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 今週の「ツバサ」。マガジン雑誌本編のタイムリーネタバレ感想、Chapitre.167「傷つきし忍」の感想です。
 黒鋼ー。
 ◇

 黒鋼の守護印発動は、コメント欄で説を頂いた通り、物語冒頭の旅立ち時に知世姫が黒鋼にかけた「呪」が実は「守」だったという種明かしでした。後出しとか言って悪かった(;´Д`)。

 そして、前回の左腕を差し出しての脱出シーンの解説が知世姫の語りで明らかになりながら、黒鋼の旅のテーマであった「本当の強さ」についての語りが黒鋼から語られます。サクラ、写身小狼、ファイと、運命とも言える超常の能力での「強さ」を持っていた仲間達を回想しながら、それでも物理的な強さだけでは本当に守りたいモノを守れないことがあるとの悟りを得たとの語り。幼少時の父母殺害体験〜物語冒頭の出立時までは物理的な強さ至上主義だった黒鋼が、仲間との旅で変わった部分。その悟りを得ていたからこそ、前回のラストで物理的な強さを棄却することになっても、本当に守りたい者(ファイ)のために片腕を捨てられたという風に意味合い的には繋がります。そして、それを後悔していないと言い切る黒鋼に、「本当の強さが分かったようですね」と声をかける知世姫の絵で、物理的な強さから本当の強さへと変遷していく黒鋼の物語は一区切り。

 そして現れるファイは以前のように黒鋼を「黒様」と呼ぶという決着。前回の感想で書いたように、死にたがりのファイの物語は、幼少時の命の選択体験に起因する、「自己犠牲」がテーマの物語でした。塔の上のファイを殺してしまった(と思い込んでいた)経験から、自己犠牲意識のもとで生きてきたファイは、死ぬはずの自分を黒鋼が血を分けて生かしたことをきっかけに(「東京編」の部分)黒鋼のことを「黒鋼」と呼んで距離を置き始めるんですが、前話のラストで作品として、ファイの物語として「自己犠牲」は棄却されたので、今はもう死にたがりではない。「東京編」のあの時と違って、今は生かしてもらったことを素直に感謝しているという記号を込めての、今回の「黒様」再びというシチェーション。死にたがりのファイの物語も、(たぶん)ここで決着。

 黒鋼の物語とファイの物語に決着がついたことで、いよいよ物語は扉絵のアオリ通り最終章という雰囲気です。残す世界も、最低限描かれるのは、夢の世界と、クロウ国の遺跡くらいです。特に、夢の世界(今サクラの魂の方がいる所)は侑子さんが手にしている筒の中に対応しているのが描かれており、また、この筒は物語冒頭にサクラと小狼が別たれて入っていた筒と同じモノと思われます。ツバサ公式ガイドブック2内の大川さんインタビューにて、最後には物語冒頭のあのシーンにちゃんと繋がるということが明言されているので、何らかの形で夢の世界が描かれるのは確実です。

 そして、キーパーソンとしては、勿論「夢」という言葉を「終わらせなければ」と語る侑子さん。今回の黒鋼の、

 「知ってても言えない苦しさは、知らない者には分からねぇ」(黒鋼)

 という台詞は、今回は知世姫に言っていましたが、インフィニティ編での侑子さんにかかってるのは確実です。雰囲気として、超越者ポジションの侑子さんでも例えばこの台詞にかかるように本当に救いたい人のために我を通して動いてはいけないという悲しさを背負っていたりと、どこか悲哀の人で、作中ではむしろ誰かに救われるべきポジションのキャラクターであることが最近のお話からは伺えます。現在ヤンマガの方のXXXHOLiCでは、願いを叶える侑子さんにも、侑子さん自身の「願い」があるんじゃないかというのがキーになっており、四月一日ができるなら自分が侑子さんの願いを叶えると宣言した所で連載が休載に入っています。そして、今回のツバサの引きは、いよいよ夢の世界での四月一日と真・小狼の邂逅で、長かった四月一日・小狼伏線の話になりそうです。この四月一日がバックボーンを持たない主観があやふやな存在だったと明らかになる最近の種明かしとか、夢と現実、どっちが真実なのか?みたいなお話は、大げさに言えば存在論とか認識論の範疇に突入してるお話なので、フィロソフィックエンターテイメントの趣もあったツバサ&XXXHOLiC(特に哲学的なのはXXXHOLiCかな)、終盤のお話が非常に楽しみです。

→CLAMPインタビューとか

ツバサCARACTere GuiDE 2―公式ガイドブック (2)

→「東京編」OVA付き限定版

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CLAMP IN WONDERLAND 1&2

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