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 「あのさくらを一番大事だと思ったのは『おれの心』じゃない!おまえだろう!!」(本当の小狼)

 凄まじい!
 全ての伏線、謎が収斂してくる(しかも『ツバサ』&『XXXHOLiC』のリンクのみならず、CLAMP作品全部の)スーパークライマックス。今年のマンガ部門ベストは『ONE PIECE』41巻の「生きたいって言え!」のシーンに付けようと思ってたんだけど、やっぱり『ツバサ』にしようか迷う。
 本当の小狼(飛王の所で眠ってた方)イイ奴だった!しかも「さくら」ってひらがなで呼んじゃってる辺り(餌の小狼が守ろうとしてたサクラはカタカナ)、たぶん本当の小狼にも愛したさくらがいたんだよ(魂、魂の伴侶は同じ設定だから)。それを飛王に捕らえられて、餌の小狼に心の半分を渡して、ずっと自由と時間を対価に自分が動ける時が来るのを待ってたんだよ。だから餌の小狼が愛したサクラの方を「あのさくら」って呼ぶんだよ(自分には自分の「さくら」がいるorいた)。というか、もしかしたらガチで『カードキャプターさくら』の小狼がこの本当の小狼の可能性もあり。『カードキャプターさくら』は小狼とさくらが中学生になった所で終わってるから、『ツバサ』劇中の高校生くらいの小狼は『カードキャプターさくら』のアフター小狼としても通ります。餌の小狼が使う技は星史郎さん仕込みの足技ですが、本当の小狼は『カードキャプターさくら』の小狼と同じく「雷帝招来!」って「術」みたいな力で今回戦ってたし。今まで主人公だった餌の小狼のアイデンティティを奪いに来る敵みたいな演出がなされてたからすっかり騙されてたんだけど、本当の小狼がイイ奴でびっくり&本当に良かった。サクラの「殺さないで!」のシャウトに逡巡してしまうあたり、根っからの善人です。しかも、餌の小狼が培った/培え得たかもしれない餌の小狼なりの「自分」を基本的に尊重してくれるスタンスです。これは心強い。是非このまま味方になって頂きたい。

 と、言いますか、『DEATH NOTE』とか、漫画作品にしてはそれ級に込み入った話になってきましたので、今回は感想っていうか色々と整理記事の趣で。↓

・ポイント1/今までの主人公だった小狼は、飛王のもとで眠っていた眼帯を付けていた本当の小狼の餌、空身の存在で、飛王にインプットされた「サクラの羽を集める」という目的に準じて生きるのみの悲しい存在だった

 これまで要所要所でカッコよく描かれてきたサクラ原理主義の小狼の覚悟は実は飛王の手の平の上だったという、悲しい謎明かし。侑子さん、ファイ、本当の小狼はそのことに気付いていて、それでも、餌の小狼が仲間と旅を続けるうちに餌の小狼なりの「自分」を仲間との(特にサクラ)関係性の中に見つけてくれることに賭けていたのだけど、今巻にてその賭けは裏切られ、餌の小狼は飛王の思惑のまま羽を集める心を持たぬマシーンになってしまったと、今巻はここまで。あらゆる犠牲を払ってまで羽を集めて飛王が叶えようとしてる「願い」は今の所不明だけど、侑子さんはそれを阻止したいらしく、作中設定の「干渉出来る範囲内」において、小狼達に味方して飛王の活動を妨げてきた(修羅ノ国編で、阿修羅王の願いを介して餌の小狼一向の辿り着く世界を飛王のコントロールから解き放ったことなどが一例)。小狼の謎に気付いてたファイも、

 「たとえそれが他者のものでも、偽りでも、その心を受け取る者にとっては、真実なんだ」(ファイ)

