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 「有り難う、小狼君」(サクラ)

 『ツバサ』第19巻の感想記事です。全体としては収録話に関してマガジン掲載時に書いた感想の再掲記事になっています。コミックス派の方は、これを機会にこの記事で一気読みをどうぞ。それにしても『東京編』OVA化…キターーー(>▽<)>今巻の帯にて発表。
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 以下、感想に入る前に、帯と折り込みチラシにて発表された、「東京編」OVA化情報。

!作品タイトル:『ツバサ TOKYO REVELATIONS』
!制作:プロダクションI.G/!脚本:大川緋芭
!発売:DVD付き限定版の形で販売:
●第21巻/Disk.1 魔術師の伝言 11月16日発売/特典:CLAMP描き下ろしによるアマレーケース(3枚収納)
●第22巻/Disk.2 少年の右目 1月17日発売予定
●第23巻/Disk.3 姫君の視た夢 3月17日発売予定

 ありがとーー(>▽<)

 1巻3000円ほどですが、1話収録のDVDと思えば適性価格な感じ。絶対買います。そうだよ、やっぱり「東京編」の重さをやるなら、NHKエンタープライズによるTVアニメ第3シリーズじゃなくて、お子様置いてけぼりで大人ががっつり楽しめるプロダクションI.GによるOVAが最適だよ。いやー、良かった良かった。発売が楽しみだ。

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 以下、本編感想。今読み返すと、前半の予想は外れまくってるなぁ(;´Д`)。サクラの真意を序盤から看破できてた読者はどれくらいいるのだろうか。

●ツバサ/感想/Chapitre.141「儚き逃亡者」

 「欲しいものがあるんです……」(サクラ)

 こ、このコマのサクラがちょいダーティーというか、何かしら負のエネルギーの「願い」のようなオーラをむんむんと纏ってますよ。ここまで餌の小狼と真・小狼との折り合いで迷走するサクラを描いてからサクラの願いの存在を明かした以上、「小狼」関係の願いなんだと予想しますがどうでしょうか。何かしらサクラから見て、真・小狼から餌の小狼の面影を消すものとか、そんな感じかなぁ。

 ◇

 時間軸が分かりづらかったんですが、「東京編」のあと一つの世界(餌の小狼の所業に真・小狼が石を投げられてたカットが入った世界)だけはさんですぐに現在の「インフィニティ」に来たわけじゃなく、既に沢山回ってきての末の現在なんですね。もう、長いことこんな負荷がかかる人間関係続けてきたのか。そろそろ、何かが壊れてもおかしくないような危うさが際だつ設定になってきました。

 ◇

 というわけで、「インフィニティ」のゲームの勝利で得た賞金を、餌の小狼が壊した世界の復興に回し、その対価として侑子さんに何かしらの「願い」をサクラが叶えて貰うという構図で、「インフィニティ」編後編へ。
 「願い」を叶える。言い換えれば目的を達成するために頑張る様は少年漫画では清々しく描かれる部分なんですが、こう、その「願い」がネガティブチックな暗示を先に打たれると、とにかく危うさとハラハラ感が先行します。先に待ってる勝利の清々しさを予見してワクワクするのではなく、先にまってる何らかの崩壊を予見してハラハラと待つ何かしらの危うい娯楽のよう。本当に「東京編」以降で作風ガラっと変えてきたなぁ。

 ◇

 そして、モコナの、

 「黒鋼が起きていてくれたら 安心して 寝られるよ みんな」(モコナ)

 の語りですよ。

 「東京編」以降の危ういパーティーは黒鋼の存在で何とかもってるなぁなんて感想で書いていましたが、こう作中で明示されるのは危険です。今、このパーティーで黒鋼という柱が折れたら色々なものが崩壊してしまうのですが、だからこそ従来のCLAMP作品的には敢えて折るような気がする。なんか、黒鋼も折れそうな不気味な暗示(と取りました)をほのめかせつつ、アシュラ王の目覚めでファイ的には明らかに崩壊のタイムリミットが迫ってるかのようなことがファイ自身の口から明示されてますしで、いよいよ主要登場人物達をとことん追い込む部分のお話に入ってきた感じですよ。

