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コードギアス 反逆のルルーシュR2 に参加中!
 色々な「伝え方」の技法について考えるのが結構好きなんですが、今日は表エンディングの他に裏エンディングを用意する技法について簡単に考えてみたことを。
 記事中には、『コードギアス反逆のルルーシュ(&R2)』と『ひぐらしのなく頃に(&解)』について、結末までを含むコアなネタバレが含まれていますので、未視聴、未読の方はご注意下さい。
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 コードギアスについて、うちのブログに掲載したルルーシュ生存説・まとめは方々で反応を頂きましたが、R2最終回の感想に書いた通り、僕はこれは「裏」エンディングという言葉で呼んで、文字通り「裏」と位置付けました。

 「裏」の定義は今から作る感じですが、明示的な結末とは違う結末が、意欲的なユーザーが頑張れば作中に情報として組上がるように仕込まれていて、それとラストシーンをつなぎ合わせることで、入れる人だけが入れる、見れる人だけが見られるエンディング、といった所でしょうか。

 このルルーシュ生存エンディングに気付かされた時、僕は『ひぐらしのなく頃に』の裏エンディングなんかも思い出していて、両方とも共通しているのは、明示的に描かれた表エンディングとは、裏エンディングはメッセージが逆になるという点な気がします。

 コードギアスなら、分かりやすい所で作中にあった「贖罪」のテーマの解答が、表エンディングでは「死」、裏エンディングでは「生きること」と、まったく逆になってしまいます。

 『ひぐらしのなく頃に』も実はそうで、表エンディングでは、世界はいくつもあるんだからとどこかに甘えがあった梨花ちゃん&羽入が、皆殺し編〜祭囃し編でこの世界で勝ちに行くと覚悟を決めて、最後に「祭囃し編」の世界で昭和58の6月を抜けるのがラストで、要するに「世界も人生も本来一度きりなんだから真剣に生きよう」っていうのがメッセージでした(このメッセージはファンディスク『ひぐらしのなく頃に礼』収録の「賽殺し編」でさらに補強されます)。

 なんですが、ひぐらしには、ある方法で入れる裏エンディングが原作ゲームにはあって(方法は検索してみてください)、そっちでは、幼三四が、全ての引き金になる列車事故の前に、謎の女性に出会って「生きたい?死にたい?」と問いかけられた後、悲劇を経験せずに生き延びるというエンディングなのです。

 で、この謎の女性が誰なのか?って言う部分が、ちょうど、コードギアスのラストシーンのC.C.の台詞は誰に言っているのか?第一期第一話冒頭の謎の心音は誰のモノなのか?に対応する描写で、まさに裏エンディング的です。

 結論から僕の解釈を言えば、この謎の女性は大人になった梨花ちゃんなんですが(アニメ版「解」のラストが、ビジュアルまで出しちゃってて一番分かりやすいです)、要するに、裏エンディングの方では、大人になった梨花ちゃんが、悲劇の大本になった三四の幼少時代の経験に関して、ジジ抜き的世界(この辺りを参照)の実現のために干渉してるんですね。つまり、表エンディングでは「世界は一つだから一生懸命生きよう」だったのに対して、裏エンディングでは「色んな世界があってもいい」って言ってるんですね(表エンディングではFrederica Bernkastelであることをやめた梨花ちゃんが、裏エンディングでは再びFrederica Bernkastel的なことをやっている)。この点は、原作裏エンディングではこのショートストーリーの後に、作者の竜騎士07氏本人が出てきて、こんな世界があってもいいじゃんと言いきっています(そしてそのまま、自分が作ったひぐらし世界をユーザーに解放するかのような宣言が入る)。

 こういった、コードギアス、ひぐらしのなく頃になどに見られる、表エンディングを綺麗に描きながら、コアなユーザーには情報を組み立てれば見ることができる、逆のメッセージの裏エンディングを用意しておく、という技法。

 なんでこんなことするのかって話ですが、まあなんとなくこういう作品は深みが出るなというのは直感的に分かるんですが、おそらく送り手の意図としては、最終的なメッセージの選択はユーザーに任せたい、というのと、ユーザーの能動性を促したいって部分があるんじゃないかな、と。コードギアスもひぐらしも、相当能動的に視聴/プレイした人しか、裏エンディングには辿り着けないですからね(笑)

 散りばめられたピースから裏のエンディングを組み立てる素地をユーザー向けに作品に入れておいてユーザーの能動性を促しつつ、表と裏のどっちが正しいということなく、最終的な判断はユーザーにまかせる。なんというか、正解は一つだから答えを教えてもらえばそれでいいという時代から、価値観が多様化して、個人個人で判断して各々の正解を作りださなければならない時代に移行してきた、広い意味でそんな時代に対応して出てきた技法なのかな、と思いました。

・じゃあ宗教とかイデオロギーとかで、強力に価値観をまとめようとしていた文脈にあった物語にはこういった技法は存在しないのか?とかは、要研究です。

MUTUALITY:CLAMP works in CODE GEASS
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