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 「もし本当にホロがいたら、切ない時もあるのかな?」(ロレンス)

 アニメ版「狼と香辛料」第一幕「狼と一張羅」の感想です。ヤフー動画(こちら)での遅れ視聴となります。ちなみに原作は未読です。
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 三田誠広の「ワセダ大学小説教室シリーズ」っていう、僕が読んだ小説書きの教本の中で唯一ためになったと思ってる文庫本のシリーズの中に、人を惹きつける物語には「構造」と「実存」の両方が存在してお互いを高め合っているという趣旨の記述があって、実際僕もそう思ってるんですが、この作品にはその構造と実存が両方あると思いました。

 構造の方が、フォークロアであり、経済であり、宗教でありといった、そういった物語を支えるわりとアカデミックな骨組。経済の観点からいえば、どうやら貨幣経済が大きく世界全体を覆いはじめた辺りの時代らしく、本来等価交換が不可能であったはずのモノすら、貨幣を媒介に交換が可能になってきたような時代。そういう時代において、物理的な交換が不可能であったはずの「信仰」のようなものはどうなるのか?そんな雰囲気の中、人間達は土着の信仰を捨てはじめて、自分の、人間の力で豊かさを築き始めようとしている時代。そこに、従来の多様であった土着信仰を飲み込んで、一つの神さま、一神教を世界に広めようとしてるらしい「教会」なる組織もあるようで……と、ここまでが作品世界の「構造」の部分。

 で、そんな「構造」の中に投げ出された、ロレンスとホロという、二人の「実存」。ロレンスの方はまだどういった内面でもって今の行商をやっているのか第1話からは読めなかったのですが、ホロの方は、上述したような土着信仰が薄れ始めた時代に存在している土着の神さまとして、何やら複雑な心境を抱えているようです。そんな二人が出会って旅を始めるという、ボーイミーツガールというか、オヤジミーツモノノケな感じではじまる物語。二人を包む構造を反映して、ロレンスもそんなファンタジーな神さま拾っちゃったイェーイ!的にすぐにホロを信じられるわけでもなく(どちらかというと、土着信仰時代−貨幣経済時代の二分でいったら、貨幣経済時代よりの合理性をもってる人って感じなのかな)、かといって、そういった土着信仰やファンタジー要素を一笑に付して捨象できるほどのリアリストにもなりきれてない感じで、一方でホロも自分がファンタジーな存在なのは自覚しながらも、神さまというほどたいしたものではないと自分を同定しているらしく、1話時点でロレンスに自身が抱えてる弱さ(孤独のようなもの)を見せちゃってるんだけど、救済される対象としてのキャラというには随分とバイタルな感じで。そうした二人が築く独特の距離感を演出しながら、旅の幕開け、的に第1話は引きに。

 原作未読ですが、アニメ版からでもだいぶ面白いと思いました。これ、情報見つからないんだけど、ヤフー動画では全話配信してくれるのかな?してくれるのならアニメでポツポツ追いつつ、活字映えするお話という印象を受けたので、原作の方にもアンテナを張り始めたいと思います。

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