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 「よく食ったな」(ロレンス)

 アニメ版「狼と香辛料」第三幕「狼と商才」の感想です。ヤフー動画での遅れ視聴となります。原作は読み始めた所です。
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 第二幕「狼と遠い過去」は、見よう見ようと思ってるうちにヤフー動画での配信が終わってしまったので、感想飛ばします。原作も追い始めてるので、僕が物語全体を追うには支障ない感じです。第二幕は、とりあえずゼーレンからトレニー銀貨の価値が上がるという情報/商談を持ちかけられる部分を知っていればOKかと。で、今回第三幕は、そんな商談を道中で聞いてから、はじめてロレンスとホロで大きい商業の街に入るお話。

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 僕も商売の世界で生きてる人なので、「商才」とサブタイに付いた今回はロレンスとホロの人間関係の方の視点からよりも、本当商人的な視点からの感想です。とりあえず、今回はホロが商売の世界で活躍するお話。

●値段交渉

 これも、リアルで値段交渉をやったことがある人と無い人とで感じ方が変わりそうな部分。やったことがない人にとってはファンタジーな世界での一エンターテイメントとして流す感じだったかもですが、リアルに日々商談やってる人からすると、ロレンスとミローネ商会の人の、駆け引きはしてるんだけど、このくらいまでは暗黙の了解的な馴れ合いもある日本的な商談の風景や、そういった暗黙の掛け合いを、Black Hutな手法でぶち壊して値をつり上げるホロの新興勢力っぷりとかがすごい面白かったです。特にリンゴの香りという価値を商材に付加してからの、小清水亜美さんボイスのホロの口上には惚れます。商売方面でのホロの一番のスキルは、理解力・察知力の鋭さというのもあるけど、一番は人をその気にさせる、もっと強く言ってしまえばコントロールしてしまう広義のコピーライティング力だよなぁ。ミローネ商会のこのオッサンとか、両替商の人とか、コントロールされまくり。

●貨幣=信用

 「お金」の価値とは貨幣そのものに含まれる金銀の価値ではなくて、その物体に宿っている「信用」の価値だとはじめて理解した時は、「言語」というのは表面上の音(シニフィアン)と含意される意味(シニフィエ)に別れているからこそ機能しているというのを理解した時と同じくらい感動したものですが(そもそも、言語の方も「音」にそういう「意味」が宿っているという「信用」をある共同体内で共有しているから成り立っているという点で非常にお金の概念と近く、だからこそ僕は言語学的な原理と経済的な原理は非常に似た法則で立ち回ってると思ってるんですが)、その辺りを福山潤さんボイスのロレンスと小清水亜美さんボイスのホロとの掛け合いで、さらっと説明。これは作中でホロは理解してるけど、中高生くらいの視聴者が理解できたかは微妙。そういう意味では、この作品も本当の専門知識への、導入剤的な要素もある作品。

 他にも、そもそもロレンスが今回行おうとしている貨幣価値の上がり下がりを利用した商売というのが一種の「投資」だし、しかも、そういった「投資」を描くにあたって、ホロがリンゴを欲しがるシーンでさりげなくロレンスに「船舶に投資する話」を語らせて、現実世界でも遡ると最初の株式会社が成立して株が始まったのはコロンブスの頃の船舶への投資においてという、リアル歴史のお勉強シチェーションまで作ってるのがすごい。それだけの作品では勿論ないんですが、非常に優良な経済モノ作品です。

●俯瞰による発想の逆転

 ラストのいきずまったロレンスが、ホロの森の中で狩りをする時は時々木の上に上ると新しい視点が見えてくるという話でトレニー銀貨にまつわるからくりを見破るきっかけを得るのは、いわゆる上空から俯瞰する視点を導入することによる発想の転換。物語冒頭ではAという風景に映っていたシーンが、物語が進んで作品全体の構造を俯瞰して捉えられるようになると、まったく逆のBという風景に裏返って見えるといった、一種の叙述トリック作品を読み解く時に必要となるスキルに通じるものがあります。その叙述トリックによる反転による部分が、A(ゼーレンはロレンスから利益を得る)という小さい視点で映っていた風景が、B(ゼーレンはロレンス以外のものから利益を得る)という俯瞰の視点で映る風景にロレンスの中で裏返るという場面。実際にビジネスをやってるとたびたび経験する思考の流れですが、それを促すホロが、軽くメンターポジションでケモノ耳美少女とかって辺りが、この作品は本当面白いです。僕もファンタジーな萌え美少女に導かれての発想の転換とか経験したいんですが(;´Д`)

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 そんな感じで、俯瞰して見えてきたトレニー銀貨にまつわるからくりは?って所で次回へ。次回が配信される頃には原作1巻をたぶん読了してますー。

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→前回:第一幕「狼と一張羅」の感想へ
→次回:第五幕「狼と痴話喧嘩」の感想へ
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