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 「私の望みは既に達せられた」(超鈴音)

 『魔法先生ネギま!』第18巻のネタバレ感想記事です。全体としては収録話に関してマガジン掲載時に書いた感想の再掲記事になっています。コミックス派の方は、これを機会にこの記事で一気読みをどうぞ。
 ◇

●「魔法先生ネギま!」160時間目「世界が平和でありますように」/感想

 思うに、このVS超編のキーポイントは、

1.大局的な所で、夢と現実が入り交じったファンタジーな世界がいいのか?それともそれらは別れてる現実的な世界がいいのか?という、「夢VS現実」の対立構造

 そして、もう一つは、

2.世界のために魔法をバラすのを目的としながらも、どこかで3-Aの皆と一緒にいる風景を望んでいるかのような、超の個人的な内面の部分での「世界VS3-Aの皆」という対立構造

 と、こういった感じで、二つの対立構造がキーになって進んできた話だったと思います。

 ずっと、双方の問いとも、どちらかを選べばもう一つは失われる二者択一的な問いかけのようにして描かれてきて、登場人物は頭を悩ませ、また同時に読者への問いかけにもなっていたと思うんですが、最終的には、どちらかが否定されるわけではなく、両方が止揚される形でうまく今回で着地して、非常に綺麗なラストだったと思います。

 1の問いに対して、前々回で悪を背負う覚悟を負いながらでも(3-Aの皆といる)日常(現実)を選ぶとネギは苦悩の末に決断したわけですが、今話で物語上の総括的な感じで、茶々丸さんから千雨にもう一度問いかけられるわけですね。比較的過酷な人生を歩んできた超さんからすると、まほらの現実のほうこそが夢のようだと。これは裏返すと、まほらの平和な現実の外では、過酷な世界が広がってるのに、それを見過ごすんですか?と、そういうネギを悩ませたテーマの再確認なわけです。

 そこで、千雨ですよ。ネギがさんざん頭を悩ませたテーマに、千雨はきっぱりと答えます。

 「あんたはどう思うんだい茶々丸さん?夢だか楽園だか知らねーが。現にここに生きてる以上これが私達の現実だ。私は私の現実を守る!!あんたらの好きにはさせねーぜ!!!」(長谷川千雨)

 カッコ良かった。ネギも千雨も、結局1の命題に関しては現実を選んだという帰結です。ところがそれだけでは終わらなくて……という部分が良いんですが、そこはまとめ的に後述。

 一方で、2の超の内面的な問いに関しては、今回の決戦エピソードの前の超を囲んで3-Aの皆がワイワイやってくれた超のお別れ会の風景がどうやらこのエピソードの回帰点になりそうだと示唆されていた通り、また、前回の、己の目的をはかりにかけても、どこか3-Aの風景を愛しそうに「儚い夢のようなもの」と語った超のシーンからも示唆されていたように、やはり最後は3-Aの皆によって超が救い出されるラストでした。最後、ネギも超も力尽きて空中を落下していく所を、超の移動屋台(空中移動可能!)に乗った3-Aの皆が受け止める場面は感動的でした。

 「フフ…まいったネ。3-Aの皆には私も敵わないヨ」(超鈴音)

 2の命題に関して、結局超は「3-Aの皆」の方に着地したという帰結。ネギが英雄的に超を救い出したわけでもなく、超が強い情感のもとにそっちを選んだわけでもなく、ごく、普通に、3-Aの皆が乗った移動屋台に包まれるというラストが良かったです。

 ……と、ここまで来て、1の命題では「現実」が選択され、2の命題では「3-Aの皆」が選択され、じゃあ、もう一方の「夢」は、「世界」の方は否定されたのか?という所で、最大級の裏技、「強制認識魔法の内容の書き換え」が発動ですよ。書き換えられた内容は、今話のサブタイ、「世界が平和でありますように」。ラストの千雨の台詞通り、「現実」が選ばれたんだけど、超がロマンチストだった的に落ち着かせることで、命題1に関して「夢」も否定しないようにまとめあげた。アーンド、「3-A」の皆といる風景を選択しながらも、その外の世界全体の平和をも願い続けるという風に落とすことで、命題2に関して、3-Aという身近な日常だけでなく、「世界」の方も否定しないようにまとめあげたという、見事なラストでした。最後の一コマは、空を飛んでる移動屋台という「夢」のような舞台で、「世界」の平和を願いながら、千雨が言う所の「現実」である「3-Aの皆」がワイワイやってる風景という、全てを肯定した優しさがギュウギュウに詰まってる一コマでした。それはどこまでも楽しげで。

