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 短いコラムですが、マーケティング(一般の人が思い浮かべるよりもだいぶ広義で使ってます)の観点からみると、富野監督のファーストガンダムっていうのはProduct Outな観点から創られていて、福田監督のガンダムSEEDシリーズ、そして今やってる水島監督のガンダムOOなんかはMarket Inの観点から創られている気がするという話をば。
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 Product Outっていうのは、クリエイターの頭の中からプロダクト(製品、まあ作品)がアウトプットされるのがまずありきで、すごいプロダクトがアウトプットされちゃえば、あとは世間の方がそれに付いてくるようなタイプのマーケティングで、高度経済成長期にわりと顕著だったと言われるマーケティング。TVでも洗濯機でも冷蔵庫でもなんでもいいんだけど、制作者が頭の中でこれはイイだろ!と思ったのがきっかけで、それを具現化して世に出しちゃうと、案の定みんな買ってくれた、みたいな。

 こういうマーケティングが可能だったのは、大衆一般に基本的にモノが不足しているという背景があったので、圧倒的に存在感(利便性でも娯楽性でもなんでもいいんで)がある製品(作品)をクリエイターがトップダウン式にアウトプットしてしまえば、大衆一般が付いてきてくれたから……という時代性があったから、だと言われます。

 そう考えると、ファーストガンダムが出てきた時代っていうのは、今に比べれば圧倒的にアニメの本数も少なかったという時代背景は容易に想像できて、そこにProduct Out型マーケティングが有効だったモノ自体が少なかった時代を重ねることはそんなに突拍子もないことではないと思います。

 で、そんな今に比べればモノ(アニメ)が少なかった土壌に、富野監督という人が、圧倒的なアイデアでもってファーストガンダムをアウトプットしてみせたと。正確なソースは忘れてしまったんですが、いつだか何かの新聞に富野監督のインタビュー記事が載っていたんですが、その中で、富野監督は最初にモビルスーツというアイデアを思いついた時、これは絶対行けると思った……みたいなことを仰ってたんですね。まさに、富野監督の頭の中を最初の拠り所の出発点としてProduct Outされたファーストガンダムという作品が、市場の方を引きつけていった形だったんじゃないかと。

 で、一方でMarket Inというのは、クリエイターの頭の中がまず最初というのではなくて、「売れるものは市場に聞け」というコンセプトから出発しているマーケティング。Product Outがクリエイターの頭の中が出発点だとすれば、Market Inは市場の方が出発点なんですね。これは、ある程度モノが飽和してきて、一般大衆が飽和してるモノから自分の好みに合うものを選ぶようになった時代、高度経済成長期よりも後の、価値観が以前よりも随分と多様化してきた時代に有効だったマーケティングだと言われています。価値観Aを共有してそうな集団にリサーチをかけて、その集団Aが欲しているもの(ニーズ)をあらかじめ調べる。あとは、そのリサーチにそったプロダクトをクリエイター側で創れば、成功する確率は非常に高い……といったタイプのマーケティングですね。

 で、そう考えると、これも正確なソースは忘れてしまったんですが、ガンダムSEEDの福田監督は、何かの雑誌のインタビューに答えられていた時に、雑誌やTVのランキングなんかをチェックして、世間でヒットしている要素をリサーチしているみたいなことを仰ってたことがあったんですよね。そういった点から考えると、ガンダムSEEDは福田監督の頭の中を出発点としてアウトプットされた作品が市場の方を引きつけたというよりは、もともと市場にあったニーズを出発点としていて、そのニーズをリサーチして、それを満たす作品を福田監督が創ったという側面が強いのかななんて思ったり。ガンダムSEEDが従来のガンダムシリーズファンに向けて創られたバックエンド作品ではなく、新規顧客獲得を目的に創られたフロントエンド作品だったというのは疑いようのない事実だと僕は思っていますが、そう考えると、一つはよく言われるSEEDが市場を広げたと言われる「女性層」なんかをあらかじめ福田監督はリサーチしていて、そのニーズを汲み取った作品を、Market In型マーケティングで創り上げたと、そういう感じがします。

 で、今やってるガンダムOOもどちらかというと、Market In型マーケティングで創られている印象を僕は受けています。リサーチしている層の一つは、たぶん以前この「ガンダムは誰のために創られているか?」の記事で僕が書いたように、紛争や国際問題に関して、Oblivious(気付いてない)な層や、Apathetic(無関心な)な層、あるいは、Thinking(考えている)に入りかけている層かな。そういう層の視聴者にとっては、おそらく第18話の展開は非常に衝撃的だったと思われるワケで。

 Product Out型マーケティングと、Market In型マーケティングに、分かりやすい優劣はないですし、当然どっちのマーケティングで創られた作品が優れているということも無いです。それを論じ始めると、たぶん話は哲学的な幸福論に突入していきます。だから、このコラムは単純に概念を分類して整理してみるだけの、頭の娯楽です。

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