
やっぱり、
「既存のランキング(順位)で上位を目指すのを是とするか?VSそういうの関係なく好きなことを描く(する)か?」
っていう対立軸が作中には重要な要素として盛り込まれていて、今までは、新妻エイジが「そういうの関係なく好きなこと描く」側の代表(アンケートって何ですか発言/勝手にクロウを描いちゃう、など)、サイコーは「ランキングで上位目指す」側の代表(1位を狙える王道に変更/ランキングに貪欲、など)、シュージンはその中間で揺れてるって感じだったのですが、
図:1
好きなことする−新妻エイジ
中間−シュージン
ランキング上位を目指す−サイコー
ここ数話のサイコー、新妻エイジのアシスタントに行くの巻のストーリーを受けて、この構図のシャッフルが始まっていて、新妻エイジが、サイコー(と福田さん)の影響を受けて、「好きなことを描く」から「ランキング上位を目指す」の側にだいぶ移動してきたというのがあります。好き勝手にいきなり本番を描くという自分の行為を反省して、打ち合わせ、ネーム、といった、これまでの自分の本然には無かったものを、ランキングで1位を目指すために受け入れはじめているという描写が顕著です。
で、一方でシュージンは本然の邪道漫画路線を変更されてから、やっぱり王道で伸び悩んでるのね。
そして、前に書いたように、作中でアンチランキング、好きなことやる側の最右翼である見吉(「結局世の中何しても順位なんだ 嫌になっちゃうね」発言など)というキャラとの距離を、シュージンは縮めはじめているという展開。
見吉がケータイ小説を書き始めたのも、既存のランキングでは評価されなくても好きなことを書けるメディアの代表としてケータイ小説作家という属性を付加された感じでしょう(で、シュージンもそれに乗り気でアドバイスしちゃったりしてる。シュージンの本然はやっぱりランキング主義のサイコーとはちょっとズレているという描写)。
という訳で、現在は図1から、次の図2のような感じに変遷してきてる過渡期な感じです。
図:2
好きなことをする−シュージン(見吉)
ランキング上位を目指す−サイコー・(新妻エイジ)
で、この二つは作中の対立要素ですので、シュージンとサイコーが現在別のサイドにいるように、仲違いフラグまで張られている(少しシュージンを誤解してるサイコーや、福田さんの一人でも描けるんじゃないか、二人でやるのは難しいって聞くよ発言など)。
さらに、どちらかというと、今話までのサイコーアシスタント編では、ランキング上位を目指す者達の矜持が描かれていて、サイコーサイド優勢って感じですよね。順位が嫌だなんて言ってケータイ小説をはじめた見吉や、順位上位志向の王道話が作れなくて漫画から離れて見吉との距離を縮めているシュージンらが、マイナス要素にすら見えるくらい。
けれど、もう一つ、「現実経験から糧を得て漫画に生かす」属性が作中が付与されているシュージンが、見吉との現実の恋愛経験を得てパワーアップして帰ってくるのはかなりの程度予見できる訳で、僕は「好きなことをする」サイドの逆襲ももうすぐ始まるのではないかと予想してみたりします。
最終的には、それこそベタに、この対立する二つの要素は止揚する形に落とすのだと思うのですが、どんな感じになるのか今からワクワクしているのでした。

バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)
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