 昔、「萌え萌えジャパン」に掲載されていた赤松先生の言葉を引用しておきましょう。

 「実際の社会ってつらいことが多いでしょう。特に現代はあまりいいニュースも少ないじゃないですか。だから漫画の中ぐらいは絶対に嫌なことが起きなくてもいいんじゃないでしょうか。出てくる女の子はかわいくて、みんな主人公が好きで。読者には現実で苦労したぶん、そこで楽しんでもらう」

 「世界が平和でありますように」。ともすれば綺麗事だと一笑に付されがちなサブタイと内容かもしれませんが、赤松先生の漫画はこれでいいのです。

 VS超編、堪能しました。3割増しでこの漫画が好きになりました。引き続き、存分にこの漫画に楽しまされたいと思います。

●「魔法先生ネギま!」161時間目「未来はみんなのためのもの」/感想

 前回の感想でほとんど書いてしまった感じなんですが、今回のVS超編の長編エピソードにあった、超の内面における「世界(計画)VS3-Aの皆」という相克というキー(前回の感想で「2」としたもの)が、明確に回収された回。

 前回のラストシーンで絵では全てを語ってた気がしますが、

 「全てだなんて嘘ですよ。儚い夢だなんてそんなハズありません」

 と、ネギの口から言語化して分かりやすく再確認。「計画が全て」としながら、ネギの「3-Aの皆は超さんにとって何だったんですか?」というネギの問いに、「楽しかったけど儚い夢のようなもの」と答え、どこか「3-A」の皆を欲してるように描かれていた超。ネギ視点からのみ描かれてただけにボカされてた超の内面の葛藤劇は、「3-Aの皆」の方に軍配が上がったのでした。

 後夜祭のとにかくエネルギッシュで楽しそうな3-Aの皆を描いておいた上で、ちょっと離れた所で、葉加瀬とか、五月とか、さらには今回は敵対してた明日菜、千雨らまで無言で超のもとに集まってきて、それに気付いた超が、

 「みんな…」

 とだけもらすシーンが良かった。まさに大団円、カタストロフ(団結の方の意味でね)でした。

<補遺>結局超の過去を明かさないで大団円までもっていくというのは、結構挑戦的な物語構成。赤松先生の日記の12月2日に「160話目、打ち合わせ段階で色々モメてます。しかしバトルが終わった以上、もう暗いネタはやるべきじゃない。」とありますが、その主張を押すかのような、今回の超の「過去を知ったからといってその人を理解できると思うな」という趣旨の台詞。何気に深くて、上手くない感じで過去編をやって失敗した作品へのアンチテーゼ的にも響いてくる、結構刺激的な台詞だなと今回思った箇所。でも、結局、「矜持」とか、そういう言葉を愛する超としては、「私こんな辛い過去を背負ってきたんです」と皆に告白してしまうよりは、一部の生徒を除いて秘匿したまま生きていく方がなんからしいしカッコいいです。過剰に自分だけが世界最高の被害者みたいにぶるんじゃなくて、「歴史の教科書を読めば載ってるごくありふれた悲劇さ」みたいに言っちゃう所がカッコいいよね。萌えキャラというより、普通にカッコいいキャラです。

●「魔法先生ネギま!」162時間目「幸福な未来に再見!!」/感想

 あー、いいな、いいですね。異世界から来たキャラがもといた世界(今回の超の場合は未来)に帰っちゃうという、『ドラえもん』最終回的な切な系エピソード。異世界から来たキャラが同居人になったりパートナーになったりというのが多い中、帰っちゃうキャラが一応敵役だったというのが王道から外してるあたりですが、普通にしんみりしてしまいました。五月や葉加瀬、茶々丸に帰る前の最後の言葉をかけてる辺りからしんみりしてしまった。されど、

 「私の望みは既に達せられた」

 と、やり残したことは無いという一種の満足感を携えての帰還。何か、次に続いていく伏線の台詞ともとれますが、普通に前回、前々回の3−Aの皆に囲まれてる風景で、どこかで欲していた物が満たされたがゆえの台詞とも取れます。

