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 「できません」(サクラ)

 なんか、ラストバトルはストーカーから彼女を守る彼氏的な趣になっとりますが!
 羽王カオスみたいな人は実際にもいそうです。敢えてファンタジーなフィルターを消して考えてみると、自我が未発達で親切な人には無作為に好き好きオーラを放っちゃう年頃の幼女に大人になったら付き合って下さいと約束を取り付けておいて、影ながらストーキングして成長するまで待機。いざ、ほどよい年頃になったらあの時約束しただろ?と少女に言いより、拒否されたら力づくでも!と暴力に訴える……おおぅ。なんかかなりイタイ人みたいだぞ、カオス。イケメンなんでまだ美しげな物語の一節に収まってますが、キモメンだったら報道特集で大衆の鬱積を張らすために批判の対象に祭り上げられる類のお話です。

 「そんな、昔の言葉なんて。責任もてませんわ、私」(『マリア様がみてる くもりガラスの向こう側』)

 ってなもんですよ。

 学生時代にリアルロリコンの人と議論しましたが、僕はどうしても年齢差による優位性を駆使して自我がまだ未発達な幼女につけ込むのは許せん。現実のロリオタヒッキーが過度の自我防衛本能から無駄に格闘技とか身につけてるみたいに、羽王カオスも無駄に強いんですが、その点がまた敵として憎らしいです。黒さま、そんなヤツに負けちゃいやん。

 と……、ここでファンタジーのフィルターを付け直してみると、サクラの拒絶は爽快かつ感動的。本来何の縁もない小狼、黒鋼、ファイに自分のために羽を探す苦難を強いるのは心苦しかろう、彼らを解き放つべき……ともっともらしい理屈でカオスは迫るんですが、確かに第02話の時点では何の縁もなかった4人でも、49話分の物語を経て救い救われ、独特の絆がもうできあがってしまっているから。序盤の心許ないサクラだったらあるいはカオスの言葉になびいてカオスの提案を受け入れてしまったのかもしれない。けれど、今はもうそんなことでは揺るがない繋がりが4人に存在することが分からないほどサクラは未成熟ではないから。次回のサブタイが「決意のナカマ」な点からも予想されますが、ラストエピソードは「仲間」という十全な少年漫画テイストのテーマを掲げて描かれるみたいですよ。

◇今週のピコポイント

・黒鋼、ファイ、破れる

 完全に少年漫画テイストの、ラスボスに一回完敗する回ですね。そこから仲間再集結、逆襲が醍醐味なわけで。その辺りは外さずにやってくれそうです。逆襲の黒鋼に期待。

・星火

 オリジナル展開で、タオの国に潜伏中。カオスが次元を超える力を持ってる点、羽を大量に集めてる点から、同じく次元をまたぎつつ遺跡の力を狙って羽を集めてる飛王は気になって、偵察の意味合いをかねてやってきてるみたい(というかカオスもサクラに惚れてるだけじゃなく、サクラに羽が集まることで発動する遺跡の力に目的があると考えた方がすっきりするんですが)。これ、あと3話で本筋には絡まなそうですね。ラストはカオスVS小狼一向の構図でさっぱりとまとめてくれちゃっていいですよ。

◇次回第24話サブタイは「決意のナカマ」

 サブタイからも、十中八九サクラを助けに行く決意を皆が固めるお話かと。最初は黒鋼さんには迷惑かけません、これは俺の問題です的に、ほどよく離れて自分のことは自分で的な4人だったんですが、もう、サクラを助ける点で見解を違えるほどには遠くなくなってしまった旅の一向だったんですよ。第1シリーズのアニメ化が決まった時に見たアニメ誌にて、監督が「原作にある、くっついてるようで適度にバラバラという、4人の微妙な距離感をアニメ版でも再現したい」という趣旨の発言をしているのを見かけましたが、細かいテーマを一旦捨象して、小狼、サクラ、黒鋼、ファイ、モコナの仲間としての距離感の変遷を描いてきた作品として見ると、第2シリーズで綺麗にまとまりそうです。

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