
劇場で序盤三章を一気観賞した時に興奮して書き殴った感想はこちらにありますが、DVD3巻が届いて「痛覚残留」を改めて視たので、再び軽く感想をば。原作のネタバレありなんで注意です。
やっぱり、山風忍法帳もかくやという、異能者同士が橋の上で対峙して決闘という伝奇モノ王道のクライマックスが激燃えです。青の魔眼と赤の魔眼の色的な対立も映像ならではの魅力でカッコいい。
んで、最燃えは劇場で観た時に書き殴った感想にも書いたけど、梶浦さん楽曲がはじまりつつ、式が藤乃の歪曲能力を能力ごと殺しはじめて、
「生きているのなら、神様だって殺してみせる」(式)
を口にする所。
『空の境界』のキャッチフレーズ。第三章で出てくるんだよなー。そこから緑と赤の螺旋が綺麗のくだりとか、全部クライマックス。伝奇というよりも太田さんが使う言葉でいう「伝綺」のバトルをここまで高みに達したクオリティーで具現化した最初のアニメなんではなかろうか。
ラストの式と幹也の会話もいい。第二章時点ではまったくかみ合ってなかった二人の会話が、少しだけかみ合います。ラストシーンの、
「式の罪は、僕が代わりに背負ってやるよ」(黒桐幹也)
が、式の殺人衝動に関するテーマの終着点にかかる台詞なんだよなぁ。具体的には第七章ですが、ここは分かりやすく第七章の時に回想シーンを入れてもらってもいいくらいのシーンと台詞。でもたぶん回想シーンとしては入れないんだろうなー。そこは、視聴者に読解を求めてきそうな気がする。
殺人嗜好を持つ式と、復讐としての殺人以外にも5人目以降の「殺戮」を犯してしまう藤乃。二人とも殺人と向き合ってるのに、対峙する二人は何が違うのか/違っていたのかというのが、実は後の章的にも重要な第三章。後で式の祖父の話が出てきてからと、ラストの第七章で式(と幹也)が「殺人」に対してつける結末を見てから見かえすとまたなるほどと思うのがこの第三章。藤乃が殺人を犯し続けるのと、式が最後にどうして藤乃を殺さなかったか。全部に意味があるんだなー。
陰惨な殺人描写(映像化されてより視覚的な訴えが増しましたが)に焦点がいきがちでありつつも、実は「殺人考察」の副題が二章と七章にある通り、なんで殺人がダメか、重いかっていうのを全体として掘り下げまくってる作品だと思いますよ。
・鮮花が可愛い
第六章が別の意味で一番楽しみ。
・初回特典「きのことたかしの一問一答」より
武:あれ、その話のネタバレ言っちゃっていいの?
奈:ダ、ダメですか?ダメですよね。では、いつか忘れた頃にぽろっと書くという事で……
武:またオマエは無責任な事を……
ということで、橙子さんと鮮花の出会いと事件を描いたエピソードの存在を示唆。これが夏コミで「竹箒」で頒布の「空の境界」の新作(暫定)なのかな?僕はあるいは、劇中でエピソードだけほのめかされて実際に詳しくは描かれてなかった未来視の静音ちゃんのお話なのかと思ってたんですが。静音ちゃんと式(&幹也)が喫茶店で一時間話したのは「夏」(原作第七章のエピローグ部分より)ということで、今「竹箒」で見ることができる「ひと夏の幻視」というキャッチフレーズにはこっちの方が合うかなと個人的には思ってたんですが。


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