前回第4話の感想記事で書いたように、作中悪のトロイが誰とも触れられなくてやがて透明になって消えてしまう病気ってことだったと思うんですが、今回はそのカウンターとなる作中正義であるだろうキリの能力「フレア」が解説されました。
誰とも触れられなくということで「孤独病」とでも表現できるようなトロイに対してはストレートな解答で、それは人と触れる(繋がる)ことで強くなる力でした。もちろん、作中では肉体的に触れることが現在表面的に描写されてますが、もっと広く精神的にも肉体的にも人と触れ合うこと、繋がること、コミュニケーションを取ることの是を表現してる能力なんでしょう(逆に、トロイはコミュニケーション不全誘発病とも言える)。
また、手を繋いだ二人だけがパワーアップするのではなく、輪になる感じで何人も手を繋いでいけばその分だけかけ算的に力はパワーアップしていくってことで、いわゆるセカイ系な感じでのキミとボクで閉じてしまう世界観も棄却されました。孤独のカウンターとして「キミとボク」が提示されるというのは結構あるので少しだけ懸念してたんですが、そこはそうは言っても作風からあんまり心配していなかったように大丈夫でした。この物語は孤独に対するキリとエルーのキミとボクの物語ではなく、孤独のカウンターとなる「みんな」の物語。つーか、この手繋ぎかけ算パワー設定はスゴイと思った。もう、まだ序盤ですが、ここ数話で描いていたこの作品のテーマ的に、作品の是とする能力はこれしか無いという感じ。それでいて読んでて僕はパっとは思いつかなかったということで、over promise,over deliverされました。作者&制作陣に乾杯。コミュニケーションを断絶して一人で孤独になってないで(キリと出会うまでエルーはこっちにだいぶ踏み込んでた)、皆でコミュニケーション取れよ、連鎖させろよ、それが大きな力になるよ、ってことを言いたいんだろうなぁ。
あと、スイも、誰彼構わず皆に告白、誰彼構わず皆に戦いを挑むって言うのは、一般的な倫理観からはどうだ?って感じなんですが、「独り」あるいは「キミとボク」状態ではなくて、「みんな」と積極的にコミュニケーション取ってるっていう比喩だと思うのね。だから、スイも作中的には肯定されるトロイとは真逆のポジションの、今の所単純な愉快なヤツって感じ。
つーかマジで面白いなぁ。絶対終わって欲しくないので久々にアンケートだそうかしら。
→前回第4話「Beauty&Beast」の感想へ
→次回第6話「体温」の感想へ
→「ダブルアーツ」感想インデックスへ