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 今週の「ダブルアーツ」。ジャンプ雑誌本編のタイムリーネタバレ感想。第2話「ルチル家の人々」のネタバレ感想です。
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 前回の感想で、シンメトリーの絵を作中で何か重要な意味をもたせている漫画だと書きましたが、タイトルロゴや第1話のバトルシーンに続いて、今回のカラー扉絵もキリとエルーの後ろ手繋ぎのシンメトリー構図。

 さらには、今回登場したキリの両親は、母が極端に小さくて、父が極端に大きいという、アンシンメトリーの組み合わせ。こういったシンメトリー−アンシンメトリーの構図が作中で今後どういう風に使われていくのか分かりませんが、何かしら意味を持たせて大事に使っている印象を受けています。今後も注目していきたい所です。

 そして、とにかく王道の構成で、使い古されたクラシックファンタジーの物語の型を、それでも一周回って敢えて踏襲してガチガチのボーイミーツガールファンタジーを届けようという気概をこの「ダブルアーツ」からは感じると前回書きましたが、そういった王道の型にのっとるなら、今話は冒険の前の、家、家族の風景の描写ですね。そして、今話での経験が、おそらくヒロインの精神的な回帰点になるという徹底したスタンダード構成。

 どこが回帰点かって言ったら、やっぱり触るだけでトロイを移してしまうゆえに人々から敬遠されて生き続けてきたエルーが心に背負っていた負担を、キリの、

 「だいたいおかしいでしょそんなの だってこの手はさ…今まで何十人何百人の人間を救ってきた手なんだろ?」

 「まぁでも安心しろよ オレだけはあんたに触れても絶対不幸になんかならない 絶対ならないから」


 の言葉が無効化してしまう場面でしょう。たぶん、ここが、最終回級で回帰点になる、エルー視点からのエルーとキリの物語の原点になるんでしょう。第2話に入れてくる辺りもクラシックです。

 この辺り、第1話からエルーがモノローグで物語を「物語って」いるという構成を取っている本作。おそらく描かれている物語は未来のエルーが「物語って」いる一種の回想だということだと思うんですが、そういった叙述の仕方が効果的に効いてるエルキリの原風景を描いた場面だと思います。

 そして、萌え萌えな感じも油断なく1話、2話とふんだんに入れてる辺りも忘れられない、というか嬉しいポイントです。今回で言うなら、いきなり男の子(しかもヒロインとしてもまんざらでもない)の家のお父さんお母さんに紹介されてしまうというイベントが、同年代の男女読者の自分達のお付き合いを社会的に認めて貰いたいという潜在的な承認欲求を満たす感じで萌えだと思いますし、手繋ぎお風呂イベントとか、手縛り同衾イベントとかも、ストレートに萌え萌えです。

 まあ、広義の言葉になってる「萌え」な中でも、あんまりエロティックな方向じゃなくて、ピュアチックな方向でなんか読んでて心をくすぐられる感じが大変いいんだと思いますが。

 まあ、そうは言ってもエロ同人誌も出ると思うし、それでいいんですが、さっそく「ダブルアーツ 携帯夢小説」とかで先週からこのブログにアクセスがあるデータが出ています。象徴的なキーワードですよね。小学校高学年のおませさんあたりから、中学、高校辺りの多感な時期の読者に、キリかエルーのどちらかに自己投影する感じでキュピーンと萌え心をくすぐる漫画だと思います。

 叙述の視点を女の子(エルー)に置いてる辺りが、女性読者(というか女の子読者?)をかなり念頭に置いてる最近のジャンプという感じですが、すこぶる健全な視点なので、エルー目線から読めるような女性読者は好きだなー。

 大変面白い、というか第二話時点で非常に「好き」だって言える漫画なんで、可能な限り毎週追っていこうと思います。

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