
未来を選ぶのは、やはり人の想い。
「出会って、触れ合って。そして変わった、この出逢いで」(侑子さん)
侑子さんから語られるこの部分が作中の是なのだと思いました。もし誰かに自分の運命がコントロールされていたとしても、前回サクラと3人が旅の途中で得た出逢い、ふれ合い、そしてそれらを通して得た各々の変化を頼りに自分の意志で旅の継続を望んだように、仕組まれた運命を凌駕するほどに人との出逢いやふれ合いを通して紡がれる新たな「関係性」は強い。物語冒頭で敢えて言語化して「関係性」を奪う場面を明確に描くことで、逆に長い時間を経て得られるこの「関係性の尊さ」というのを強く浮き彫りにする手法を取ったのだと思います。大川脚本恐るべし。
そんな「関係性」を是に、戦うべき相手は飛王が仕込んだ4人への運命とも言うべきものになってきました。如何に強者の仕込んだ予定調和を「関係性」を頼りに打ち破っていくか、それが、これからのサクラを主人公とした「ツバサ後編(って言っていいのかな)」の主題なのではないかと。
「すべては必然」というのは物語冒頭から何度も繰り返される侑子さんの言葉ですが、これは「だから諦めろ」と諦観を促してるわけではないことがいよいよ顕在化してきました。むしろ逆に、二つの未来の可能性を残しておく侑子さんの立場は言うなれば「可能性賛歌」の立場。諦観を覆すほどに、新たな関係性から生まれた意志は強い。そういう、浅い運命論を凌駕するような大きな意味が侑子さんの語る「必然」にはありそうです。このサクラ達をあくまでコントロール下に置こうとする飛王に対して、干渉範囲内でサクラ達の自立意志に「変化」を託していこうとしてる侑子さんという、サクラ達の物語の背後にある飛王VS侑子さんの間接的なバトルも物語終盤では盛り上がりそうです。やみくもに意志が生み出すスーパーパワーで運命を打ち破るのではなく、対価、干渉範囲内という制約を設けてこの辺りを描いてるのが「ツバサ」&「XXXHOLiC」の面白い所です。
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とりあえず、未読部分を補完できる明後日のコミックス17巻発売が待ち遠しい!
→11月17日発売
ツバサ 17―RESERVoir CHRoNiCLE (17)

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アニメでも鳥に変身したカオスが街を破壊していましたからできないことはないでしょうけど、子供たちに愛されてきたコピー小狼にやらせるのはさすがに違和感が。