![劇場版 「空の境界」 矛盾螺旋【通常版】 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51Rwvgm-xVL._SL160_.jpg)
それは、たった１秒で超える、永遠（劇場版空の境界第五章主題歌「sprinter」より）もうすぐDVDも発売という頃合いですが、8月の公開初日に東京で観た『劇場版空の境界』第五章「矛盾螺旋」の感想をば。
劇場版、原作小説、双方のネタバレを含むので、その点は注意です。
◇
第五章「矛盾螺旋」は、荒耶宗蓮の「螺旋」VS臙条巴の「直線」（式や橙子さんもこっちサイド）の決戦編というお話なんですが、それがギュウギュウに詰め込まれていました。
映像的にも、荒耶サイドの思想が色濃く出てる時は螺旋に関する映像や、螺旋的なカメラワークが使われてましたし（巴くんが抜け出せない錯覚に陥ってるシーンとか）、巴サイドの思想が出る時は、直線に関する映像や、真っ直ぐなカメラワークが使われていました（最初の巴くんが走ってるシーンとか）。
で、さらに、ホンモノVSニセモノ、理想の人間VS等身大の人間、みたいなテーゼが、それぞれ荒耶サイドと巴サイドにかかってくるんですね。
荒耶宗蓮−臙条巴
螺旋−直線
ホンモノ−ニセモノ
理想の人間−等身大の人間
みたいな対立構図。
ホンモノとニセモノの部分は、全編を通してメインで描かれていた巴くんは、実は作り物のニセモノだったというメイントリックの部分や、中盤の橙子さん参戦における、殺される前の橙子さんと、人形の躰化して再び現れた橙子さんと、どっちがホンモノか？という部分。
理想の人間と等身大の人間という部分は、自分の頭の中にある理想の人間像を追うあまり現実の人間に絶望して「根源」に取り憑かれた荒耶に対して、至らない人間のありのままを認めるという境地に達してる橙子さんとの思想戦の部分（文庫版の原作小説「下巻」で笠井潔さんが「解説」で尺を取って語っている部分ですね）。
「螺旋」はDNAの塩基配列を連想させますので、アカシックレコード的というか、宇宙の真理的というか、永遠というか、奈須きのこ作品の「根源」という概念を求めている荒耶にピッタリときますし、それに対する巴くんの「直線」は、そんな大仰な所とは無縁の等身大の人間という荒耶のカウンターの象徴としてピタリときます。
そして、第五章のキモは、そんなアカシックレコード的で、ホンモノで、理想で、永遠で、宇宙の真理とでも言えるような荒耶宗蓮を打ち破ったのは、両儀式ではなく、ニセモノで、等身大で、荒耶曰く取るに足らない人間だった巴くんが稼いだ「一瞬」だった、という部分。
ファイナルクライマックス。ニセモノで、取るに足らない存在とされた巴くんは、式と結んだ関係性だけを拠り所にラスボス荒耶宗蓮に立ち向かいますが、一瞬で葬り去られます。
しかし、「一瞬」だけは稼いだ。
ニセモノでもホンモノだ、荒耶の頭の中だけの「理想の」人間などよりも、「現実の」取るに足らない人間で世界はできている。橙子さんの思想が後押しする中、巴くんが稼いだ一瞬で、式が目を覚まします。
そして、荒耶が支配する螺旋建築を直線運動で上下するエレベータで、sprinter（直線を走る人）だった巴くんが、式に託そうとした日本刀（直線）が、式のもとに届けられます。
そこで日本刀を手にした式が荒耶に対峙して言う一言、
「お前を破滅させたのは臙条だ」（両儀式）
螺旋を突破した巴くんには、ニセモノでも、永遠に比べれば一瞬でも、意味があった、という。
まさに、
それは、たった１秒で超える、永遠（劇場版空の境界第五章主題歌「sprinter」より）
そこからはじまる、覚醒した第三の両儀式と、ラスボス荒耶宗蓮とのラストバトル。劇場版空の境界の主旋律となった梶浦さん楽曲のクライマックスVerに、超絶のバトル映像。
おまけに、劇場版は原作よりもバトルが派手になってるのがポイントですが、第一章の巫条ビルジャンプ、第三章のブロードブリッジ崩壊、第四章の三階越えから飛び降りに次いで、第五章では、螺旋建築からダイブして荒耶とバトル。螺旋建築を崩壊させながら荒耶をぶった斬ります。荒耶の象徴の螺旋建築をぶち壊しながら、巴くんが託した日本刀（直線）で式が荒耶をぶった斬るというこの上ない絵だったんですが、豪快すぎて、す、すごい……というかや、やばい……と、しばらく放心状態でした。
という感じで、他にも語っても語りきれない様々がこの第五章「矛盾螺旋」にはあるのですが（「矛盾」って？とか）、とりあえずこの辺りで。本当、とりあえず観てくれ、としかいいようがない。一生ものの作品です。
→DVD
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劇場版 「空の境界」 矛盾螺旋 【完全生産限定版】 [DVD]