 でも、また会おうとか、サブタイが「再見」とか、しつこいくらい再会を叫んでるので、本当に再会展開もあるのかも。このままクラスメイト達との日常パートに置くには他キャラとの相対値のスペックが高すぎ、逆に再登場があるなら絶体絶命のピンチを覆す級の強キャラということで、タメにタメての再登場は丁度良いかも。2年に渡ったシリーズの敵役が、次会う時は味方になって登場というのは燃えます(完全に少年バトル漫画のノリでですが)。赤松先生自身日記ではまだ原作では達成されるか未定としていますが、クラスメイト全員仮契約を達成するには再会イベントが起こらないとダメですしね。

 ◇

 ネギの家系図は、その存在が明かされた途端、稲妻に撃たれたようなカットが入ったキャラが、現在ネギに恋心を抱いてるキャラってことですよね。朝倉や五月には入らなかった辺りから判断。逆に古に入ったのがちょっと新鮮。古師匠も、ちょっぴりネギのこと好きなんだ。ネギも結婚して子をなしていたということで(もちろん作中で言及されてる様に家系図は偽物だった説もあり得ますが)、これはやっぱり最終回近辺で一人が選ばれる展開になるということでしょうか。『ラブひな』の終盤のモルモル遺跡の話での、ヒロインがずらーっと並んで、さあ景太郎選んで!みたいなシチェーションがまた描かれたら熱いかも。あの時点ではヒロイン側の方が既に景太郎が誰を一番と想ってるか心底理解していて、皆自分の気持ち押さえて景太郎の手を成瀬川の所まで繋ぐのが熱かった。今回も、皆○○ならと納得しての祝福エンドを希望したい所ですが、今回はネギがまだ10歳なので、色々ボカして終わるのもまたいいかもという気持ちも。いずれにしろ、個人的にはのどかを応援しております。

●「魔法先生ネギま!」163時間目「have a break」/感想

 大きくは2点。1点目は、158時間目「誰もが未来を背負ってる!」の、

 「夕映さん…本当のことを言って下さい。僕は僕達自身のために悪を行う。それを逃れることはできないのだと」(ネギ)

 の場面をうけて、ネギの成長物語でもあるこのお話で、超編を経てネギが得たものは、この「キレイなままではいられない」という点が一番のポイントであることが、エヴァ師匠から確認されたこと。そういえば前にエヴァ師匠が同じ趣旨のことをネギに既に言っていたんですね。「師匠の言った通りでした」という形でエヴァの前で確認される形になりましたが、こういう「ずっと前から色々繋がってる感」が「ネギま!」の魅力でもあります。
 また、この悪の論理もあってしかりみたいなことをエヴァが語る場面での、明日菜、刹那、木乃香の三者三様の反応のコマ(表情だけで見せてる)がいいですな。なんだかんだで色々見てきた明日菜は複雑な表情だし、まほら武道会編のVSエヴァ戦でその辺りを色々考えさせられる点があった刹那は真剣な表情だし、まだそういう所とは疎遠というか、悪がどうこうと深く考えさせられるお話が入ってない木乃香は「なんか難しい話や!」的な頭イッパイイッパイな感じのコマになってるという。

 もう1点は、まだまだお父さんを追うことになると回りが見えなくなるネギと、それを制止する明日菜……みたいな構図は続いているという点。つまりは、まだしばらくは、作中のネギの表面上の目的は「お父さん」でお話が続いていくのだという点。この辺りは序盤からずっとそうですね。「お父さん」原理主義につい走っちゃうネギを、明日菜が「3-Aのクラスメイト達」の方に引き戻すという形のお話。今回も地味にですが、まだ期末もあるのよ!みたいな感じで、「お父さん」の方に走り出しかけたネギを「3-Aのクラスメイト達」の方に明日菜が引き戻していました。

 この辺りは「まほら武道会編」の感想で書いた通り、ナギ自身から「お前は おまえ自身になりな」の言葉がネギに贈られてることですし、今回のVS超編でもナギだったら超に加勢したかもしれないという高畑先生の話を聞いた上で、ネギは敢えて超を止めにいったということである種のお父さん離れの第一段階が描かれており、やっぱり最終的には「お父さん」VS「3-Aのクラスメイト達」の構図で選択肢がネギの前に提示される展開になっていくのではないかと思います。