 まあ、そんな風にとことん追い込まれて、それでも、色んなものを失って、色んなものが崩壊しても、それでも願いたい「願い」があるんだ!というのがCLAMP作品の作風というか共通するテーマなので、必然的な展開と言えばそうなんですけどね。

●ツバサ/感想/Chapitre.142「孤独な姫君」

 前回ちょっぴりダーティーチックに示唆されたサクラの「願い」は、「世界を一人で渡る術」を手に入れること。

 新しい4人での旅の再始動時に、ファイに対しても「(サクラを守るというのは)本当にファイさんのやりたいことなんですか?無理してませんか?」的なことをサクラは言っており、つまりはどこかでファイがサクラを「唯一の姫君」と定めて付いてきてくれることに負い目(というかそこまでしてもらっていいのか的な感情)を抱いている。そしてインフィニティ編に入ってから散々描写されてるように、餌の小狼を救いたいという自分の願いのために、真・小狼が傷ついてしまうのは良いのか?という葛藤を常にサクラは抱えている……ということで、おそらくは自分の願い(餌の小狼の救出)のために仲間3人に負荷を強いることに対しての自罰的な感情からの独りで旅立つ覚悟なのかと思われます。

 が、それはまだ表面的で、一番は「迷宮の少女」で描かれたような現在の真・小狼との関係がつらくて、そこから離れたいというのが深層の理由のように思われます。けれど、だとしたらそれって一種の「逃げ」だよなぁ。何を失っても欲する物を追うという侑子さん曰くの「本当の覚悟(作中で肯定的に描かれてる要素)」というよりは、つらいから自分から大事なものを失ってみせることでむしろ自分を生かそうという自罰の逃避という印象。

 というわけで、一種の「逃げ」的な感情で独り破滅的な旅路に立とうとするサクラを、仲間(主に黒鋼と真・小狼)がどうすくいあげるか……というのがここでのお話のような気がする。CLAMP作品なんで破滅の方に突き進んでサクラが本当に孤独の旅路に出ちゃう可能性も捨てきれないけど、それでは主要登場人物がバラけ過ぎて作劇も難しくなるし、何より、お酒を勧める黒鋼が真・小狼の「個」を認めてやる場面とか、サクラ−真・小狼関係については、改善される希望も仕込みとして描かれています。そこに、今回の黒鋼の、「やりたいようにやる」発言でしょ。黒鋼は何気にお父さん的なポジションでのサクラの本当の味方なので、このままサクラを行かせるとも思えない。さらには真・小狼の方には「言葉にして語らないと伝わらない」的なことを助言し、ファイには「言葉に出さないからって汲み取れないと思うな」とささやくと、真逆のことを言いつつ状況を的確に理解しているハイスペック黒鋼……という図なので、ここは、黒鋼(とそれに引っ張られる真・小狼)がいかにしてサクラをすくい上げるかが見所なのではないかと。

 つーか最近の黒鋼のカッコよさは異常。真・小狼は既に黒鋼によって幾ばくか救われていて、この調子だとサクラとファイも黒鋼が何とかしてくれるんじゃないかなぁ……なんて思ってしまうんだけど、お話的には全部黒鋼かよ!というのも変なので、やっぱり救えない仲間も出てくるのか……?とビクビクしながら今後の展開を待ちます。

●ツバサ/感想/Chapitre.143「未来の選択」

 Chapitre.139の、

 「勝つ…だから、そこにいろ」

 のシーンで、真・小狼としては(サクラと)「関わる」ことを決めた感だったのに、サクラの方は(真・小狼及び仲間と)「関わらない」ことを決めていたというすれ違い劇ここに極まれりのラストの扉越しのサクラと真・小狼の絵。

