また、侑斗は残り8枚のゼロノスの変身カードについて、「多いか少ないか分からない」と言っているので、侑斗自身もゼロノスとしての自分のミッションのゴールがよく分かってないフシがあります。その辺り、侑斗が過去で桜井を「オイ!」と呼び止めるシーンがやはり侑斗にカードを渡したのは桜井説の根拠になるんですが、「オイ!」とかなんだか攻撃的であんまり親しく無さそうに呼びかけてるのは、侑斗自身もなんで渡されてどうなってるのか良く分かってないため、「オイ!もっと説明しろよ!」的なニュアンスでの「オイ!」だったのではないかと思う。
ゼロライナーがハナがいた時間と一緒に一端は消滅したのにも関わらず現在は存在している点については、過去の改変の結果消滅した時間がちょっと変わり、ゼロライナーだけが復活した……くらいしか現在では考えられないので、やはり過去を改変しようとする敵イマジン達に何やらメタ的に干渉している描写がある桜井が、ゼロライナーに関しても何らかの関わりがあるというのがとりあえず推理可能です。
この辺り、過去を改変した場合にそのまま一本軸で未来が変わるパターンと、過去を改変してもそれに対応して変わる未来とそのままの未来がパラレルに出来るパターンと二通りタイムトラベルものSFにはあるんですが、電王は今の所パラレルな時間を描いておらず、序盤で良太郎が善意でちょっぴり過去改変しちゃったのはそのままダイレクトに一本の時間軸上の現在に影響していたので、とりあえず電王は一本軸のタイプのタイムトラベルものっぽいと今のところ思っています。
そうなると、過去の改変によってハナの消滅した時間も復活する可能性があり、それは一つの希望なんですが、敵イマジンの過去の改変は否的に描いているのに対して、ハナのための過去改変のみが是的になるかというと、そうとう微妙。この辺りは、第08話などで過去の改変によらない現在の改善のあり方というのがメッセージとして描かれているので、その辺りはハナには悲しい結末になるかもしれない。脚本家の小林先生、龍騎の時に最終的に神崎兄のエゴのための時を超えた干渉を否として描いた以上、いきなり電王でそれを裏返すっていうのも、あんまり想像できない感じ。
あと、デネブが言ってる「侑斗は本当は寂しがり屋」というのはたぶん本当で、その点が自分がいた時間が消滅して本当は寂しくて孤独なのに、暴力的で強気な女として振る舞っているハナと何かしら共通し、お互いにエンパシーを感じていく展開になるものと思われる。侑斗とハナが絡むエピソードがなんか多いのも多分そういう展開を見越しての仕込み。わりと、ヒロインの扱いがピースとして物語全体にハマらないまま終わる平成ライダーも多い所で、今作の破格の待遇のハナの物語には期待したい所。侑斗、表面的な感じの悪さの裏に、今話ラストでハナに対してゼロライナーが存在していることをハナにとっての希望として伝えるなど、内に優しさを秘めた男として描かれているので、ハナとの関係には地味に期待です。
最後に、今話は人間の想像力に限界が無いことを思い知らされました。ゼロライナーのヘリコプターモード。電車を分解して合体してヘリコプター化、プロペラの部分が刃物になってて怪人をなます切りとか、想像の上を行くにもほどがあり、考えた人薬でもやってるんじゃないかと思った。そりゃ、ウラタロスも突っ込みいれるよ。
どっちにしろ、ハマり度は龍騎以来くらいの勢い。電王、面白いです。
仮面ライダー電王 VOL.2
仮面ライダー電王 VOL.1
電王の世界観は、あいばさんの仰るとおり、一本軸のタイムトラベル、即ち、直線的時間論に近い考えが採られているようですが、私はここに循環的時間論が絡んでくるんじゃないなぁ、と思ってみたり。
つまり『時の運行を守るのは人助けと違う』という考えの侑斗が『それでも、できることがあれば(人助けを)やる』という現在の良太郎に感化されて、のちの桜井さんになり、それが過去の良太郎影響を与えて、再び、現在の良太郎が過去の侑斗を感化する……という循環的時間論が物語を貫く一本の軸になるような予感……というより期待。(続く)