。アニメ版（「消失」以降もアニメ化されたらまた変わってくるんですが、「サムデイ　イン　ザ　レイン」で終幕ならシリーズ前半の区切りとしてとても綺麗です）。
　ただ一つ惜しいのは今回は自主映画制作エピソードの「溜息」が映像化されて今シリーズに入らなかった点かなぁ。あれでハルヒが創作に一度携わっているからこそ、今回の創作オリジナル曲をどうしても発表したいというバンドメンバー達の気持ちにエンパシーを感じてハルヒはステージに立つことを決意するんですが、原作にあったその辺りの会話も省略されてて、その辺りの微細な心情が盛り込まれなかった点だけがちょっと残念。クリエイター体験者が同志として別のクリエイターを助けるというのはとてもイイ話なんですが。

　◇

　ラストのハルヒとつなぐ「手」に関するキョンの語りも省略して映像だけで表現。これはクライマックスの「憂鬱６」でも語りは入らなそうです。ハルヒの手を握るキョンの手にどんな想い、意味合いが込められてるかを知りたい方は原作をどうぞ。

　◇

◇次回第13話は「涼宮ハルヒの憂鬱５」

　そしてハルヒの憂鬱が晴れ始める最重要エピソードのクライマックス、「憂鬱」のラスト２へ。原作のあのシーンこのシーンがこの超絶映像でどう表現されるのか今から楽しみです。

→今回ハルヒが歌ってた曲収録

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→OP主題歌

冒険でしょでしょ?

→ED歌

ハレ晴レユカイ


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Comments

[1. 双翼]

初めまして。
前サイトのSEEDレビュー、ここでのDESTINYレヴューのころからですので、何年前からでしょうか・・・ほぼ毎日ここを訪れてるものです（笑
昔からいつもとっても感心してここの文章を読ませていただいています！！

で、今回「ライブアライブ」でついにコメント書いちゃいました（笑
僕は原作も全部読んでいるのですが、他のいろいろなアニメもあわせても、「ライブアライブ」は原作よりも、完璧にアニメのほうが好きになったっていう数少ない回ですｗｗ
いつもの事ながら高いクオリティにも驚きましたが、挿入歌２曲にアニソンとか関係なくモロはまってしまいまして＾＾；ｗ　フルverだと長門のギターも凄まじいことになってますし、ハルヒの歌声も後半にかけて凄く力強くなってて、ますます最高ですよ♪

文章力がないため見にくい文章となっていると思いますがスイマセン＞＜
でわ、失礼します！＾＾

[2. かもめ]

ハルヒ、変わったなあ、と感じる一話でしたね。
もう、後半に入って、怒濤のイイ感じの展開で目が離せません。

時系列通りにエピソードを語らないというのが、ここに来て、すごく効いてると思うんですが、野球をしたり、映画を作っていたりというのが今になって感慨深くなってくるのが面白いです（最初のハルヒだったら、ありえないことですよね？）。
今のハルヒは自分で楽しさをつくっている感じなのが、良いなぁと。

私事で、かつ、戯言なんですが、自分が考えていた小説が実はものすご〜く「ハルヒ」に似ていることに気づきました（宇宙人とか未来人とか超能力者とか出ないけど）。知らず知らずのうちにインスパイアされていたのですね。「あちゃー」と思う反面、これほど面白く書けないだろうなぁとも思うので、ますます作者さんを尊敬する方向で落ち着きました（笑）。

[3. disraff]

前回に引き続き、何から何までほんとうに神がかってましたね。声に力あるなぁ＞中の人。
検証した人によるとハルヒの押さえてたコードも合ってるそうで、恐らく有希のリードギターも合ってるんじゃないかという恐怖。
古泉のやってた怪しげな劇（中性風の衣装で確率論をぶってた）は好事家の間では有名な「ハムレット」を“自覚的な脇役”の視点から再構築したものなのだそうで、なかなかに意味深長なものがあります。

ちなみに時系列で言うと、これと「サムデイ〜」との間に「射手座の日」が入ります。なにげにコンピ研の「場所が悪かった」展示も描写されてました。…キョン、通りがかってるじゃん。

[4. あいば＠管理人]