 断片的な先読みの力にて、このまま一緒に餌の小狼を追えば仲間達に悲劇的な結末が訪れることを感知してるがゆえ、それをさける別な未来を「選ぶ」ための行動と表面的にはサクラ視点から取れるように話は語られてるんですが、その割には得られる「彼女」による一人での次元移動は一回しか使用不可で、しかも望んだ次元にいけるとは限らないということで、表面的には仲間達より先に餌の小狼を見つけてみせるなんて言いつつ、そんな可能性はほぼゼロなわけで、これは自分が犠牲になることで仲間達を助けようというサクラの一種の自己犠牲な感がひしひしです。

 自己犠牲がもたらす負の部分のお話は、既に『XXXHOLiC』第8巻相当のお話で四月一日を通して描かれてるんですが、この時の『XXXHOLiC』のお話の着地の「半分ずつだな」の関係の四月一日と百目鬼の関係(『XXXHOLiC』第8巻の感想を参照)にはまだツバサ側の新パーティーはなれていないので、得るものも失うものも同価の対価の原理にのっとったパーティになるまでをこのエピソードを通して描くという感じかなぁ(このままサクラが自己犠牲的にいなくなったら、サクラは与え過ぎ、仲間らは貰いすぎの状態になる)。

 さらに、サクラ、「東京編」クライマックスの17巻で、

 「…私はこれからも、誰か…を傷つけて何かを奪う…自分勝手な理由で…きっとその報い…を受ける。わたしが…そうしたように…でも…それでも……取り戻したいの。貴方の無くした心を…小狼君…」

 と言っているので(17巻の感想参照)、あの時点では誰かを傷つけてでも、それでも得たい願いがあるという侑子さん曰くの「本当の覚悟」を宣言していたのに、ここにきて仲間だけは傷つけたくないというのは、やはりその後に起こった真・小狼と小狼を重ねてしまうエピソードに端を発していると思われ、やはり「ツバサ」という作品的にカッコよく描かれる願いのための「覚悟」というよりは、迷い、逃避、といったカッコよく描かれない類の感情によって今はサクラ動いてる感じ。

 今話で侑子さんも、

 「望もうと望むまいと 一度結ばれた縁は消えないわ」

 と暗示させてることだし、ここは迷いや逃避から自己犠牲の道を選ぼうとしてるサクラを真・小狼をはじめとする仲間がすくい上げる話を期待したい所。素でどんどん主人公(今はサクラ)を破滅に追い込む展開もCLAMP作品的にはアリなんで怖い所なんですが、やっぱり「一度結ばれた縁」にフォーカスがあたって、「東京編」で崩壊させたサクラ達が積み重ねてきた関係性(縁)を、やっぱりそう簡単に消えないくらい強いものだった!として描くというのが、一番カッコいい感じ。いくら「東京編」で一旦全部転覆させたとはいえ、何もそれまで描いてきた「新しい関係性を紡いでいくことができる」という是のメッセージまで否定することないじゃない。この話で、その辺りの是のメッセージをさっそく(物語上)繋ぎ取って欲しいところ。

●ツバサ/感想/Chapitre.144「一番大切なもの」

 今話は2点、1点目は、一人で旅立つ覚悟から、サクラがファイに「これからは自分を一番大切にして下さい」という願いを伝えるんだけど、そのシーンにはサクラ自身は自分を一番大切にしていない(ファイらの悲劇的未来を回避するために、自己犠牲的に一人先の見えない旅に出ようとしている)というちょっとした矛盾があり、それを踏まえて、サクラは明示的には仲間に伝えていないんだけど、ファイ、黒鋼、真・小狼それぞれ何かを感じ取ったような点。

 2点目は、

 「謝るつもりなら…いらない」

 「ありがとう、小狼君」

 のやりとりで、サクラが初めて真・小狼を「個」として名前を呼んだ点(餌の小狼ではなく、真・小狼の方の「個」として「小狼君」と呼んだものと思われる)。

 そんな、立ち去る覚悟を決めたからこそようやく呼べたというのが切ない。

 されど、そうして初めてサクラから「個」を認められた真・小狼が(黒鋼なんかからはお酒を勧めるシーン辺りで既に認められてたけど)、今まで自分のもの以外の武器で戦っていたのが、「個」として己の真の武器を召還するという流れが最高に熱かった。炎と共に剣が出てくる所カッケー。

