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『機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)』の視聴ネタバレ感想、第18話「悪意の矛先」の感想です。
1.
(超超天上人)イオリア・シュヘンベルク(リボンズもこの辺りっぽい)
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(超天上人)アレハンドロ・コーナー
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(超天上人)トリニティ組マイスターズ
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(天上人)トレミー組マイスターズ
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(地上人)グラハムとか、他一般のCB以外の勢力
なのか、
2.
(超天上人)アレハンドロVSイオリア・シュヘンベルグ
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(超天上人)トリニティ組 |
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| (天上人)トレミー組
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(地上人)グラハムとか、他一般のCB以外の勢力
なのか、まだ微妙な所。天上人度は、今回は単純に「情報として下の方を俯瞰的に知っているかどうか度」みたいな感じ。
あと、演出上は、図の下の方にいるキャラと、上の方にいるキャラとの接触が描かれた場合、基本下の方にいるキャラは見上げる構図を取り、上の方のキャラは見下ろす構図を取るというのが一貫しています。16話ラストで刹那がネーナのスローネを見上げて手を伸ばして引きだったり、今話の刹那のエクシア、スローネ組に突撃の時の絵も、エクシアは下から昇っていく感じで見下ろすスローネ組に向かっていくなど、演出意図からみた場合の、天上人度のトリニティ組>トレミー組は一貫しています。
図の1の方は、木星探査時にCB本流から分岐したと思われるトリニティ組による現在の武力介入すら、イオリア・シュヘンベルグの掌の上だったパターンで、図の2の方は、イオリア・シュヘンベルグの理想と、アレハンドロ(と思われる)のなんらかのたくらみは五分で、イオリアとしても自分のヴェーダにハッキングされてるのは予想外で、現在超天上部で、トリニティ組のルーツVSトレミー組のルーツがバトルしてるというような状態。トリニティ組のルーツ(今回ラグナと呼ばれてたのもあたり)が、イオリアと五分の力でヴェーダをハッキングしてイオリアの計画を塗り替えにかかっているのか、その一見塗り替えに見える行為さえも、イオリアの大きな目的(紛争根絶以外の本命の方)の前では計算のうちなのか、というのが、図2と図1の違いです。この辺り、前回レイフ・エイフマン教授が気付いたソレスタルビーイングの真の目的というのも、図1だった場合と図2だった場合で、解釈が違ってくる感じ。図1のケースで、超超天上人として全てを把握してるイオリアの目的にまで教授は気付いたのか、図2のケースで、むしろイオリアと対立するトリニティ組のルーツの方の目的に気付いたせいで、教授はトリニティ組に消されちゃったのか、どっちだ?という感じ。
僕的に既情報から推測すると、図2の方が現段階では有力なんですが、個人的にミステリやSF(漫画やアニメというよりは、講談社ノベルズや創元の本とかの方)でよくある、死者が全てのシナリオを書いていたのが最後に明らかになるパターンの図1の方が面白いかもと思っていたり。
◇
それにしても、今回はここまでの18話分のシナリオ構成に仕込まれていた火薬が爆発した技アリの脚本だったと思うんですが、ここまで凝ったシナリオ構成を行ってまで、ある意味エンターテイメントの側面を殺して真面目な世の中へ向けてのメッセンジャー作品としての側面を取ろうという選択をしている作品なんだなと感じました。
視聴者視点にいる、世界のどこかで戦争が起こって、それを根絶しようとするストリーム(CB介入)が起こっていたとしても、どこか自分達の現実とは無関係だと思っていた沙慈&ルイス(沙慈の方は徐々に当事者意識を持つように変遷していく過程が描かれていたけど)が、実際に深刻な形で巻き込まれて、遠い世界のものだったはずの悲劇の現実が目の前の自分のものになった。それは、視聴者のあなたにとっても人ごとではない、みたいなことを表現した回だったと思うんですが、ここで恋人へ指輪を贈るという普通の幸せを象徴する行為が、左手を無くしてしまったルイスという絵でひっくり返るというシーンで爆発させるために、物語冒頭からせっせと刹那を筆頭にソレスタルビーイングを一般人視点(一般視聴者視点)からするとワケが分からない存在として描写し続けていたのがすごい。