 ◇

 あとは、エヴァンジェリンがクウネルの前だといじられキャラになってるのが普通の面白かった。師匠もある意味ギャップ萌えを地で行ったキャラですよね。

 ◇

 あとは先週の感想の補遺的なお話ですが、僕の稲妻に撃たれたかのようなカット(ネギに恋心を抱いてる比喩?)が古老師にも入ったのが新鮮だったという話を受けて、ズバリ作中でネギと結婚するのは古菲ではないか説を唱えてみたシータさんに同意。同意というのはカップリングとして個人的に好みだという類の話ではなく、作中で確かにあり得そうという点での同意(想像力・妄想力フル回転としつつ、中々、なるほどな感じの根拠をあげられております)。
 バカだっていいんですよ!むしろ、ネギみたいに理論っぽく考えがちなインテリ指向の男は、伴侶には同じような既知にあふれる女性よりも、何気ない会話で直感的に満たしてくれる女性を選んだりするものなのです。カーネギーの名著『人を動かす』でも、ディズレリーの奥さんはギリシア時代とローマ時代がどっちが先が分からないような人だったのだけれど、才女たち相手の既知の応酬に疲れて帰ったディズレリーは奥さんとのとりとめのない会話にものすごく癒されてた(そしてものすごい円満な夫婦関係を築いた)なんて話が紹介されてますし。今年のネギま同人誌の主流は、「クーネギ」です!頭いっぱい使ってイッパイイッパイな感じになったネギが、バカだけど明朗な古菲に癒されるお話。ああ!なんか普通に読みたいかも!

●「魔法先生ネギま!」164時間目「マジカル悪戯魂」/感想

 VS超編を通して、マジカルな側の住人だったことが明らかになった美空さんのクラスメイト編ながら、美空さん視点から、色々と文化祭で動いた人間関係が見えてくる面白いお話。

 懺悔室というギミックを使ってモロに焦点があたった明日菜とネギの関係、夕映−のどか−ネギの三角関係(次回に持ち越しですが)あたりの他にも、さりげなく作中でも周囲の認知度が上がったかのような裕奈や、大人ヴァージョンのネギに恋心を持ってしまった亜子etcなんて辺りもカバーしてるのがさすが。作中でもセルフ突っ込みが入っておりますが、文化祭編が非常に長くなったので、その間にどんなことが起こったかさりげなく確認してる感じでしょうか。

 でも、一番はやっぱりお父さんを追おうという気持ちが相変わらず強くてそっちの方に駆けだしていってしまいそうなネギと、どちらかというとそれを3-Aの皆の方に引き戻しておきたい明日菜……という序盤からの基本構造に引き続きスポットがあたった点ですかね。今話の最初の方で、文化祭で有名になってしまったネギに対して、まき絵の口から「ネギくんは3-Aの皆から遠くにいったりしない」的なことを言わせてるのが仕込みなんですね。そんなまき絵の言葉をよそに、ネギは前回クウネルからお父さんの生存を聞いて以来、表面的にはともかく意識は「3-Aの皆」よりも「お父さん」の方に向いてしまっていると。そして、超が残した「立ち止まるな前へと進め 君が求めたモノは得られるだろう」のメッセージにさらに想いを深めてお父さんの方に気持ちが行っちゃうという(この場面含め、何回か使われた空をネギが眺める場面は、そんなお父さん志向にネギが向いている記号)。敏感にその辺りを察してしまう明日菜としては複雑かつ面白くないわけで、それゆえのちょっとしたネギとの不和展開。

 ここで懺悔室で明日菜が「ネギと超が似ていた」という趣旨の発言をしてるのがなるほどという感じでした。VS超編は、超の側からの物語としては、計画の完遂か、3-Aの皆か、という超の内面の相克がキモだったわけですが、そんな「自分の目標VS3-Aの皆との日常」という構図が超とネギとで重なってる点を明日菜は言ってるんでしょうね、3-Aの皆も何もかもふりきって、(表面上は)ただ己の目的の完遂のために全力を尽くした超と、お父さんという目的のためには何もかも(あるいはもしかしたら3-Aの皆や私も……というのが明日菜の不安)振り切って走り出してしまいそうなネギが重なると。結局超の物語は160時間目「世界が平和でありますように」のラストで「フフ…まいったネ。3-Aの皆には私も敵わないヨ」と言ってる通り、「3-Aの皆」の方に軍配が上がって相克が解消され、あまつさえネギ自身が161時間目「未来はみんなのためのもの」のラストで「全てだなんて嘘ですよ。儚い夢だなんてそんなハズありません」と、「3-Aの皆」も大事だったでしょう?的なことを言っていたため、明日菜はネギ自身も過度の目的(お父さん)志向じゃなくて、「3-Aの皆」との仲間パワーに目覚めたか……なんて思ってたのに、前回でお父さんの生存を聞いた途端ネギはまたお父さん志向に戻っちゃったもので、なんかもどかしくてかつ今ひとつ面白くないんですね(そこには懺悔室で話してた通り、ネギの夢の手助けをするには実力不足の自分……みたいな複雑な心境も混ざってる感じで)。美空も言ってますが明日菜可愛いですね、面倒な装飾をとっぱらって明日菜が言いたいことは、「お父さんもいいけど私(私達:3-Aの皆)のことも見て」ですよ。

