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『ツバサ』とのリンクでクライマックスへ向けて加速してる『XXXHOLiC』の最新第11巻の感想です。
今巻第11巻の見所は、大きい話的には「夢」と「最後の瞬間が近づいてきている」という言葉。もう少し小さいお話では、ひまわりちゃんに前回で救済措置が与えられたので、救済対象として残るのは五月七日小羽ちゃんという点、そして、「小羽ちゃんの救済」と「最後の瞬間への抵抗」というミクロな部分とマクロな部分でキーパーソンとなる四月一日と百目鬼の作中重要性の更なる飛躍……でしょうか。
順を追って感想を書いていくと、まずは「夢」と「最後の瞬間」。
この辺りは、ネタバレOKの人はタイムリー更新しているマガジン連載分のツバサ感想も一緒に合わせて読んで欲しいんですが、「ツバサ」の方でサクラが魂を分離して「夢」の世界に入ったことで、ツバサ&XXXHOLiCの作中で「夢」という概念(世界)が非常に重要な意味を持つようになってきています。現在の所僕的に、この「夢」の概念に対して重要なポイントは、まず1点目は今巻で遥さんも説明していますが、「夢」は繋がっており(四月一日の夢から、鈴を渡された少女の夢にダイブできた)、さらには、
「だから、私達は夢の中の存在だけれど、目の前にある事は現実だ」(百目鬼遥)
との設定。
タイムリー連載分ではもう少し詳しく明かされていますが、どうやら、「他人の夢が私にとっての現実であって、私の夢が他人にとっての現実」という幻想文学的な設定でもって、ツバサ&XXXHOLiC内の夢は繋がっている模様です。この設定から少々予想解釈気味に考えると、ある者の夢の終わりが、同時にある他者の現実の終わりを意味し得るのでないかという点です。
そこに来て、2点目として、飛王の願いに対して、侑子さんがしきりに(今巻でも)、
「夢は終わらせなければ」(侑子さん)
と言っているという点。
その辺りから導き出される予想として、よく幻想文学やSFにはある設定ですが、この作中の世界そのものが、何者かが視ている「夢」なのではないか?という予想を僕的には一つ持っています。今巻に幕間エピソード的に挿入された鈴を渡された幽霊の女性のお話も、「実は主観の方が偽物だった」というオチ的に、そういった現実こそが幻想だった的な世界の帰結を暗示させてるととれなくもないです。何者かの「夢」の終わりが、すなわち「最後の瞬間」で、それが近づいてきていると。そんな作中段階。
そして、そうした「最後の瞬間」に立ち向かうXXXHOLiCサイドの重要人物二人として、四月一日と百目鬼……というポジションです。
まず四月一日ですが、雨童子から、
「貴方は存在自体 在り得ないでしょう」(雨童子)
宣告。
及び、四月一日の意識が明滅して倒れた時点で、侑子さんが、
「最後の瞬間が……近付いている」(侑子さん)
の言葉を漏らす。さらには、真・小狼が対価を払ってまで四月一日を生き延びさせた伏線、さらには今巻での四月一日の名字には重要な意味がある伏線……もろもろより、どうやら四月一日くんはただのアヤカシ視の少年というだけじゃなくて、世界云々レベルの話でも重要な人物であることが確かなようです。
そして一方で百目鬼。
侑子さんから何故か餌の小狼と真・小狼を暗示させるように別れてしまったタマゴの片方を託され、
「どうか迷わないで その瞬間が来ても」(侑子さん)
の言葉をかけられ、さらには、
「百目鬼君は視なければならない 最後の瞬間を最後にしない為に」(侑子さん)
という言葉まで暗示させらてるということで、どうやら世界規模、四月一日規模で起こる「最後の瞬間」に何かしらの選択権を託されるのは百目鬼の模様です。これは熱い。そして、百目鬼だったら大丈夫だろ的な頼もしさもあります。
◇
そして、世界がどうこうという大きな話の最中、おそらくそれらとリンクする作中最後の小さな「関係性」にまつわるエピソードとして、四月一日と五月七日小羽ちゃんのエピソードが同時進行で綴られます。アヤカシ視として、そして示唆されているようにそれ以上に在り得ない存在として普通の生活が与えられなかった四月一日が、同じく霊能力者ゆえに普通に生きられない小羽ちゃんに感じるエンパシー。既に自己犠牲という手段からは脱却している四月一日が、お弁当を作ったり手袋を編んだりと、地に足がついた方法で小羽ちゃんを救済しようと奮闘するさまが泣けます。世界の終わりの大問題の中、四月一日にとっては救済したいのは小羽ちゃんで……と、大きな話と小さな話がリンクしているのにシナリオの筆力を感じます。僕も何回か書いてるように、そしてコアに読んでる人は気付いているように、ツバサ&XXXHOLiCは、飛王が己の願いのために敷いた各キャラへの運命諦観的な束縛を、主要登場人物達の、仲間同士の「関係性」パワーと、そこから紡ぎ出される「変化」パワーで打ち破っていくのが基本構図なので、どんなにデカいお話になっても、作中是である小さな「関係性」の構築劇が作中で色褪せることは無いのです。そういう意味で、そろそろラストになりそうな、四月一日と小羽ちゃんの「関係性」構築劇はある意味最クライマックス。どういう帰結になるのか、本当に楽しみ。
▼関係性伏線
「この世界にも小狼君とさくらちゃんがいる……か いつか会えるといいな」(四月一日)
この直前が四月一日のために対価を支払った真・小狼に関して言及する部分なので、やはり真・小狼=『カードキャプターさくら』の小狼?なのでしょうか。そして、ツバサ134話での真・小狼の「取り戻したいものがある」発言以来間接的にすら出てこなかった、真・さくら(『カードキャプターさくら』のさくら?)に関して、ここでようやく四月一日の口から存在に対して伏線が張られた事実。ツバサとのリンクの方で重要な伏線は、真・小狼&真・さくら&サクラと四月一日との関係性ですよ。この辺りがどう繋がってクライマックスに突入していくのか、ただ楽しみです。
XXXHOLiC 11 (11)
→『XXXHOLiC』のPS2ゲーム(公式サイト)
xxxHOLiC(ホリック) ~四月一日の十六夜草話~(仮称)
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