
支える者と、支えられる者と。
前回はこの新世界インフィニティで敵のボスキャラ風の男が「サクラの動機を知りたい」みたいなことを言って引きだったんですが、「東京編」で十全に読者には伝わってるサクラの動機(覚悟、決意)のほどをさらに強めていたのは、「東京」後に一旦餌の小狼が先に来ていた世界に辿り着いて、餌の小狼によって乱された世界を目撃、さらには餌の小狼による負の業を本当の小狼に向けて糾弾する民草の前にさらされた……という経験によってでした。エンパシーの強いサクラは本当の小狼に向かって「ごめんなさい」と言うんだけど、本当の小狼はサクラの小狼とは違うから、抱きしめたりはできない。そんな苦しい関係が切なかったです。それは本当の小狼視点からも同じ。本当の小狼も真の願い(おそらくは本当の小狼にとっての「本当のさくら」絡みと暗示させられてると思うんですが)は置いておいて、このサクラも「できることなら守りたい」と思ってるんですが、自分はサクラにとっての小狼では無いがゆえに、積極的に支えになってやるとも言えないジレンマ。その辺りをついてそれでもサクラには支えが必要なことを本当の小狼に説く黒鋼はさすがに大人。「唯一の姫君」を称してサクラの支えになると決めたはずのファイも実際はその身に宿してる「脆さ」ゆえに支えとしては心許ないと看破してるのもさすが。その後の黒鋼とファイの歪みを感じさせるやり取りを含め、今回は超転換点の「東京編」を経ての、変わってしまった仲間達の関係性が描写されはじめた回でした。以下、簡単な現在の「関係性」のまとめ。
→(エンパシーを感じつつ複雑な心境)→
サクラ 本当の小狼
← (守りたいけど複雑な心境) ←
→(生きていてくれて良かった@存在肯定)→
サクラ ファイ
←(支えになると決めたけど実際は危うい)←
黒鋼と本当の小狼→(実際はこの二人がこっちの二人を支える形になりそうな感じ)→サクラとファイ
さらに黒鋼は今回のアドバイスしてる描写あたりから、本当の小狼に対してもメンターの役割を果たしており、こんなんじゃ、ちょっと黒様の負担重くね?いつか黒様まで深刻なダメージを負っちゃわないか心配だよ。まあ、今まで支えの役割に終始して来た黒鋼が逆に仲間に救われる展開も見てみたいけど。
◇
黒鋼絡みでは、本当の小狼に送った「餌の小狼の責を自分の責と感じるな」というアドバイスが、レコルト国編で同じく黒鋼が餌の小狼に送った「知っちまったからって、俺の昔の傷をおまえが抱え込む事はねぇ」と意味的にシンクロしてるのもポイント。餌の小狼と本当の小狼が、エンパシーが強くて他人の傷/責を自分のもののように抱え込んでしまいがちな点でやっぱり「同じ存在」なのだというのを描写しつつ、黒鋼の言動、及びそれを支える黒鋼の性格にも一貫性を感じさせてる秀逸な描写だと思いました。この辺りが「ツバサ」クオリティー。
それにしても最近めっちゃ黒鋼好きになってきたなー。苦境な時にこそ、自分もダメージを受けながらも物言わずドンと支えになってるのがカッコいいのかも。漢の中の漢ですよ、黒鋼は。


ちょびっツ TV-BOX 1

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・・・読むのが痛いです、辛いです・・・orz
「流石黒鋼お父さん。どんな時でも揺るがすどっしり支えてくれる様は、まさに大黒柱!」とかふざけて言いたい所なんですが、本編の痛さがそれを許してくれません(泣
私、マガジンの読者層とか知らないんですが、これは子供読者には相当厳しいのでは(汗
それでも、この痛みとテーマを受け止めつつ、ハッピーエンドを信じて見て行きます。では〜・・・。