＞双翼さん

どうも初めまして。SEEDの頃からっていうと僕が大学の学部生だった頃からですね。長いお付き合いどうもです。

「ライブアライブ」良かったですね。僕も録画で見たその日のうちにばっちり『涼宮ハルヒの詰合』を買ってきてしまいました（笑）。特に「God Knows...」聴きまくってます。なんか、アニメを見てからフルVerを聴いたせいか、青春時代に友人のライブ演奏を聴いた時のような微妙な郷愁感なんかを呼び起こされながら聴いてます。それくらい、アニメのあの独特の空間の再現具合がステキ過ぎました。

それでは今後ともよろしくです。

[5. あいば＠管理人]

＞かもめさん

時系列シャッフルが面白いことになってますよね。今週の笑顔のハルヒを見ることで、来週はまた、ああ、この頃はまだ憂鬱な表情してたんだ……と気付かされるわけで、全てが最終回に繋がっていきます。

超常現象無しでハルヒ的というと自作小説は学園ものでしょうか。僕も書いてみたい分野です。頑張って具現化してみて下さい(^_^;

＞disraffさん

内容も宇宙人が出てくるぶっとび系で、第01話が劇中劇だったり、時系列シャッフルの放送順といい、番組自体はハジケてる感じの作品なのに、何故か映像に関しては妙に写実・現実的な再現に力が入りまくってすごいクオリティーになってるというのが面白くて凄い所ですよね。

コンピ研は僕も気付きました。繰り返し見るとあのモブシーンは他にも色々と発見がありそうです。何しろモブキャラが独立してそれぞれ演技してるという凄さだったので。

[6. disraff]

モブキャラが凄かった。確かにおっしゃる通りですね。そのおかげで全編通して「我に返る」「興が醒める」瞬間がなかったんだなぁと気付きました。空間全体がきちんと「ハレ」になってた。

ラストでキョンの手を引いてずんずん歩くハルヒ、という構図が嬉しかったです。SOS団はいつでもハレ晴レユカイ！という感じで、これもまた奇麗な「最終回」だったと思います。

[7. セクター]

ハルヒと言う作品は元ネタがあるんです

20年前に公開された「うる星やつら2ビューティフルドリーマー」が原点です。ハルヒのライブアライブの会で「純喫茶第3帝国」というのがありましたがそれはビューティフルドリーマーでもあった喫茶店から名前を取っているんです。今アニメ評論業界内ではハルヒとBDを比較する事で現代アニメ論を語ろうとする人が増えつつあります。管理人様も一度みられることをお奨めします。

[8. あいば＠管理人]

＞セクターさん

youtubeへのリンクは削除させて頂きました。著作権がある版権作品に関してはアップロードもダウンロードもyoutubeは利用すべきではないという僕の考えのもと、自サイトからこういう形でリンクを張りたくないという意向ゆえですのでご理解下さい。

「うる星やつら2ビューティフルドリーマー」は見たことがないんですが、どういうレベルでの元ネタなんでしょうね。『ハルヒ』シリーズという作品は、漫画的アニメ的特撮的非日常を渇望する少女ハルヒの存在というのを導入にして、読者にそういう非日常と日常、あなたならどちらを選ぶ？と問いかけてる構造がひとつある作品ですので、そのために様々な既存の漫画的アニメ的特撮的作品でよくあるシチェーション、設定をよくキャラが口にしたり、実際にそういう状況に置かれたりします。

[9. あいば＠管理人]

特にアニメ版ではその構造を生かす気満々で、推理シーンでの『逆転裁判』しかり、艦隊ゲームでの『ガンダム』しかりと、パロディという形で、作中設定でハルヒが渇望してる漫画的アニメ的特撮的要素をふんだんに盛り込んでます。全て、ちょっとメタ的に「そういえば漫画的アニメ的特撮的にはこういうのよくあるよね、っていうかあったよね。だけど、さて、実際にそんな非日常にいけるとしたらどうする？」というテーマを読者／視聴者に喚起するための装置になっています。

なので、そういうレベルでの元ネタは作品の性質上ヤマほど存在します。「うる星やつら2ビューティフルドリーマー」もそういうレベルでの一元ネタなのか、それともそれ以上に何か核心的にハルヒシリーズの原点的に重なる部分があるのか、その辺りが興味あります。

話を聞いて何かの機会に見てみたくなりましたが、とりあえずハルヒシリーズの既刊を読んでからですかねェ。