 とりあえず、このネギの「お父さん」か「3-Aの皆」かというキーポイントはおそらく最終回近くまで続くんでしょうが、近しいイベントとしては、前回から示唆されてる「期末テスト」が、「3-Aの皆」を象徴するイベントとして使われそうですね。果たしてネギはお父さん志向に走らず、期末テストをちゃんとクリアして「3-Aの皆」を大事にできるのか。そんなお話が近々入りそうです。

 ◇

◇美空

 サブタイ通り、素では悪戯魂を持ってるキャラっぽく、今までも何かしらやってきたっぽいんですが、何らかの理由で卒業までは大人しくしてるという約束をしてる模様。それプラス、しきりにネギ周辺のマジカルなイベントには「関わりたくない」と連呼してるのがポイントでしょうか。これだけ関わりたくねー関わりたくねーと言ってるということは、勿論、逆に関わる展開になるんでしょうね。VS超編では千雨がまさにこの、関わりたくないと言ってたのに、様々な過程を経て関わる決断を下す場面が燃え場面として描かれたキャラでしたが、美空もそんな感じでそのうち何かしら「関わる」ことによる燃え場面が描かれそうな予感がしますよ。

◇のどかと夕映

 のどか懺悔室に登場で引きは気になる。次回一週休みというのがとにかくもどかしいです。ここでのどかと夕映の気持ちを情報として美空が知ったということが、後の展開に関わっていくことを期待しますよ。夕映−のどか−ネギの三角関係話、まさかのサプライズで美空が何かキーを握る展開になるんでしょうか。ここで知った以上、そういう展開になって欲しいけど。

◇超の書き置き

 「立ち止まるな前へと進め 君が求めたモノは得られるだろう」

 ですが、「君が求めたモノは得られるだろう」あたりから、やっぱり超はネギの未来を何かしら知ってた上でこの時代にやってきたんじゃないかなぁ。様々な箇所に、超だけが知ってる何かしらをもとにこの時代のネギと関わってた感がにおわされてますよ。その辺りの超の仮説は、下のクーネギ説の根拠の箇所なんかも参照↓

→クーネギ応援中

クーネギ推奨!ネギと結婚するのは古菲説・まとめへ

●魔法先生ネギま!/感想/165時間目「マジカル悪戯魂 2」

 美空が何気に重要な役目を司りましたね。

 ネギの今の悩みは、お父さんを追うという夢にひたすら走るか、立ち止まって3-Aの皆に目を向けるか……という相克で、前者の気持ちを後押ししているのが、「立ち止まるな前へと進め」という言葉を残した超の存在で、後者の気持ちを後押し……というかネギに喚起させてるのが明日菜なわけですよ。これはずっとネギが抱えてる、「お父さん」VS「3-Aの皆」という相克に根ざしてる悩みです。

 で、今回美空が担ったのは、そんなネギを「3-Aの皆」の方に引っ張ってくる役割。自分の好きな子のことでも考えなさい。そういった一見無駄なことが事態を改善させるかもしれないという語りの部分は、美空はテキトーに言ってる感じでしたが、赤松先生的にはたぶんテキトーでもなくて、非日常パート(その先にはネギ的にはお父さんのお話が待ってる)に自らは関わらないと宣言している美空というキャラに、「好きな子のことを考えろ」ともろに3-Aの日常に関する意識をネギに喚起させる言葉を言わせることで、VS超編で大きく非日常パートに傾いた作品の筋を、これからしばらく続く(赤松先生の日記にここからしばらくはクラスメイト編との記述がある)日常編(クラスメイト編)に揺り戻させる役割を兼ねさせたのだと思います。これはしばらくクラスメイト編が楽しめそうですね。そしてそこで培った3-Aメンバーとの関係をたよりに、また新しい非日常がかかわる長編に入っていってくれたらと思います。やはり、「ネギま!」はお父さんを目指すネギの成長劇であると同時、3-Aのメンバーとの人間関係構築劇。
 以下は、面白かったコメディ部分のキャラ感想↓

◇のどか

 妻妾同衾!

