
初の続きもの長編エピソード「バカレンジャーと秘密の図書館島〜期末テスト大作戦〜」を中心に収録&残りは1話完結式のクラスメイト掘り下げ編で、千雨、鳴滝姉妹、委員長、木乃香と掘り下げ編を収録。連載当時は爆発する情報量をシャットアウトして普通のキャラ萌え漫画として読んでた記憶がありますが、読み返してみると情報の量/精度共に鬼です(主にクラスメイトの設定の見せ方)。
◇「バカレンジャーと秘密の図書館島〜期末テスト大作戦〜」
明日菜、古菲、楓、夕映、まき絵のバカレンジャー5人を中心にした冒険エピソード。図書館島を魔法の参考書を探して探索する『インディージョーンズ』テイストなお話。『ラブひな』も後半からはある種ファンタジーな冒険エピソードが入るようになりましたが、『ネギま!』は2巻時点からこのスケールです。マガジン掲載中のVS超編で「現実か?ファンタジーか?」が一つのテーマになってますが、この辺りから既にそっちの方向に向かって仕込みが始められていたのだとしたら凄い。メンバーのうちまき絵を除く4人が、現在マガジン掲載中のVS超編での第一次ネギパーティーの主要メンバーに入ってます。この辺りからこの4人は積極的にファンタジーベクトルのエピソードに使っていく予定で、そこに第1回人気投票で1位になってまき絵を加入させてこのメンバーになったのではないかと予想。
内容は、バカレンジャーの面々の、バカだけど楽しくて運動能力はあるという特性が、とても優しいというか、逆『ドラゴン桜』的というか、学力至上を掲げない十人十色ならぬ三十一人三十一色仕様の思想が貫かれてる辺りが温かいなぁとかありますが、ピックアップすべきは、ここでも結局「魔法に頼らない」がキーになってるという点でしょうか。図書館島から脱出する最大の障害を突破するにあたって、最終的にネギの封印が解けて魔法を使える状態になっているにもかかわらず敢えて魔法は使わないで脱出する選択を下す明日菜のシーンが是であるが如く描かれてるんですよね。「仲間パワー>魔法」です。この辺りは第01話で本当に大事なのは魔法よりも「勇気」というのが提示されてる通り、『ネギま!』を通して貫かれてる作品スピリットです。僕は『ネギま!』の最後は魔法使いの頂点であるマギステル・マギになることよりも一先生であることをネギが選ぶラストだと思ってるんですが、そう思う背景には、第01話から繰り返されてる、この「魔法よりも大事なものの存在」というキー概念のためです。まほら武道会編でネギのお父さんは「お前は おまえ自身になりな」という言葉をネギに贈るんですが、この「お前自身」が、魔法使いとしてのネギではなく、魔法よりも大事なものを理解したクラスメイト達の先生としてのネギ……という風に着地するんじゃないかなぁ。
そういうわけでエピソードラストのバカレンジャーが勉強で奮闘しての逆転劇は軽いカタルシス。一度2-Aが最下位になったと誤報されてネギが荷物まとめて帰ろうとするんですが、それを追いかけてくる明日菜とその他のクラスメイト面々という場面が好き。明日菜とネギの絆が深まっていく過程を描いてるのもこの作品の軸の一つですが、バカレンジャーエピソードを通して明日菜が1レベルネギを認めた瞬間です。そしてクラスメイトの仲間達。この時点で、ネギはマギステル・マギになれなくなったことよりも、クラスメイト達とのお別れの方をむしろ惜しんでるんですね。マギステル・マギになることよりも、あるいは大事な仲間達との関係。物語の最後に帰ってきそうな原初風景が描かれてる興味深いエピソードでもあります。
◇千雨編
連載当初すごい好きだった1話。千雨、ネットに繋げなくて手が震えてくる辺りがヤバイけどリアルです(笑)。ネットの中でこそネトアの女王だけど、現実での人間関係は苦手。もうちょっと言うと、ネット上ではセルフイメージが異様に高いんだけど、現実生活ではセルフイメージが異様に低い千雨というキャラクターの物語の出発点になるファーストエピソードです。このエピソードのラストの如く、徐々に現実生活での仲間関係にも開眼していき、現実でのセルフイメージも高まっていく過程が千雨関係の物語では綴られていきます。それがマガジン連載分のVS超編では、このネット/現実という境界が当初からキーになっていたキャラとして、ファンタジーか?現実か?というテーマを描く上での最上級キーパーソンに昇格するのがあなどれないです。個人的には、やっぱり最近の仲間とも関わって仲間の中でポジションを確立してきた千雨の方が好き。
◇鳴滝姉妹編
麻帆良学園の世界観説明回と、鳴滝姉妹のキャラ掘り下げ回を融合させた綺麗な1話。世界樹で片思いの人に告白すると願いが叶うという重要伏線の提示回でもあります。既に文化祭編で世界樹は重要な役割を果たしてますが、それ以上にラスト付近で主要キャラの告白イベントがここで展開されるものと予想します。結局ネギの本命は誰になるんでしょうね。というか、『ラブひな』みたいに誰か一人と結婚して終わる類の話なのかもまだ不明瞭ですが。
◇委員長編
序盤である2巻を使って、様々な人間関係に彩られる『ネギま!』の中でも、委員長が1レベル上で明日菜の親友であることが示されるお話。この時期にこの話を書いた以上、今後予想される明日菜の危機に救い主として一役買うのは委員長なんだろうなぁ。委員長、バカじゃないんだけどバカで、でもやっぱりバカじゃなくて好き。ネギの過去とか、ファンタジーに彩られた悲劇ではなくて、現実から飛翔しない悲劇を過去のオブラードに包みながらも描いてる点で、『ネギま!』の中でもかなり切ない部類に属するエピソードでもあります。
◇木乃香編
木乃香掘り下げ話……なんですが、この話時点では京都編に繋がる伏線全然出てきてませんね。単純にパートナー探しをキーにネギとの対比要因として描かれてるくらい。この、ネギは自由恋愛でパートナーを決められる立場にあるのに対して、木乃香はお見合いを迫られてるというお話は続きがあるんでしょうか。木乃香はずっと刹っちゃんと仲良く暮らせばいいと思います。ハイ。木乃香といえば刹っちゃんですが、この時点では刹那との関係はまったく示唆されず。読み返していると、京都編が待ち遠しくなる一編です。
◇
というわけでこのコミックス感想、しばらく続きます。
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