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前回第20話「皇帝失格」の感想&トラックバックセンター記事では、7900PV/WEEK超えのご好評を頂いてありがとうございました。前シリーズでの運営経験を生かして、TBセンター記事は早めに立てておきますので、今回も感想記事を書いたブログ管理人の方はふるってトラックバック頂けたら幸いです。なお、記事中はネタバレが前提となりますことをあらかじめご了承下さい。
<追記:感想アップしました>
◇以下本編感想◇
「お前達は知っているのか? ナナリーの笑顔の意味を!」(ルルーシュ)
燃えて泣いた。
一般視聴者と受け取り方が違うかもしれないけれど、強力なものを受信した。これは、クる人にはクる。
◇
皇帝の目的は第15話「Cの世界」の感想時点で予想していた通り、SF的な装置を使って人類の意志(過去未来も含む)を一つにしてしまって秘匿や嘘の無い「真実」の世界を作ることだった訳ですが(「集合無意識」の一言で説明してますが、心理学の素養が無い人にはキツイ気も)、そこに嘘、仮面(ペルソナ)、偽りにも意味があるという真逆の思想を掲げて今回ルルーシュが立ち向かっていくんですね。
古くは物語として第一期のマオ編辺りから仕込まれていた仕込みです。
マオの読心能力というのが、嘘や秘匿を強制的に暴いてしまうという、弱化版「ラグナレクの接続」的能力だった訳ですが、第一期ではマオのそういった秘匿の強制暴露というあり方は否定されて決着していました。
で、マオの読心能力の大幅パワーアップ版というか、読心どころか人類の心を一つにしてしまってオールタイム強制暴露状態を作り上げてしまおうというのが「ラグナレクの接続」な訳ですが、マオを否定したように、ルルーシュは皇帝のこの思想をも否定します。スザクの秘匿を強制暴露したマオをギアスで倒したように、全ての人類の秘匿を強制暴露しようとする皇帝にギアスで立ち向かいます。そもそもこれまで書いてきた通りアイデンティティがテーマの作品なので、今までネガティブポジティブを問わずアイデンティティを巡る物語を繰り広げてきた登場人物達を代表して、自分と他者を別かつ壁、ペルソナが無い、つまりはアイデンティティの概念そのものが消失した世界を、ルルーシュは否定するのです。
皇帝(とマリアンヌ)の目指す嘘、秘匿、ペルソナが無い、個々のアイデンティティが消失して集合無意識として人類が一つになった自分も他者も無い「真実」の世界
VS
ルルーシュが反逆する、嘘も秘匿もあってみんなペルソナをつけているけれど、個々に分化してアイデンティティがあり、自分がいて、他者もいる世界
という構図な訳ですが、ここでルルーシュが後者の立場で反逆できるバックボーンに、構造的な部分でルルロロ物語があるんですね。
ルルーシュとロロの兄弟、シャルルとV.V.の兄弟が、「兄弟」のキーワードで対比されて描かれていたのは明らかですが、ルルーシュとロロは「偽り」の兄弟だったけど、最後にはシャーリーを殺したロロと、ルルーシュは「嘘」で赦し合った(第20話「裏切り」の感想参照)。
一方でシャルルとV.V.は「真実」の兄弟だったけど、シャルルはマリアンヌを殺したV.V.を「真実」を追求する余り赦せなかった。
というパラメータの違い。
さらにはそのパラメータの違いを生んだ、原因となる女性のあり方の違いですか。
同じ死ぬ、今際の際というシチェーションで、
シャーリーは最後まで彼女が語った「想いの力」、「自由意志」を尊重して、ロロが自分を殺したことをルルーシュには告げずに死んでいった(シャーリーも「嘘」をついていた)。
マリアンヌは居合わせたアーニャの「自由意志」を剥奪する形になる「強制意志」のギアスで生き残り、「嘘」はつかずに、自分を殺したのはV.V.だとシャルルに「真実」を強制暴露した。
ここにきて、このコードギアスという物語の構成上、シャーリーの死には圧倒的な意味があったのだと気付いて全僕が泣いた。
ここで、
「嘘」をつきながら「自由意志」を尊重して(最後にシャーリーはギアスを象徴的な意味で破った)死んでいったシャーリー
VS
「真実」を告げて、「強制意志」(ギアスのことね)で生き残ったマリアンヌ
というパラメータの差異をクライマックスである今話のルルーシュVSシャルルの決定的なバックボーンにするため、そして、そこでルルーシュが勝利する一番の要因になるために、「シャーリーの死」というイベントには圧倒的に意味があった。まさに裏正ヒロイン。
そして、ここまでが構造美的な観点からの燃え&泣きポイントでしたが、ここからパッション&エモーショナルな方向での燃え&泣きポイントがきました。
「俺はゼロ、奇跡を起こす男だ!」(ルルーシュ)
ここで敢えて、三つのルルーシュのアイデンティティ(皇族、学生、反逆者)のうち、仮面(ペルソナ)のアイデンティティである「ゼロ」の名前を高らかに宣言。
嘘も秘匿もペルソナも無い世界が真実という皇帝達に対して、嘘の秘匿の、ペルソナのアイデンティティであるゼロの名前を叫んでルルーシュ反逆。
「真実」の皇帝を倒すのは、「嘘」のアイデンティティを掲げたルルーシュ。何というピカレスクヒーロー。
そして、集合無意識への「刻の流れを止めないでくれ」ギアス。