 ◇

 最後は真・小狼の相手となる、敵側の駒であるオートマタなる機械人形が登場。「個」として向かう小狼に対して、「個」の無い機械人形……って感じのバトルになるのかな。そう思うと、このチェスゲームという舞台設定自体が、「個」がかき消されたかのような「駒」として戦う設定だからこそ、逆に「駒」ではなく自立意志を持ち「個」として戦う真・小狼の決意が覚醒する様を描くシーンを際だたせるために設定したという意図があるのかもしれない。真・小狼もあるいは与えられた駒としての役割(あるいは餌の小狼の代理としての役割:役割を与えた側は、例えば飛王)に準ずるだけのキャラじゃなく、真・小狼という一人の「個」なんだよ!という叫びが感じられるかのような展開が熱い部分なのでした。

●ツバサ/感想/Chapitre.145「綻び始める世界」

 サクラと「関わる」と決めた個としての真・小狼の激闘の前半パートをよそに、後半ではサクラがもう真・小狼らとは「関わらない」と決めた新たなくだり、「強運」を対価に差し出してまで渡る次元を選ぶ。つまりは徹底して「独り」で行く気になってるという切ない1話でした。

 サクラの意志はある種崇高で、仲間が大事だからこそ仲間のために自分が独りになると決めてるわけですが、その分、サクラが仲間を想ってるのと同じくらい仲間もサクラのことを大事だと想ってるのには今一つ無自覚な感じなんだよなぁ。いや、無自覚というか、深層では分かってるんだけど、それでは仲間を救えないから敢えて言語化して自分の中では明示化してない感じ。その辺りを看破して、仲間と関係の無い自分の問題とするサクラに「本当にそう思うの?」と問いかけ、「一人」と「独り」は違うと語りかける侑子さんがカッコいいわけですが。

 そして、実はサクラが先読みしたサクラと仲間が一緒にいることで起こる悲劇的な未来はこのインフィニティで起こるらしいことが明らかにされ、タイムリミット近しなことが読者にも提示されました。なので、予想としてはこの世界でサクラと真・小狼らの関係の再構築が行われるのではなくて、マジで一旦サクラは独りで目的の次元に旅立つような気がしてきた。そうして未来が変わった後に、真・小狼、黒鋼、ファイらがまたサクラを追って、「独り」で強運も対価に差しだし、ボロボロになってサクラ絶対絶命という所で再合流。ここを読んでる「ツバサ」ファン層とまったく重ならないような作品から敢えて例をあげると、『明日のナージャ』でナージャがダンデライオン一座を離れて独り母親を追う旅に出るんだけど、最後の絶体絶命の所でダンデライオン一座がやっぱり来てくれた!的な展開。いや、この例は分かりづらい

 ここでは多く語りませんが、今週の「XXXHOLiC」ヤンマガ連載分なんかでもツバサとのリンクで物語の佳境がせまってる感が演出されてることもあり(今話のサブタイ、「綻び始める世界」は今週の「XXXHOLiC」を読むとなお分かる)、意外と物語トータルのクライマックス近いのかもしれない。サクラが望む次元にはおそらく餌の小狼がいるはずなんで、そうしたら一気に面子が揃ってクライマックスですし。あー、楽しみだ。

●ツバサ/感想/Chapitre.146「夢で視たもの」

 「させない、あんなことは」(サクラ)

 ……のサクラのコマに映ってた映像がインフィニティで起こるサクラが先読みした悲劇的未来の映像と思われるので、血を浴びてる真・小狼と黒鋼……という映像から、消去法、およびアシュラ王復活の伏線から、悲劇が起こるのはファイに……の模様。

 ただ、近話の「XXXHOLiC」で侑子さんがサクラ達が「選んだ」ことによって世界が変わり始めてることを述べており、予定調和に起こりえるそのファイの悲劇的未来に対して、サクラ達の選択が未来を変えていくという熱いお話なのかも。今話では、明らかに自分を犠牲にしてでも未来を変えに行ってるサクラに、最後にファイの腕を掴む黒鋼、「個」として勝ちに行ってる真・小狼……なんて辺りの要素が、予定調和の悲劇的な未来には無かった要素と解釈したい所。あとは、ファイ自身のそういう要素がなくちゃ!

