相変わらずエンディングが綺麗。
前巻までハード路線の長編エピソードだった分、寓話チックな異種族交流エピソードと、原点に戻るかのようなネガティブゲストキャラ登場のエピソードとを、大きく2篇収録です。今回も面白かった。
地味にひまわりちゃん伏線を引っ張るエピソードも兼ねてますが、基本はいつもの寓話チックな、四月一日とあやかし(善チックな方)との交流話。
今回登場の夢カイはモエます。バクだ!これはバクですよ!商談時に悪人顔の侑子さんに迫られてる時の顔が超可愛い。
イイ夢(吉夢)とか、すごくイイ夢とか、最強にイイ夢(大聖夢)とか、夢にも階級があって、イイ夢だと悪夢を払えるなんて話は面白かったです。この辺りの話は現実にもなんかフォークロアの分野とか思想の分野とかであるのかな、それとも大川さんのオリジナルなのかな。
前巻までの四月一日が片目になるエピソードが重かった分、ホワホワ感が補給できました。夢カイさんがキツネのおでん屋さんと知り合いなんていうのもホワホワ。こういうあやかしは好きです。
●五月七日小羽(つゆりこはね)ちゃんのエピソード
久々にタイトル「ホリック」通りの、ネガティブゲストキャラとして小羽ちゃんのお母さんがキました。これは結末が別の意味で楽しみ。ネガティブゲストキャラ、救われる方が稀だからなぁ。久々に対価の原理を乱して自我肥大した者の末路も見てみたい所。
「それだけで終わらないように おれに何かできないか考えるようになったかな」(四月一日)
の台詞の場面は、もう一人の小狼を送り出した後の、侑子さんの、
「出来ないことを悔やむより 出来ることをする方がいい 例え、それが結果に繋がらなかったとしても 前には進めるわ」(侑子さん)
の台詞とも重なってるようで、四月一日の成長を感じさせつつの重要場面です。そして、そのまま小羽ちゃんと桜の女性を百目鬼の寺に移動させる四月一日。このイベントを通しての四月一日と小羽ちゃんとの交流で、小羽ちゃんにとっては四月一日はちょっと特別な存在になった模様です。まだ続巻に続く感じのエピソードですが、ネガティブゲストキャラのお母さんを背景に、ちょっと依存気味に四月一日から借りた傘にすがる小羽ちゃんの姿には幾ばくかの危うさも感じられて、どう展開していくのか楽しみです。
その一方で、今巻は今巻で、桜の女性を顔を出さないゲストキャラに添えて救いを与えて綺麗にまとめてるのが良いです。物言わず四月一日の想いを汲んで対価を差し出して麻雀供養を依頼していた百目鬼モエ。
どうでもイイですが、麻雀時に侑子さんが「アカギタンと哲也くん」云々と言ってましたが、これは公式サイトの日記なんかで書いてた、CLAMPの間でアカギのアニメが流行ってるというネタを使ったギミックですね。麻雀供養という発想に繋げる辺りが楽しんでやってる感じです。
麻雀はコメディチックながら、最後の桜の女性が「往くべき所へ往く」ラストシーンは綺麗。桜の花びらが入った杯と、冒頭に引用した侑子さん台詞で締めです。願わくば、「いい出逢い」の方が四月一日と小羽ちゃんにもかかることを願って、続巻を待ちます。
XXXHOLiC 9 (9)
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