「刻の流れを止めないで」という詩的な表現になってますが、ようはアイデンティティが消失した無分化の集合無意識に対して、再び分化してくれ、アイデンティティで別かたれてくれという「願い」。
「命令」ではなく「願い」になってるのもポイントですが、自由意志(分化すれば、再びそれぞれが自由意志という名のアイデンティティを持った存在になる)のために強制意志(ギアス)の力を使うというポストモダンへの挑戦的展開がまた熱い。
面倒な話ではあるのですが、「自由意志を尊重する」という命題は、「自分の意志を強制してよい」という意志も一つの「自由意志」なので尊重しなくてはならないのではないか、逆に言えば、「自由意志を尊重する」という命題を「強制」するのは矛盾ではないか?という論理学的に面倒な問題がポストモダンとか言われた時代の思想界隈の命題にあるのですが(超はしょってますが)、一時僕なりに考えた所、「自分の意志を強制してよい」という命題はその命題にその命題自体を他者からの強制で否定されるのを含意するので自己言及的な矛盾になるけれど、「自由意志を尊重する」の方は、その命題自体も他者からの自由意志で尊重されるので否定されないということで、「自由意志を尊重する」という命題は「自分の意志を強制してよい」という命題よりも優位にあると自分なりに至ったことがあります。
宇宙語を聞いてしまった感が漂っているかもしれませんが、とにかく、それくらい「自由意志のために強制意志(ギアス)の力を使う」というシチェーションには深みがアリ、燃えるということです。
そして、「それでも俺は明日が欲しい!」(ルルーシュ)のシャウトと共に、まさかの初の「自由意志のための強制」シチェーションでルルーシュのWギアスが発動。燃え死ぬ(逆に、皇帝とマリアンヌの方が、真実の名のもとで、自分の意志の全世界への「強制」を行おうとしていたのだという形になっている。スザクの「それを押し付けと言うんだ」なんかを参照。なんという自由意志VS強制意志)。
さらにさらに、最後のとどめのエモーショナルな方向での泣きポイントとしての、明かされる、ここで、そこまで自分がいて他者もいる世界の方がいいとルルーシュが皇帝に反逆できるバックボーンが炸裂。
「お前達は知っているのか? ナナリーの笑顔の意味を!」(ルルーシュ)
作中の自由意志尊重の象徴、ナナリー。
盲目で足が不自由なナナリーは、自分だけではできないことを知り、他者の存在に感謝していた。それをルルーシュはずっと見ていた。
なんという兄妹愛。
ルルーシュが要所要所でギアスを使わずに大事な他者の自由意志を尊重できたのは、ナナリーといた時間のおかげだったんだな・゚・(ノД`)・゚・
第7話でルルーシュが幻視した生徒会に象徴されるナナリーが追った「優しい世界」とは、ブリタニア人、日本人、断罪者、免罪者、etc...そういった多様なアイデンティティをひとまとめにしてしまう、他者がいなくて全て自分なんていう皇帝とマリアンヌが目指した世界ではなく、そういった多様なアイデンティティを持つ他者がいても、そこに嘘や秘匿が生まれても、それに感謝できる、「他者がいるから自分を同定できる」という、コードギアスの作中解である「優しい世界」だったんだな……。
ナナリーの名前を絶叫しながら皇帝とマリアンヌを否定するルルーシュの所でもう泣きながら見てた。「偽りのロロ」に意味があっただけじゃない、「真実のナナリー」にも意味があったと、そういうラストだったんじゃないかと。
◇
引きは、一ヶ月後、ルルーシュがブリタニア皇帝になり、スザクがナイトオブゼロで、黒のルルーシュVS白のシュナイゼルという絵でエンディングへ。
正直、今回が最終回でラストのルルーシュが皇帝になって傍らにスザクが……という絵はファイナルエンディングのラスト5分くらいの絵で「その後……」みたいな感じでエンディングテーマと共に流れて終わっても良かったくらいなんですが、コードギアスはここからまだ数話あります。
一体どうなるんだ。
王座に学生服という絵が、やっぱり皇族ルルーシュと学生ルルーシュの統合の象徴という印象を受けるんですが、まだ仮面(反逆者ルルーシュの象徴)が無いということで、OPにあるようなAllルルーシュへはまだ到達していない。その辺りをあと数話のシュナイゼルとの対決で描くのかなぁ。
◇この感想記事はトラックバックセンターの役割も兼ねています。今話の感想(レビュー、考察、etc、関係する記事なら基本的になんでもOKです)をお書きになった方がいらっしゃいましたら、報告義務とかありませんので、気楽にこの記事にトラックバックして頂けたら幸いです。後日僕の方からも返させて頂きます。色んな感想を読みたい人のための一つのインデックスみたくできたら嬉しいと思います。ご協力頂ければ幸いです。
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ルルーシュの涙にはグッときました。
しかしルル自身も多くの人の心を踏みにじって来たのであり、多くの人を殺してきたスザク同様、断罪は免れないものとおもわれます。
二人は目指すもの(世界?)のために共闘をして行くようですが、それが罪滅ぼしになっていくのかな?
話数も残り少なく、俄然眼が離せませんね。