
凄まじい!
全ての伏線、謎が収斂してくる(しかも『ツバサ』&『XXXHOLiC』のリンクのみならず、CLAMP作品全部の)スーパークライマックス。今年のマンガ部門ベストは『ONE PIECE』41巻の「生きたいって言え!」のシーンに付けようと思ってたんだけど、やっぱり『ツバサ』にしようか迷う。
と、言いますか、『DEATH NOTE』とか、漫画作品にしてはそれ級に込み入った話になってきましたので、今回は感想っていうか色々と整理記事の趣で。↓
・ポイント1/今までの主人公だった小狼は、飛王のもとで眠っていた眼帯を付けていた本当の小狼の餌、空身の存在で、飛王にインプットされた「サクラの羽を集める」という目的に準じて生きるのみの悲しい存在だった
これまで要所要所でカッコよく描かれてきたサクラ原理主義の小狼の覚悟は実は飛王の手の平の上だったという、悲しい謎明かし。侑子さん、ファイ、本当の小狼はそのことに気付いていて、それでも、餌の小狼が仲間と旅を続けるうちに餌の小狼なりの「自分」を仲間との(特にサクラ)関係性の中に見つけてくれることに賭けていたのだけど、今巻にてその賭けは裏切られ、餌の小狼は飛王の思惑のまま羽を集める心を持たぬマシーンになってしまったと、今巻はここまで。あらゆる犠牲を払ってまで羽を集めて飛王が叶えようとしてる「願い」は今の所不明だけど、侑子さんはそれを阻止したいらしく、作中設定の「干渉出来る範囲内」において、小狼達に味方して飛王の活動を妨げてきた(修羅ノ国編で、阿修羅王の願いを介して餌の小狼一向の辿り着く世界を飛王のコントロールから解き放ったことなどが一例)。小狼の謎に気付いてたファイも、
「たとえそれが他者のものでも、偽りでも、その心を受け取る者にとっては、真実なんだ」(ファイ)
と、餌の小狼が持ち得た「心」、「自分」に賭けるのだけど、今巻にて試みは失敗し、逆に魔力の源である片目を餌の小狼に食べられ、マシーンと化した餌の小狼にさらなる力を与えてしまう結果になってしまったと。
で、最後、本当の小狼も飛王の思惑は邪魔したいらしく、心の半分を餌の小狼に自らの意志で預けて餌の小狼なりの心の覚醒に賭けてたんだけど、その賭けも失敗し、やむなく餌の小狼を消そうとするんだけど、サクラの言葉に気がいってしまってしくじり、餌の小狼を取り逃がしてしまうと……、果たして、餌の小狼を大事に思う仲間達は、餌の小狼の「心」、「自分」を取り戻すことが出来るのか!というところで「続く」。「アイデンティティ」がテーマにあることはずっと気付いて読んでましたが、ここまで過酷に盛り上げて描いてくれるとは思いませんでした、本当にスゴイわ、今回は。
・ポイント2/地下貯水湖で眠っていたのは、「昴流」
ここに星史郎さん物語も絡んでくるという化け物構成。星史郎さんが追う二匹の吸血鬼の一匹がここに。これは星史郎さんもそろそろ登場してくる気配です。特定の存在から次元を超えて逃げ続けるという部分がファイと昴流とで重なっている点など興味深い点は多々あるんですが、やっぱりCLAMPファンとしては、じゃあ北都はどこにいるんだ?という部分が気になります。吸血鬼二匹は昴流と神威をさしてたものとも考えられるんですが、吸血鬼は双子と言明されてるのがポイント。やはり、『東京BABYLON』では死んだはずの北都も何らかの形で生きてるものと思われます(おそらく、その辺りが昴流側の行動動機、「願い」)。というか、こっちの方もガチで『東京BABYLON』のアフターストーリーとしての昴流本人の可能性もあり。知る人ぞ知る通り、『東京BABYLON』のラストは難解かつああいう終わり方だったんで、アフターとして、昴流、星史郎さんが本人というのもあり得ます。とりあえずすぐに次元を渡って逃亡の旅を続けようとする神威を制して昴流がこの世界に留まってる点から、サクラ達に関して何らかのアクションを起こす意図がある模様。そしてサクラに「大事な人を失ってしまう」と呼びかける昴流の背景には、昴流が失ってしまった大事な北都の存在があると思われ、この辺り、コアなCLAMPファンの泣きポイント。いずれにせよ昴流絡みの具体的な背景物語、留まった意図は今巻ではまだまだ不明。続巻に期待。
・ポイント3/薄れ行くファイの命の前で、黒鋼が命の対価を口にした所で引き
死にたがりのファイだけど、自分のために死ねないだけで人のためには死ねるファイ、そんなファイのあり方を遠回しに非難、是正しようとしてた黒鋼の物語。仲間のためにそこまで思えるほどにファイが変わって来れたこれまでの物語と、それに気付いていた黒鋼。高麗国編、修羅ノ国編で描かれた、一度失われた命を甦らせることだけは不可能というお話から伝わる命の対価の重さ……と、これまでの様々な要素が凝縮された場面で次巻へ続く。侑子さんも関わりはじめ、ついに『ツバサ』と『XXXHOLiC』がリンクする最クライマックスです。結末が見えない。王道なら餌の小狼がこれまでの物語を通して形成したサクラとの関係性に目覚め、昔の記憶、関係性を無くしたサクラと共に、お互いに新しく紡いできた関係性のみを頼りに未来に生きるラストでしょうが、何しろCLAMP作品『東京BABYLON』みたいなエンドもあるんで油断できません。フィナーレも近いのかな。アニメ版第3シーズンでまとめられるかのタイミングもかねて、そろそろ結末が楽しみです。



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→『ツバサ』前巻の感想へ/『ツバサ』次巻の感想へ
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16巻は怒涛の展開で驚きましたね。星史郎さんが二人の吸血鬼を探していると言っているのになぜ昴流くんの名前しか出さないのか気になってました。まさか神威と双子って事はないといいんですが。私もCLAMP作品ほとんど読んでるんですが、ツバサはこれまでの話全てを凝縮して結末に向かっているような気がします。東京BABYLONも好きなんですが、Xでは昴流くんと星史郎さんのその後に一応のカタがつくところまで進んでいます(連載途中で続くかも分かりませんが…)し、昴流と神威の類似性というか、関係もみえるので、ぜひXも読んでいただきたいです。勝手ですがその上での解説にとても興味があります…。
とにかく、いつもブログを読んでなるほど〜、と感心してます。実は私も仙台在住なんですよ(笑) これからも楽しみにしてます。がんばってください。