 この言葉知らなくて、辞書で調べちゃったよ(←語彙でのどかに負けてる人)。「さいしょうどうきん」と読むのですね。同衾がね、「一つの夜具の中に共に寝ること。特に、男女の関係にいう」ね。イメージカットが、ほのぼの添い寝というより、妙にエロかった。ツンデレに次ぐ、今年の奔流は妻妾同衾です。流行らせるにはモラル的なハードル高め。

◇刹那

 女の子同士でキス。妻妾同衾といい、この漫画はどうなっていくのか。しかも刹那のこだわりは古いと一刀両断。時代の最先端を行く新しい価値観は、もはや百合に妻妾同衾です。木乃香姫を守るために便宜的に……とは言えないほど、せっちゃんはマジな感情入っちゃってるからな。女の子同士でキスとか、そういうのを流行らせるには……っていうかもう流行ってる

◇委員長

 妻妾同衾、女の子同士でキス……ときて、さらにショタコンで追い打ちをかけます。この漫画はどうなっていくのか。でも僕の解釈だと、委員長の「→ネギ」感情が、委員長の(弟が生まれてこなかった)過去に根ざしてて一番LOVE感情とはちょっと違う、ピュア度が高い感情な気がする。あとは委員長はそんな過去を汲んでくれてる明日菜との関係ね。委員長は今後ネギのため、明日菜のためにという行動原理で爆発的に活躍する話が必ず描かれるであろうキャラなので今から期待しています。普段、コメディタッチでバカなこういうキャラが本気になる話というのは熱いです。

◇裕奈

 妻妾同衾、女の子同士でキス、ショタコンときて、今度はファザコンです。この漫画はどうなっていくのか。お父さんの写真見えそうで見えないー。文化祭編でキャラ的注目度を一レベル上げた感のある裕奈ですが、こちらもタメられてるお父さんとの話(王道でいけば家族愛の話なのかなぁ。ネギのお父さんと対比される形の)が必ず入るであろうキャラなので、楽しみにしています。あとはバストが進展中。この話読んでから、1巻のお風呂で乳比べのシーン(3時間目)見返してみたんだけど、残念、裕奈は出てきてなかった。よく萌え漫画ほどスリーサイズまでキャラに設定してるものだけど、中学生女子が中心だと、そんなスリーサイズも発展途上ゆえに変化、というか進化していくのだということが妙に想起させられてエロかった。もう、裕奈は内面の成長物語と、胸の成長物語がシンクロしていく方向で。

 ◇

 その他、もろもろ、クラスメイト編としていっぱいいっぱいに楽しかったです。今回の感想で妻妾同衾妻妾同衾書きすぎた。検索でこのキーワードで上位に表示されるようになったらどうしよう。このブログには高度なエロの話はありません(注意書き)。

●魔法先生ネギま!/感想/166時間目「沈黙ハ優しさナリ」

 大河内アキラ!

 そしてお風呂!

 『ラブひな』時代からお風呂シーンを書き続けてきた赤松先生。お風呂シーン、というかお風呂シーンに男一人でハーレム状態を描く漫画家としては、世界でも屈指の経験値なのではないでしょうか。「ネギま!」に関しても、これまでもお風呂で乳比べ、お風呂で逆セクハラと色々ありましたが、今回も女子中学生にお風呂で洗い洗われ、指輪を巡って裸体ひしめく争奪レースを繰り広げ……と、色々やってくれました。なまじサイレント形式だっただけに、絵から情報を読みとろうと、お風呂シーンをコンビニで僕、凝視。中々高いハードルを読者に要求してきます。

 扉ページで「他人の悪口がキライ」なんていうアキラの優しい人柄をフォーカスしておいて、本編では始終アキラの優しさが語られ、最後にオチ的にそんなアキラが秘めてる力強さの部分も語られるという、キャラクターを掘り下げるお話としては最上だったのではないでしょうか。とにかく、一緒に指輪を探してあげるアキラの絵から優しさがにじみ出ておりました。なんつーか、ちょっとした母性?