 引きは黒さま曰く「なんじゃありゃ」な世界観がドラゴンボールのエネルギー砲を放つオートマタ「ヒカル」に、それを必殺のい雷帝招来で迎え撃つ真・小狼。だけど、真のクライマックスはファイとアシュラ王の接触になる予感。

 もう、ここまで来たら「XXXHOLiC」と対で読んでないと損だからそっちの方も語っちゃいますけど、今週の「XXXHOLiC」第132話では、倒れ込む四月一日を見て、「最後の瞬間が近付いてる……」とつぶやく侑子さんの絵で引きになっています。おそらく、四月一日の悲劇的な未来と、ファイの悲劇的な未来がシンクロされて描かれており(詳しい意図は不明なれど、ツバサ17巻の感想で書いた通り、四月一日とファイはシンクロ演出が行われている)、そんな「最後の瞬間」を如何に乗り越えるか?というのが主題のお話になっているのだと思われます。くしくも、「XXXHOLiC」の前話で、四月一日が『ツバサ』〜『XXXHOLiC』を通しての侑子さんのキー台詞、

 「この世に偶然は無い、あるのは必然だけ」

 を印象的に口にしています。なので、今回はそんな悲劇的な必然が、打ち破られる、あるいは、新たなる必然で上書きされる様を描くお話なのだと思います。救うべきはファイと四月一日。悲劇の予定調和を変えうる選択は、近刊の百目鬼の選択、ひまわりちゃんの選択、サクラの選択、黒鋼の選択、真・小狼の選択……といった所。四月一日とファイがシンクロされてるだけじゃなくて、17巻で同じく描かれたひまわりちゃんとサクラのシンクロ演出が今回も描かれるのでは?という予想もわりと本命で、さらには、「XXXHOLiC」の方で今回鍵を握ってる五月七日小羽ちゃんと、「ツバサ」の方で鍵を握ってる「彼女」なる存在も明らかにされてる点で、この辺りのシンクロ演出も来そうな予感。東京編で一クライマックス迎えて、少し息をつくのかと思いきや、たたみ込むようにクライマックス2に突入してるなぁ。

●ツバサ/感想/Chapitre.147「三つの世界」

 「彼女」の正体は、次元移動機能付きの高性能オートマタたる、インフィニティの次元でのチィでした。そして、ファイ曰く、「チィの封印が解けた」でセレス国のカットが入り、侑子さんの三つの世界が交わったという趣旨の語りで終幕。

 三つの世界ですが、インフィニティ、サクラが行こうとしていた世界、セレス国……の三つと解釈。セレス国はアシュラ王復活伏線、サクラが先読みした未来がファイの悲劇っぽい伏線絡みだろうし、サクラが渡ろうとしている次元が餌の小狼がいる次元だったとしたら、一気に主要メンバー揃い踏みという、超必殺技展開です。これは凄い、星史郎さんの物語とかの細かい伏線を抜きにしたら、最終章に入ってまとめに入ってるのではとすら思えます。

 そんな感じで、サクラが真・小狼に「ありがとう」を伝え、それに続く(おそらくは)「さようなら」を伝えようとした所で、はしりと真・小狼がサクラの手を掴んで、そこにかけられる黒鋼の、