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→全七章主題歌収録＋αのアルバム
Seventh Heaven(期間生産限定盤)(DVD付)
Seventh Heaven
→前回：第四章「伽藍の堂」の感想へ
→次回：第六章「忘却録音」の感想へ
→原作小説『空の境界』の感想インデックスへ
→劇場版『空の境界』の感想インデックスへ
第五章「矛盾螺旋」は、荒耶宗蓮の「螺旋」VS臙条巴の「直線」（式や橙子さんもこっちサイド）の決戦編というお話なんですが、それがギュウギュウに詰め込まれていました。
映像的にも、荒耶サイドの思想が色濃く出てる時は螺旋に関する映像や、螺旋的なカメラワークが使われてましたし（巴くんが抜け出せない錯覚に陥ってるシーンとか）、巴サイドの思想が出る時は、直線に関する映像や、真っ直ぐなカメラワークが使われていました（最初の巴くんが走ってるシーンとか）。
で、さらに、ホンモノVSニセモノ、理想の人間VS等身大の人間、みたいなテーゼが、それぞれ荒耶サイドと巴サイドにかかってくるんですね。
荒耶宗蓮−臙条巴
螺旋−直線
ホンモノ−ニセモノ
理想の人間−等身大の人間
みたいな対立構図。
ホンモノとニセモノの部分は、全編を通してメインで描かれていた巴くんは、実は作り物のニセモノだったというメイントリックの部分や、中盤の橙子さん参戦における、殺される前の橙子さんと、人形の躰化して再び現れた橙子さんと、どっちがホンモノか？という部分。
理想の人間と等身大の人間という部分は、自分の頭の中にある理想の人間像を追うあまり現実の人間に絶望して「根源」に取り憑かれた荒耶に対して、至らない人間のありのままを認めるという境地に達してる橙子さんとの思想戦の部分（文庫版の原作小説「下巻」で笠井潔さんが「解説」で尺を取って語っている部分ですね）。
「螺旋」はDNAの塩基配列を連想させますので、アカシックレコード的というか、宇宙の真理的というか、永遠というか、奈須きのこ作品の「根源」という概念を求めている荒耶にピッタリときますし、それに対する巴くんの「直線」は、そんな大仰な所とは無縁の等身大の人間という荒耶のカウンターの象徴としてピタリときます。
そして、第五章のキモは、そんなアカシックレコード的で、ホンモノで、理想で、永遠で、宇宙の真理とでも言えるような荒耶宗蓮を打ち破ったのは、両儀式ではなく、ニセモノで、等身大で、荒耶曰く取るに足らない人間だった巴くんが稼いだ「一瞬」だった、という部分。
ファイナルクライマックス。ニセモノで、取るに足らない存在とされた巴くんは、式と結んだ関係性だけを拠り所にラスボス荒耶宗蓮に立ち向かいますが、一瞬で葬り去られます。
しかし、「一瞬」だけは稼いだ。
ニセモノでもホンモノだ、荒耶の頭の中だけの「理想の」人間などよりも、「現実の」取るに足らない人間で世界はできている。橙子さんの思想が後押しする中、巴くんが稼いだ一瞬で、式が目を覚まします。
そして、荒耶が支配する螺旋建築を直線運動で上下するエレベータで、sprinter（直線を走る人）だった巴くんが、式に託そうとした日本刀（直線）が、式のもとに届けられます。
そこで日本刀を手にした式が荒耶に対峙して言う一言、
「お前を破滅させたのは臙条だ」（両儀式）
螺旋を突破した巴くんには、ニセモノでも、永遠に比べれば一瞬でも、意味があった、という。
まさに、
それは、たった１秒で超える、永遠（劇場版空の境界第五章主題歌「sprinter」より）
そこからはじまる、覚醒した第三の両儀式と、ラスボス荒耶宗蓮とのラストバトル。劇場版空の境界の主旋律となった梶浦さん楽曲のクライマックスVerに、超絶のバトル映像。
おまけに、劇場版は原作よりもバトルが派手になってるのがポイントですが、第一章の巫条ビルジャンプ、第三章のブロードブリッジ崩壊、第四章の三階越えから飛び降りに次いで、第五章では、螺旋建築からダイブして荒耶とバトル。螺旋建築を崩壊させながら荒耶をぶった斬ります。荒耶の象徴の螺旋建築をぶち壊しながら、巴くんが託した日本刀（直線）で式が荒耶をぶった斬るというこの上ない絵だったんですが、豪快すぎて、す、すごい……というかや、やばい……と、しばらく放心状態でした。
という感じで、他にも語っても語りきれない様々がこの第五章「矛盾螺旋」にはあるのですが（「矛盾」って？とか）、とりあえずこの辺りで。本当、とりあえず観てくれ、としかいいようがない。一生ものの作品です。
→DVD
劇場版 「空の境界」 矛盾螺旋 【完全生産限定版】 [DVD]
劇場版 「空の境界」 矛盾螺旋【通常版】 [DVD]
→全七章主題歌収録＋αのアルバム
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Seventh Heaven
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