例えば、幼少時に戦争、紛争の悲劇を経験済みという刹那も、テロにあっているロックオンというのも、そんなに視聴者に感情移入させるようには描いてこなかったんですが、むしろ、それが今回の18話で爆発させるためのシナリオ構成の意図で、ここまでは視聴者的にも、刹那やロックオンはなんでそんな世界側からみたら非合法で憎まれるようなやり方でまでもって紛争根絶なんて活動をしてるのか分かりづらいし、理解できない、視聴者目線の沙慈としてもそういうことをやっている人間の内面にまでは想像が及ばないという感じで作品がアウトプットされていたんですが(一番は、公園の刹那の妄想のシーンにて直後に沙慈が登場する、当事者と非当事者の意識のギャップを表現した箇所でしょうか)、今回視聴者目線の平和の中にいたルイスに理不尽な悲劇が降り注いで、ようやく過去に刹那やロックオンが経験していた戦争にまつわる悲劇に関して、沙慈としても視聴者としてもある程度「分かる」、こんな経験をしていたのなら、その元凶の何かを憎んで根絶しようとするかもしれないと、そういう気分になれると。ここで、初めてずっと感情移入を拒むように配置されていた刹那に対して、彼にも今回ルイスに起こったような、それを目撃した沙慈のような、そういう何かがあったんだ、と共感できて、ラストのスローネ達に向かって立ち向かっていく刹那の図に感情移入できるという。たぶん、次回ロックオンも合流するのでしょう。そこで、はじめて一般市民を殺すような行為への怒りが、当事者意識を伴って刹那&ロックオンに重ねて視聴者としても爆発できるという。次回は、長い仕込みだったシナリオ構成が爆発するポイントだと思います。
そして、「悪意の矛先」という今回のサブタイが、ネーナがルイス達一般平和人へ対して向けた「悪意の矛先」という意味だけじゃなく、そういう行為を行ったネーナやトリニティ組に対して刹那達やグラハムら地上人組、そして視聴者の「悪意」が集まっていくという意味も付与しての「悪意の矛先」というダブルミーニングのサブタイっぽい所からも、ある意味これは視聴者への皮肉のサブタイで、ルイスエピソードを通して当事者意識を感じたかもしれないけれど、だからといってトリニティ組に対して悪意を収斂させていくだけでは悪意を向け合って紛争を起こしていた連中と同じ。伝わったと思うけど、そうやって今回疑似経験したように「敵」に対する悪意が形成されていくのにも各々の実感が伴った理由があるからこそ、紛争も終わらないんだ。紛争をやってる人達は当事者意識のもとに、悲劇も知ってるし敵のことも本気で憎んでいるんだ……という感じで、シナリオ上構成したのはここでの刹那達への感情移入の爆発だけど、だからといって刹那達に感情移入してトリニティ組をぶっ殺せ!なだけではどうしようもないというメタな視点を感じます。
そういう意味で、メッセンジャーな要素をある程度優先している作品だと感じたという話でした。エンターテイメントに徹するなら、憎まれ役として掘り下げられたトリニティ組に、視聴者的にも感情移入できる自分の正義を掲げて立ち向かっていく刹那(エンタメ優先なら、もうちょっと物語冒頭から感情移入できるように描く)という図だけで十分だったはずなので。
・何度か書いてきた、「死の実感」パラメータ、地上側にいくほど持っていて、天上側にいくほど持ってない感じなんですが、最近かなりの程度地上人な人として掘り下げられていたグラハムは、やっぱり、過去に何か人の死に関わるターニングポイントがあったっぽい。それがきまぐれで人の生命を奪ったトリニティ組とは真っ向から対立するから、今回グラハムは突撃すると。
・刹那、ロックオン、アレルヤは既に十分に「死の実感パラメータ」を持ってるのが描写されていますが、第1クールで天上人最右翼として描かれて過去に死の実感が無いように描かれていたティエリアも、これは演出上の問題で、まだ情報を出してないだけな気もしてきた。唯一生き死にのピンチに陥った、捕獲されかかってナドレをさらした時に「私は……」一人称になっていた点から推測するに、性別に関わる過去の何か、人工生命体(ヴェーダにアクセスできる人は何らかの人工生命体っぽいのは、公式サイトの年齢設定がボカされてる組とでだいたい照合できる。今のところ、ティエリア、トリニティ3兄妹、リボンズ)としての過去の何かに起因して、既に過去に「死の実感」は経験しており、その辺りから今のヴェーダ信仰に繋がっているような。いずれにしろ、そういった「死の実感」から刹那はガンダムに神を、ティエリアはヴェーダに神を見いだして、今、正にふたりの神が陥落寸前ということで、刹那、ティエリアタッグは近々来るでしょ。
・ちなみに今回冒頭で書いた「天上人度」の図、上に行くほど、人工生命体が関わってくるという法則もあります。ヴェーダにアクセスしてティエリアにも読めないレベルの情報を読んでいたっぽいリボンズが一番上のレベルで、次いでトリニティ組、そして、ティエリア。このことから推測するに、イオリア・シュヘンベルグの真の目的というのは、何かしらの「生命」的なものとも想像できます。新しい生命体による、天上(宇宙)からの地上支配(あるいはもっと過激に殲滅)とかだと、過去のガンダムシリーズも想起されて、いかにもガンダムって感じなんですが(何かしら、宇宙種族の方が優良、だから地球は支配されるべき、もっと過激に、地球壊しちゃおうとか言う人がガンダムにはよく出てくる)。
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→前回:第17話「スローネ強襲」の感想へ
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→次回:ガンダムOO考察:フェルトについて
→次回:第19話「絆」の感想へ
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>まれていた火薬が爆発した技アリの脚本だったと思うんですが、
物語の起伏が少ないと思っていただけに今回の話はしてやられたなあという気がします。
ただルイスが左手を失ったことについては正に視聴者の気を引くための「禁じ手」を使ってしまったかという気もします。
300年後の世界なのだから手くらい再生できるのではと思う人が多いわけで親族を失った程度でもよかったと思います。