 「姫を離すなよ!」

 のシャウト。やはり、孤独に自己犠牲的に願いに邁進するサクラを、ここは仲間パワーが制御。東京編で一度崩壊した仲間達の危うい関係性が描かれてきたインフィニティ編ですが、ここは、そんな危うい関係の中でも残ってる侑子さん曰くの「縁」パワーに回帰。しかしながら、アシュラ王が来ても、餌の小狼が来ても、過去最高レベルの難関イベントということで、真・小狼は手負いで、孤高なサクラの心は離れ気味、黒鋼とファイの関係も微妙……というこの総力パワーが落ちてる状態でそんな強敵に立ち向かえるのか!?という最高のハラハラ感のままクライマックス突入。やべー、いくら黒さまが無傷で残ってるとはいえ、これはピンチだ。

 ◇

 タメにタメてた「彼女」の正体を明かす形で、天空からこの次元のチィが降臨してくる絵はカッコいいですね。こういうハっとするカットがあるから、やはりCLAMP絵は好き。

●ツバサ/感想/Chapitre.148「二つの選択肢」

 まだ情報が明示的じゃないので仮説になりますが、以下、解釈箇条書き↓

・Chapitre.133のファイの回想で、「死にたい死にたい死にたい死にたい死にたいでもその前に……誰かに誰かに」と呟くファイの言葉に続くのは「誰かに逢いたい」だったのではないかと思われる。つまり、背景は明かされずとも、過酷な状況に幽閉/監禁状態だったファイにとっては、他者の存在が非常に重要なものだった。
・が、ファイは何者かによって提示された「自分が外に出るか?もう一人が外に出るか?」という二つの選択肢から、自分が出ることを選び、対価として、「もう一人」の命を差し出してしまう(他者である「もう一人」はファイにとって重要な存在だったと思われる)。
・さらには、「お前が選んで消した命、おまえはその責を負わなければならない」の何者かの台詞から、『XXXHOLiC』〜『ツバサ』に流れる「対価の思想」から、一人の命を消した対価として、今度はファイを救い出してくれる存在の生命をも奪わなければならない呪いをかけられる。
・で、その流れで、ファイは(おそらく)アシュラ王の命を奪った。
・ファイがアシュラ王から逃げ続ける理由はアシュラ王の命を奪ったからであり(奪ったって言っても復活する予定だったみたいなのは序盤から描写されてる通り)、ファイが何故あれほど死にたがりなのかは、本当は自分が死ねば良かったという状況で大事だった他者を犠牲にして生き延びてる自分に対して、「責」からも、「対価の思想」からも、自分の命で償ってしかるべき、自分は生きていてはいけない存在という想いが深層意識にあったから。
・だからこそ、そんなファイでも「生きていてくれて良かった」と言ってくれたサクラを「唯一の姫君」と定めた。
・が、大事な存在になったから呪いが発動してサクラを刺したのか、既に呪いでデフォで殺すようにインプットされてるアシュラ王と見間違え、というか錯乱状態で刺したのかは分からないんですが、そんなファイにとって大事な存在になってるサクラを刺さねばならない悲劇……という所で引き。

 というわけで、どちらかというと、そもそもファイともう一人をあんな状況に幽閉した存在と、悪魔の選択肢をささやいてきた存在(同一の可能性もある)が、印象的には一番悪いヤツという感じ。

 そして、逆にこの流れだと、アシュラ王はファイ的に自責の念を感じてるだけで、デフォの悪役というわけではない印象(殺されたのを恨みに思ってファイを追いかけてきたのかもしれない、というかだからファイは逃げてるのかも知れないけれど)。どういう対立関係になっていくのか楽しみ。魔力がファイより上と語られてる以上、敵に回れば過去最大級の敵キャラになるわけですし>アシュラ王。

 サクラはまだ次元移動前で「幸運」を対価に渡してないので、普通に助かってると思います。そんなサクラを含め、危うい仲間パワーが、この超ピンチな局面を乗り切れるのかどうか、ハラハラと次回を待ちます。

 ◇

 あとは、「三つの世界」「二つの選択肢」と、地味にサブタイがカウントダウンされてるのが気になる。次回は「一つの○○」かな?

