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 「ずいぶんめんどうみがいいんだな 宇宙のWHO」(的場信吉)

 しばらく前に小冊子で新作3本掲載されて以来の、『Papa told me』新作2本が今月号のコーラスに掲載ー。
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 各種短編集、『パンテオン』『ピエタ』、中〜後期『Papa told me』みたいな深層心理に鋭利な刃物でグサリと刺さってくるような作風じゃなく、「街を歩けば」になってからのほんわりと温かい作風が今回も続いております。

 なんらかの現代病(主に精神的な)の患者さん達を、知世ちゃんが間接的に癒していくっていう基本的なパターンは変わらないんだけれど、全体的に余裕というかほわほわしたものが最近の話からは感じられることが多いです。

 メタ読みし過ぎかもしれないけれど、今回のゴールデンやラブラドールレトリーバーの話が、今後の榛野なな恵さんのスタイルなのかも。作中でゴールデンやラブラドールレトリーバーが作中人物達に与えているような癒しの形が、今後の榛野作品が現代の読者に与えていく癒しの形、みたいな。

●#1〜Flower Handle フラワーハンドル〜/感想

 この辺りもまるくなったというか、柔らかくなったと感じる部分なんですが、昔からPapa told me作中では敵、というかネガティブ要素だった、「盲目的な無標の幸せ」が、やんわりと笑い話にまとめられています。

 今回で言うなら、「メディアが作り上げたお母さんと娘がお菓子作りをする幸せな映像」、「それに便乗するカルチャースクールのお菓子教室」あたりが、その手のネガティブ要素にあたるのですが、以前の作品なら、こういった一般的・盲目的な幸せを信仰する人達の無自覚な悪意に、普通には生きられない主要作中人物達が傷つけられたりっていうのを描くのが榛野作品では多かったのですが、今回は以前だったらもっと悪に描いていたようなそれらの「盲目的な無標の幸せ」をやんわりと包んでギャグ調に料理しちゃってます(信吉パパがちょっとそういった盲目性に影響されかけちゃったりする様がコメディ調で描かれている)。

 あとは久々に百合子ちゃんが見られて嬉しかった。同じように、お見合い、結婚、女は家庭、のような「盲目的な無標の幸せ」に基づいた外からの圧力に傷つきながらも、なんとか頑張って自分の生き方で生きてる百合子ちゃんっていうのが昔から好きだったので(しかも、そんな百合子ちゃんの支えに、知世ちゃんが結構大きいウェートを占めているというのがこの作品のなんと言うかグっとくる所)。

●#2〜Angel's Eye エンジェルズアイ〜/感想

 カウンセラー知世ちゃん、久しぶりに登場。宇佐美氏はたぶん患者役最多賞(笑)。

 これもメタ読みし過ぎかもですが、作中で宇佐美氏が腹を立てながら語っていた部分が一種の文芸論になっていて、それはそのまま榛野作品スタンスだよなとも思ったり。

 大きい漫画賞を取るとか、評論家から絶賛されるとか、アニメ化するとか(ドラマ化は一度されたけど)、そういうことは無いけれど、そこにあり、知る人が知り、ちょっぴり元気を分けて貰っている作品。それが榛野なな恵作品。

 あと、個人的に、知世ちゃんの語りを通して、飛躍(インフレーション)の文法が取り入れられているのがこの一話は面白かった。みんなのささやかな癒しは、ゴールデンやラブラドールレトリーバーのおかげです、マル……で一話として綺麗にまとめてもいい所を、そこからインフレーションさせて、知世ちゃんのラブラドールレトリーバーは実はエイリアンだったんだよ、な、なんだってー説が展開。この辺りは普通にギャグとして面白かった。

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 2月号にも「Papa told me」とは言明してないけれど、榛野なな恵さんの作品が載るとの予告が。買いますー。

Papa told me~街を歩けば (クイーンズコミックス)
Papa told me~街を歩けば (クイーンズコミックス)

榛野なな恵『パンテオン』3、4巻/クイーンズコミックス/書評
榛野なな恵『榛野なな恵作品集 卒業式』/感想/クイーンズコミック