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神無月の巫女 (1) (角川コミックス・エース)  たとえ空に 神無月が輝こうとも――

 漫画版『神無月の巫女』のネタバレ感想です。
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 実はすげー壮大なお話でした。漫画版とアニメ版両方チェックしてようやく世界観を把握しましたよ。

 「輪廻」を題材にしながら、手塚治虫の『火の鳥』みたいなかなり壮大な物語が実はありました。よく言えばテンポが良すぎ、悪く言えば描写不足で、そうやって作られている世界観全部を咀嚼するためのハードルは中々高くなってしまっているんですが(ただ手塚作品とかも今読み返すとこのくらいのテンポで書かれている気がする)、アニメ版と漫画版を丁寧に読み込んでいくと、かなり重厚な「輪廻」ネタが体験できるようになっています。姫子と千歌音の、前世−現世−来世の関係がこの漫画版読み込んでようやく理解できましたよ。

 で、基本的には王道からわざと少し外したネタで料理して決着させています。

 王道が世界を救うヒーロー(=大神くん)の活躍、あるいは自らを犠牲にして世界を救う巫女、なんて題材だったとしたら、この作品は世界を救うヒーローよりも、世界そのものよりも、女の子同士のLOVEを取っちゃうというエンディングでフィナーレを迎えます。もう、大神くんを犠牲にし、途中まで普通に「犠牲となって世界を救う巫女」のテイストでミッションを遂行しようとしていた千歌音ちゃんのプランとかが、ラストで姫子×千歌音相思相愛LOVEの前に覆される展開はかなり凄い。世界、滅んでるし

 相手の女の子>世界

 で決着しちゃってるから、もうしょうがないよなー。それでも、輪廻しながら世界を救って相手を失うというのを繰り返してきた姫子−千歌音が、最終的に世界よりも千歌音ちゃんな感じで、この世界ではラストに月の社に姫子が飛び込んでくるって言う絵には感動してしまった。輪廻のさだめの設定上一緒にはなれない、というか女の子同士だから一緒にはなれないという二重の決定的な障害があるんですが、全部「だって好きだから」のLOVEで突破して二人で抱き合っちゃうエンディングは、デスティニーブレイカーもの的な方向でのカタルシスがありました。

 あと、アニメ版と漫画版で、主題上はそんなに違わないけど、エンディングが異なります。

 アニメ版は、ラストに千歌音ちゃんが月の社に入って世界を再生、再生された世界に千歌音ちゃんはいないけど、ラストシーンで姫子は生まれ変わった千歌音ちゃんを見つける……だったのに対して、漫画版は、千歌音ちゃんと姫子は、二人とも月の社に入ってしまう、再生された世界には二人ともいないけど、やがて、今度は双子として姫子と千歌音は再生された世界に生を受ける……という風になっています。

 どっちも、LOVEパワーが運命を超えて、輪廻後に救いをもたらしたエンディングですね。

 漫画版のラストの方が好きかな。

 姫子を生かすために月の社に入った千歌音、断絶するように社の扉が閉まる……というアニメ版にあった印象的なシーンで、今回も千歌音と姫子は一旦悠久の別れを経験するんだなと思ってページをめくると、

 えへへ、来ちゃった……

 と、姫子も社に入ってた!しかもキスシーン!というのが、アニメ版も視聴済みだとより感動的。輪廻後までなんて待てない!って感じで、こっちの方が姫子のリアルな気持ちがそのまま行動にも結びついている感じ。

 堪能しました。輪廻後のイチャイチャ同人誌とか読みたい。ハマるのが4年ほど遅かった。

神無月の巫女 (1) (角川コミックス・エース)
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神無月の巫女 (2) (カドカワコミックスAエース)
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