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 「本当に戦うというのは、自ら選ぶということ」(●●)

 『ひぐらしのなく頃に』全編にかかるテーマに補完を与えた「賽殺し編」と、気楽に笑って楽しめる「昼壊し編」とを収録した、『ひぐらしのなく頃に』のファンディスク、『ひぐらしのなく頃に礼』のネタバレ感想です。
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●賽殺し編/感想

 「やり直しの利かない完全等価の自己選択」と、「母親の愛の自覚」という二つのイベントを経て、梨花ちゃんが、超常の存在である100年の魔女、Frederica Bernkastelではなく、普通の少女古手梨花として歩みだすまでを綴った物語。

 「祭囃し編」の後の『ひぐらしのなく頃に』まとめ感想で書いた通り、『ひぐらしのなく頃に』の裏テーマは、「罪を一身に着せてジョーカー的存在を祓うことでしか整合性を保てない現存世界への懐疑」だったわけですよ。そのテーマと補完関係にあるシナリオであることを印象づけるように、「賽殺し編」でも、典型的なジョーカーのなすり付け合いである「イジメ」を梨花ちゃんが経験する場面が綴られます。

 所が、そんな梨花ちゃんが迷い込んだパラレルワールドは、梨花ちゃん自身が自身のあり方さえ適合させれば、誰も罪を背負っていない理想の世界であるという旨が、ほかならぬ、1000年前に自身が一身に人間の罪を浴びて娘に討たれた羽入の口から語られるんですね。

 圭一もモデルガン事件の罪を背負ってなければ、レナも両親の離婚を経験していない。魅音と詩音も入れ替わってなければ、沙都子の両親もまあまあで、何より悟史がいる。そして、梨花ちゃんもこれまでの世界では気付かなかった母親の愛情に気付いてしまったりする。まさに、ジョーカーの押し付け合いが発生しない理想の世界。

 そんな理想の世界が選択肢の一つとして提示されて、元の皆が罪を背負って、それでも皆で勝ち取った雛見沢に戻るか、それともこの理想世界に古出梨花自身を適合させて生きていくか、その選択肢を梨花ちゃんが突きつけられます。

 それは、今まで世界の一つ一つをサイコロに例えて軽い気持ちでやり直してきたFrederica Bernkastel/古手梨花にとっては初めて遭遇する自己責任で行わなければならない等価な「選択」というわけで。

 結局梨花ちゃんはもといた世界に戻ってくるのですが、それでも残る煮え切らない気持ちに、今回破格の待遇でポジションを与えられた「07th Expansion」のキービジュアル、竜宮レナが、皆が罪を背負ってボロボロになりながらも勝ち取った現存世界の正当性を語ります。

 「罪じゃないよ。でもこちらの方が尊い。……温室で育った苦労知らずのハナも美しいと思う。でも、風雨や寒さに耐えて花を開かせた野花には、美しさだけじゃないものが宿るんじゃないかな。……レナは、そういうものの大切さを言っているだけ」(竜宮レナ)

 それでも腑に落ちない梨花ちゃんに対して、レナがいつかの箱選びのチップスにあったようなあめ玉選びのギミックを使って、そもそも、温室であるとか、温室でないとかを比較できるという前提自体が人ならざる超常者の前提なのだということを諭します。

 そのことで、ようやく腑に落ちなかった感情の源泉が、サイコロをふれる立場にあった自分の超常性に、どこかであぐらをかいていた心理があったのだと梨花ちゃんは悟ります。超常でないただの人間は、常に可能性の中から選択肢を選び続け、選ばなかった場合の未来と選んだ未来とを比較することなどできない。ただ、一度きりあるこの世界で真剣に選択肢を選びながら生きていくだけ。

 そのことを理解して、ようやく高次の世界にいる超常のFrederica Bernkastelから離脱して、皆で勝ち取ったこの世界で少女古手梨花として一度切りの人生を真剣に生きることを梨花ちゃんは決意します。成る、賽殺し。「皆殺し編」から(視点が移ったという意味で)主人公だった梨花ちゃんの物語、ここに完結。

●昼壊し編/感想

 豊富なパロディとギャグで包まれた、コメディ調子全開のエピソード。そんな中でも最後の方ではレナの他人を優先する態度が作中の是として語られたりと、ちょっぴりいいお話でもあったり。

 パロディでは、

 「三四さんに毎朝、タイが曲がっていてよ〜って直してもらいたいっいっ!!」(竜宮レナ)

 が面白かった。マリみてネタ…キターーー(>▽<)状態。鷹野さんとレナの百合カップル、鷹野さんを「お姉様」と呼びたい云々は、アニメ版『ひぐらしのなく頃に』の鷹野三四役を演じてる伊藤美紀さんが、『マリア様がみてる』アニメ版では主人公祐巳の姉(スール)役、小笠原祥子さまを演じてるという繋がりでの、コアファン向けのパロ。あー面白かった。

 こういう話イイですね。竜騎士07氏も「お疲れ様会」やホームページの日記でやぶさかでもないというようなこと書いてらっしゃいますが、是非、またそのうちショート番外編を書いて頂きたいものです。

 ◇

 というわけで『ひぐらしのなく頃に』一旦完結。『うみねこのなく頃に』の前に『礼』が読み終わって良かったです。二次創作に次回作にとまだまだ「07th Expansion」様を追いかけることになりそうですが、とりあえず、(創ってる方々も読んでる方々も)お疲れ様でした!

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