今週の「ツバサ」。マガジン雑誌本編のタイムリーネタバレ感想、Chapitre.155「禍々しき双子」の感想です。
 謎明かし話。
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 黒鋼の過去編からもうだいぶ経ちますが、いよいよファイの過去編が開始。

 とりあえず前からファイが自分の命と引き替えに「選んで」殺してしまったとされる(というか前回の引きで出てきたキャラだけど)存在が、ファイの双子であったことが明かされます。ヴァレリア国と呼ばれた国で、王子という身分にも関わらず厄を生む双子として生まれてきたがゆえに、厄を背負って二人で「谷」に幽閉されていたということ。どうやら、二人が厄を背負えば背負うほど国の皆が幸せになるというお話らしんですが、この辺りは誰かが「願い」、幸せを追求すれば、他の誰かの願い、幸せを捨象することになるというのを描いてきた「ツバサ」らしい設定です。「東京編」17巻の、

  「…私はこれからも、誰か…を傷つけて何かを奪う…自分勝手な理由で…きっとその報い…を受ける。わたしが…そうしたように…でも…それでも……取り戻したいの。貴方の無くした心を…小狼君…」(サクラ)

 の辺りに顕著な部分ですね。サクラに限らず、誰でも何かを願って求めれば、誰かを傷つける。「XXXHOLiC」とのリンクでずっと描かれ続けてきた「対価の原理」のテーマに通じる部分です。世界は対価の原理で回っているから、誰かが何かを得れば、誰かが何かを失う。今回でいえば、国民が幸せを得れば、双子は幸せを失うと、そういう仕組みです。これまでは物語冒頭の侑子さんの、

 「今の世界を失っても 居心地のいい場所を捨てても、求めるものを追う 失うものの重さも辛さ分かってて、それでも欲する そのために生きる そういうのが本当の覚悟」(侑子さん)

 の台詞に顕著な、それでも、求めることで失われる何かの重さを分かっていても「願う」んだ、求めるんだ、という「本当の覚悟」が是的に描かれることが多かったんですが、今回は逆に誰か(国民)が求めた結果、捨象されてしまった側(双子)の視点からの物語ということですね。

 そうして、同じ捨象されてしまった側の二人、手を繋いで絆を確かめ合ってたはずなのに、結末としてはファイが自身が生きるため(自分の「願い」を通すため)にもう一人を捨象してしまうことになると。そういうお話なのか。

 で、「もう一人」の名前はユゥイで、あれ?「下」にいる方がユゥイで「上」の方がファイだったの?というサプライズで引きとなってますが、今読み返してみたら確かに133話のファイの「死にたい 死にたい……」の回想でも、ファイは窓枠みたいな所から外を見ていますね。あの時の最後の「でもその前に誰かに……」の言葉の続きがいよいよ明かされるわけですか。ユゥイは下にいるから大局的情勢は分からないんだけど、ファイは上にいるから窓から国に起こった何らかの惨状を目撃していたと、そういうことなんだろうなぁ。

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 19巻の帯で告知されるという重大発表はなんだろう。再アニメ化だったら嬉しいなぁ。

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