 と、餌の小狼が持ち得た「心」、「自分」に賭けるのだけど、今巻にて試みは失敗し、逆に魔力の源である片目を餌の小狼に食べられ、マシーンと化した餌の小狼にさらなる力を与えてしまう結果になってしまったと。
 で、最後、本当の小狼も飛王の思惑は邪魔したいらしく、心の半分を餌の小狼に自らの意志で預けて餌の小狼なりの心の覚醒に賭けてたんだけど、その賭けも失敗し、やむなく餌の小狼を消そうとするんだけど、サクラの言葉に気がいってしまってしくじり、餌の小狼を取り逃がしてしまうと……、果たして、餌の小狼を大事に思う仲間達は、餌の小狼の「心」、「自分」を取り戻すことが出来るのか!というところで「続く」。「アイデンティティ」がテーマにあることはずっと気付いて読んでましたが、ここまで過酷に盛り上げて描いてくれるとは思いませんでした、本当にスゴイわ、今回は。

・ポイント2/地下貯水湖で眠っていたのは、「昴流」

 ここに星史郎さん物語も絡んでくるという化け物構成。星史郎さんが追う二匹の吸血鬼の一匹がここに。これは星史郎さんもそろそろ登場してくる気配です。特定の存在から次元を超えて逃げ続けるという部分がファイと昴流とで重なっている点など興味深い点は多々あるんですが、やっぱりCLAMPファンとしては、じゃあ北都はどこにいるんだ?という部分が気になります。吸血鬼二匹は昴流と神威をさしてたものとも考えられるんですが、吸血鬼は双子と言明されてるのがポイント。やはり、『東京BABYLON』では死んだはずの北都も何らかの形で生きてるものと思われます(おそらく、その辺りが昴流側の行動動機、「願い」)。というか、こっちの方もガチで『東京BABYLON』のアフターストーリーとしての昴流本人の可能性もあり。知る人ぞ知る通り、『東京BABYLON』のラストは難解かつああいう終わり方だったんで、アフターとして、昴流、星史郎さんが本人というのもあり得ます。とりあえずすぐに次元を渡って逃亡の旅を続けようとする神威を制して昴流がこの世界に留まってる点から、サクラ達に関して何らかのアクションを起こす意図がある模様。そしてサクラに「大事な人を失ってしまう」と呼びかける昴流の背景には、昴流が失ってしまった大事な北都の存在があると思われ、この辺り、コアなCLAMPファンの泣きポイント。いずれにせよ昴流絡みの具体的な背景物語、留まった意図は今巻ではまだまだ不明。続巻に期待。

・ポイント3/薄れ行くファイの命の前で、黒鋼が命の対価を口にした所で引き

 死にたがりのファイだけど、自分のために死ねないだけで人のためには死ねるファイ、そんなファイのあり方を遠回しに非難、是正しようとしてた黒鋼の物語。仲間のためにそこまで思えるほどにファイが変わって来れたこれまでの物語と、それに気付いていた黒鋼。高麗国編、修羅ノ国編で描かれた、一度失われた命を甦らせることだけは不可能というお話から伝わる命の対価の重さ……と、これまでの様々な要素が凝縮された場面で次巻へ続く。侑子さんも関わりはじめ、ついに『ツバサ』と『XXXHOLiC』がリンクする最クライマックスです。結末が見えない。王道なら餌の小狼がこれまでの物語を通して形成したサクラとの関係性に目覚め、昔の記憶、関係性を無くしたサクラと共に、お互いに新しく紡いできた関係性のみを頼りに未来に生きるラストでしょうが、何しろCLAMP作品『東京BABYLON』みたいなエンドもあるんで油断できません。フィナーレも近いのかな。アニメ版第3シーズンでまとめられるかのタイミングもかねて、そろそろ結末が楽しみです。

ツバサ 16―RESERVoir CHRoNiCLE (16)

ツバサ 16 豪華版―RESERVoir CHRoNiCLE (16)

ツバサRESERVoir CHRoNiCLE&xxxHOLiC2007年合同カレンダー

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