 あとは、悪戯心に火がついた裕奈@導火線から、指輪を次々と回していく面々の絵が面白かった。ザジとか、未だミステリアスなキャラのくせに、ちゃっかり参加してるのが面白かった。そして、そんなミステリアスなザジに対しても容赦なく制裁でお風呂にぶち込んでたアキラが面白かった。

 こう、今週は萌える話ですね。

 髪の毛洗う点を指摘する明日菜が、やはりネギにとっては特別なポジションにいるお姉さん的な魅力でホワホワ!とか、エヴァンジェリンからの指輪からエヴァとネギのLOVE関係を想起してしまうアキラホワホワ!とか、そういう風に誤解されちゃうネギとエヴァ師匠の関係ホワホワ!とか、裕奈、ハルナ、双子姉、美空あたりの素の悪戯娘ホワホワ!とか、シチェーションとしてお風呂で裸乱舞でやる必然性は特にないのに、あえてやるぜ、そういう作劇にしてやるぜ!という赤松先生ホワホワ!とかそんな感じでした。

●魔法先生ネギま!/感想/167時間目「ネギ、育ってます」

 次回にて第一部(一学期編)完結!

 な、なんだってー。そして、今回の内容から察するに、次はウェールズに舞台を移しての夏休み編という雰囲気ですよ。今までキャラクターとして育ててきたクラスメイト達を脇において、ネギ(と明日菜)、アーニャやネカネ姉さんといったこれまで重要ポジションだけど顔見せ程度だったキャラ、そして新キャラ(たぶん)での新展開ファンタジー編をやるというのでしょうか。だとしたらもの凄い決断です。

 ま、まあ、ネギのみならず、魔法無効化体質やオッドアイ、そして時折挿入されるナギパーティに幼明日菜が同行していた過去描写(けど現在の明日菜はそのことを忘れてる)……といった伏線を回収するにはどこかで大きなファンタジー編をやるしかないんですが。それにしても、VS超編で「現実か?ファンタジーか?」という問いを掲げておいて、ラストに千雨に「私は私の現実を守る!」と言い切らせておいて、敢えて続いてファンタジー編に突入するとは。そう簡単に分かりやすいメッセージは提示しない、味わい深い作品だなぁ。

 で、そんな展開へ向かっての、今回ラストの、

 「その時は……アスナさん、パートナーとして僕といっしょに来てくれますか?」(ネギ)

 ですよ。

 悶え悶え。

 アスナへの信頼という形でネギの成長を描写したワンシーンです。

 思えば、何事も一人で背負いこもうとしていたネギが、エヴァンジェリン編にて、初めて助けに来てくれた他者に「ありがとう」を言ったのも明日菜に対してでした(コミックス第3巻の感想を参照)。そして、それからも何回も独力志向と仲間志向の狭間をいったりきたり繰り返しながら、長い一学期の物語を経て、ようやく他者(明日菜)に対して明確に自分から助力を頼んでるわけですよ。ネギの成長です。

 そして、今回そこに至るまでの3-Aのクラスメイトに心を込めて成績をつけるシーンとか、教室での演説のシーンとか、ちょっと遺言めいてるというか、最後に明確にネギの口から語られますが、もう「戻ってこれないかもしれない」と、そこまで覚悟の上でお父さんを追うと決めて、その残りの時間として3-Aと関わってるのが今話なわけですよ。

 そんな、戻って来れないかもしれない旅路へ、明日菜に来てくれと打診するというのがもう熱い。告白です。一人選ぶなら(恋愛感情とは別な感じだけど)、明日菜。物語冒頭当時のネギだったら絶対一人で行くと言ってこんなこと言わなかったのに、物語を経てアスナさんなら……という気持ちになってるのが悶え悶え。

 あー、こういう展開いいな。ここを読んでる「ネギま!」ファン層とまったく重ならないような作品から敢えて例をあげると、『明日のナージャ』でナージャがダンデライオン一座編を終えて、ダンデライオン一座から離れて一人旅を決意する場面で感じた感動(あるいは居心地の良い仲間との時間よりも、ネギはお父さんを、ナージャはお母さんを追うことを決意する)。その時、作品のifとしてケンノスケだけに「一緒に来てくれる?」と打診したかのような感動。本当にこの例は分かりづらい

