基本的には、人間が種として根本的に持っている欲求を満たすのがエンターテイメントだと考えます。
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 より、根本的なもの(動物的なものと言ってもいいかも)として、食欲・性欲・睡眠欲。もうちょっと高次の人間的なものとして、歌う・踊る・笑うあたり。もういっちょ高次なものとして、探求する。とかですかね。

 もう一つのキャッチーなエンタメである勝負事(バトル・スポーツ・ギャンブルなど)は、元を探っていくと性欲に根ざしてる気もするので(異性を勝ち取るためというのが闘争の源泉っぽい)、一段階目に位置付けられる感じでしょうか。

 「歌う」を満たすのがカラオケ産業で、「食欲」を満たすのがグルメ産業とか、広くも語れるのですが、とりあえずこと漫画・アニメといったエンタメに限定しても、上述の要素を満たすものが「面白い」の最低条件のように思えます。その作品から、上述のような根源的な欲求を満たす感覚が(擬似的にでも)味わえるかどうかがポイント。

 最近の作品だけを見渡しても、『トリコ』:食欲、「恋愛」が絡むあらゆる作品(直球のエロが売りの作品ももちろんここ):性欲、『けいおん!』:歌う、『フレッシュプリキュア!』:踊る、あらゆるギャグ作品:笑う、ちょっと哲学的な作品:探求する(奈須きのこ作品なんかは、「世界」や「人間」を探求する快感に満ちていて、この辺りに入りそう。いや、エロも入ってるけど;)

 「睡眠欲」を(擬似的にでも)味わえる、満たせる作品っていうのだけパっと思いつかないんですが、なんだろう、読んでて眠くなる漫画とかは、ある意味、一つの睡眠欲を満たしているのでしょうか(笑)

 だいたい、世間的に「ヒット」と言われる状態にまで至った作品には、上述の欲求要素を満たす要因が、複合的に盛り込まれているように思います(何でもいいんですが、例えば『Fate/stay night』には、食欲、性欲、笑う、闘争、探求、全部ありますよね)。

 そう思うと、僕は行ったことがなくて他所様の記事から伝わってくる部分で感じた話ではありますが、きらりさんのライヴなんていうのは全てが入った最上最強のエンターテイメントなんだろうな、と。

 ライブ会場で歌い、踊り、笑い、まあぶっちゃけアイドルコンサートですので性欲的な要素もあるでしょう。そして、踊り疲れて帰りに美味しいものを食べて、家に帰ってぐっすり眠れば、パーフェクトですよ。「探求する」も、イベントの背後には『きらりん☆レボリューション』という『物語』を感じながら参加してる訳なので、実は味わえているでしょう(きらレボはきらりさんの探求の物語でもあるのだ!)。

 「欲求を満たす」と言うと直球感がありますが、人が望んでいることを叶える、願いを叶える。願っていることを満たしてあげることで、豊かになってもらう、といったように捉えると、やはりきらりさんは神だし、世のエンターテイメント提供者、もっと広げて良質なサービス提供者っていうのは、無条件で尊敬の対象で、人間かくあるべしって感じだよな……と個人的には思うのでした。

 相手が望むことをしてあげて、それが自分も嬉しいっていうのが、やっぱり豊かな人間関係の原点だよね。エンターテイメント産業やビジネスは、それがちょっと大規模になってたりシステマティックになってたりしつつ、媒介としてお金に基礎を置く経済活動が挟まっているだけ。根本を忘れないようにしたいと、自戒も込めて。

きらりん☆レボリューション STAGE 1 [DVD]
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