●ツバサ/感想/Chapitre.149「愛すべき未来」

 インフィニティ編ラストにして、サクラの意味合いが裏返った結構すごい構成のラストでした(もう、「東京編」を読んでからは『ツバサ』に関しては生半可な裏返し構成では驚かなくなりましたが)。

 ずっと、餌の小狼と似ている真・小狼からの逃避的に孤独に落ちようとしてるのか?的な叙述でインフィニティ編のサクラは描かれていたわけじゃないですか。まあ、それも多少はあったのかもしれないけれど、今話のラストにて、そういうのよりは、インフィニティ編は、サクラの内面でだけで描かれてた、孤高のファイ救済計画だったことが明らかに。

 まあ、今回の侑子さんの説明通りに漠然と受け取って、「とにかく凄いパワーが発動した」で解釈をすませてもいいスケールの作品なんですが、敢えて細かく考えると、サクラは二つのチィに眠る羽根の力を使って、本体を二つに分離(この表現は適切ではないかもしれないですが、飛王が(たぶん)魔力で真・小狼から存在が同じ餌の小狼を作り出しているように、細かい設定はともかく、作中の世界では、凄まじい魔力さえあれば、自分の分身のようなものを作り出せるものと思われる)し、ファイに殺されたサクラを片方の世界へ、もう一つの「まだ命が消えてない」サクラをサクラの望む世界へ旅立たせることで、「呪いからサクラを殺すことになってしまうファイ」という予定調和に定められていた悲劇的未来を回避したものと思われます。

 幽閉されてた大事な存在である「もう一人」を自分の命と引き替えに死なせてしまったファイの絵と(このカットで次元の隙間から出てる手の袖の部分がモロ飛王っぽいので、やっぱりファイに悪魔の選択肢を突きつけてきた存在は飛王っぽい。そう言えば、Chapitre.133「旅の行方」で、侑子さんがファイに「仕組まれた事とそうでない事、貴方はもう分かっているでしょう」の言葉を語っており、その後がファイの幽閉されてる回想でした。つまり最終的に、サクラを使っての次元の記憶回収ミッションのお供としてファイをサクラのもとに送るまでが飛王にコントロールされて仕込まれていて、「もう一人」殺しもその「仕組まれたこと」の一環だったということ)、再び呪いで大事な存在となったサクラを殺してしまった(かに見えた)ファイの絵をリフレイン演出で見せて「また大事な人を殺してしまった」のか?と引っ張っておいて、そこから秘匿されてたサクラのファイ救出計画が決まって、サクラの生存が明かされ逆転する構成は見事でした。自分が孤独に落ちることをはじめ、様々な対価を払って見事に予定調和な悲劇的未来を変えて見せたサクラ、

 「忘れないで、これからも未来は変えられる」(サクラ)

 の言葉をファイに残します。「唯一の姫君」以来、サクラを守る気でいたファイだけど、実は守ってもらったのはファイの方。ファイの「死にたがり」の源泉には(悲劇的な)未来を変えられないという諦観もあったと思うのですが、それを無効化できることを実証しての、サクラがファイに残したメッセージです。今話サブタイが「愛すべき未来」。死にたがりのファイにサクラが提示したものを表現してると解釈したい所です。

 ◇

 ファイに微かな救いの糸が垂らされたのはステキなんですが、その対価としてサクラが孤独の旅路に入ってしまったのは悲しい展開。最後の言葉が、

 「また会えるまで」(サクラ)

 だったのが微かな希望でしょうか。サクラ、仲間パワーをないがしろにしてたワケではなかったんだなぁ。それを凌駕するくらい、ファイを救いたかっただけで。

 インフィニティ編終幕で新展開に入りそうな雰囲気ですが、ここでの別れをタメに、サクラと仲間の再会が盛り上がりそうになってきましたよ。また長い目で、感動回を待ちます。

ツバサ 19―RESERVoir CHRoNiCLE (19)

ツバサ 19 豪華版―RESERVoir CHRoNiCLE (19)

ツバサ原画集―ALBuM De REProDUCTioNS

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