 次週楽しみ。一つの最終話なわけだから、感動させてくれそうです。

●魔法先生ネギま!/感想/168時間目「もーいくつ寝ると、夏休み♪」

 前回の、「その時は……アスナさん、パートナーとして僕といっしょに来てくれますか?」はちょっとしたミスリードだったー!普通にネギ、のどかや夕映にも言うつもりだったー。

 一学期編の末に、恋愛感情とは違くとも、一人選ぶ人として明日菜を選んで次の話へ……というのも美しいと思ったんだけどなぁ。やはり沢山あった人間関係構築劇の中でも一番顕著だったのは第01話からのネギ−明日菜の関係だったと思うんで。まあ、読者の僕だけじゃなくて、作中でのどかと夕映(と明日菜本人)もネギの言い回しに引っかかってコメディな一幕を打ってくれましたけど。

 でも、そこから続く、一学期編のまとめ的なシリアスなネギの決意の告白と、それを受け止めて言葉を返す明日菜の場面は良かったですね。ちょっとジンと来た。

 ずーっと物語として、お父さん志向か?3-Aの皆志向か?という二者択一的な命題として、ネギはその合間で揺れ動くというお話が一学期編では描かれてきたんですけど、一学期編のまとめとしては、「ネギはやはりお父さん志向をやめることはできない。だけど、その合間で揺れ動いて悩む状態そのものを許容しながら前に進みたいと思う」これがネギ側からの解答でしょうかね。物語冒頭からに比べて、「迷いの許容」と、「お父さん志向でも独りではない」が加わった点がネギの成長でしょうか。「迷いの許容」は超編で散々迷い悩んで、ある種の二元論の否定(超が悪で、自分が正義という風には割り切れない、自分も常に何らかの悪を担うことから逃れられないという気づき)に行き着いたがゆえ、「お父さん志向でも独りではない」は、明日菜をはじめ、仲間達の必死のアプローチがようやくネギに届いたがゆえ……という感じ。2年次の学期末テストで失敗した(と思いこんで)独り学園を去ろうとしていたネギが、学園を去ることになるかもしれない事態において、仲間に対して「僕といっしょに来てくれますか?」と言えるようになるまでになるとは思わなかった。独力志向の仲間パワーによる緩和。中々いい話。そう思うと、一学期編のラストエピソードが2年次の学期末テストエピソードと対応するように期末テストエピソードだったのも構成として美しいですね。

 そして、そんなネギの一学期編の解答に対するアスナの返答が、

 「いいよネギ そのまま進みな。お父さんを目指して真っ直ぐに。そんなあんたを守るって……刹那さんと決めたんだった」(神楽坂明日菜)

 ここ良かった。ネギの「お父さんを追うことを止めたら僕は僕では無くなってしまう気がする」とまでの言葉を聞いて、「うん……それで?」と返すアスナのコマ辺りからヤバかった。ずっと、ネギをお父さん志向から3-Aの皆志向の方に持ってこようとしてたアスナが、一学期編のラストにてネギのお父さん志向を許容。だけどそれは二者択一的に自分を含め3-Aの皆を切り捨てることではなくて、「あんたを守る」と、明日菜側からネギのお父さん志向に協力してあげられるようになるまでに、二人の関係が進展しているからこその許容。ネギの周辺でも、ネギのお父さん志向と3-A志向の間に立たされての生き方に、うまく止揚する形で向かい合えるようになったって感じでしょうか。「あんたを守る」は、普通にカッコいい。ちょっとしたヒロインとヒーローの逆転構成チック。

 ◇

 というわけで、一週あいて次々号から、「夏休み編」スタート。序盤は普通に夏休みの風景っぽいんで、大きい話と思われるウェールズ編に入るまで、どういった過程でネギと一緒にウェールズに渡るメンバーが選出されていくのか楽しみな所。超編までのネギパーティだけというわけじゃなくて、サプライズ人選があってもいいような気がする。

 ◇

 ラストの木乃香を使って挿入される陽光のカットから、「夏休み」に入って誰もいなくなった3-Aの教室の絵で締めは美しいラスト。一学期編、面白かったなー。

魔法先生ネギま! 18 (18)

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