ザ・ビッグイシュー表紙  『ガンダムSEED』のシリーズ構成、脚本の両澤千晶さんのインタビュー目当てで、「ザ・ビッグイシュー」という雑誌をゲットしてきました。詳しくは公式サイトを参照ですが、ホームレスの方が路上で売るという形で流通している雑誌なので、引きこもり介護生活者には入手ハードルがエラく高かったです。
 まあ、なんとかゲットしてきましたけどね!
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●両澤さんのインタビュー

 1ページの短いものですが、前にアニメージュかアニメディアに載ったもの以来だったと思うので、嬉しい。

 内容は母親が子どもにする寝物語の話から、SEEDはやっぱり子ども達に見せるのを一番念頭においた話だったというお話などが書いてありました。

 前のアニメ誌に載ったインタビューでの、SEEDでは戦争の原因として、経済や宗教といったものを持ってくるのは意図的に避けたというお話も含めて考えると、子ども目線の物語ということに関して、じわじわときます。

 経済や宗教を前面に出されたら、子どもはやっぱりピンとこないですからね。その辺り、SEEDは序盤の「同じだと思っていたのに、何故か今解り合えない、なんでだろう?(キラとアスランね)」とか、第一クール〜第二クール序盤のアークエンジェル内でのフレイ絡みの子ども組の話(キラがサイの腕捻るとか、差別をあぶり出していたあたり)なんかは、子どもでもエモーショナルな部分で、何かしらピンとくるものがある。で、そういった描写が、終盤ではそのままマクロな戦争の動機にも写像されていくというスタイルの物語でした。

 僕としてはもう語るまでもないという感じなんですが、SEEDは現実世界の戦争を描いてないとかの批判は、作り手のスタンスも踏まえるとどこか明後日に向かってるんだよなー。子ども向けにデフォルメした絵を描いている人に対して、写実的じゃないと批判しているようなムズムズ感を感じてしまう。それでいてデフォルメ絵の向こうに、受け取り側の眼鏡次第でちゃんとした深みも感じられるように設計されているのがSEEDの凄さなんですが、これが伝わらない人には伝わらないんだよなー。放映当時はWEB上ではこの話を何回もして、伝わらない人には、世の中にはチューブにつまった原色しかないと思っている人に、色と色を混ぜたり薄めたりして違う色を作ることができるということを説明するのが難しいのと似たような「伝わらなさ」をよく感じてたなー。

 またSEEDはWEB上の言説の乱れっぷりも、情報リテラシーを真面目に考えさせられます。未だに人気がなくなってSEED映画は中止になったとかいう話を信じてる人とかたまに見かけるからなー。SEED_Club_Mobileの福田監督の一次情報とか参照にしてれば絶対出てこないのに。この辺りは、一次情報に当たらないから無茶苦茶なことを言うというよりは、無茶苦茶なことを言うような人ほど、一次情報にあたるというリテラシーがないという側面があるので、難しいのですが。本当、情報リテラシーの充足って難しいよなー。

 SEED_Club_Mobile関係では、福田監督がコラムで、病気や入院といった代える要素はあっても、結局脚本を両澤さんから代えなかったのがSEEDがヒットした要因だと書いていたのを思い出したな。僕もそう思います。大変でも、子育てと両立しながらプレッシャーがかかる一線作品を書ききったという希有さは、本当凄いんじゃないかと。「子ども目線」という視点から、本当に実の子の子育てと両立しながら、常に本当の意味で子どもの視点に近い所にいながら1年もののガンダム級ビッグタイトルを書ききった人ってなかなかいないのではないかな(両澤さんのインタビューには子どもの話と、子どもが考えていることの話がよく出てくる)。そして、その目線、その両立がなければ、SEEDはあそこまでヒットしなかったと僕も思います。子ども目線でエモーショナルな部分に訴えかけるものを書いたというのが、結局は昔子どもだった大人にもエモーショナルな部分でピクリとさせたのだろうと。エモーショナルゆえに、視聴者の反応も肯否を問わず、揺り動かされたものが多かったのだろうと。

 SEEDの大ヒットの要因を一つだけあげろと言われたら、僕は「両澤さんの脚本だ」と間違いなく答えますねー。

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●「ザ・ビッグイシュー」を手に入れるまで

 話変わって本当にどうでもいい、僕の冒険譚なんですが、上述のように、この「ザ・ビッグイシュー」という雑誌、入手が難しかったです。

 「路上にいるホームレスの人を見つけて買う」とか、「クリック一つでAmazonでポチリと買う」の真逆ですよ。ふだんAmazon側の人間の僕としては、非常にチャレンジ的なミッションでした。

 しかも、介護の関係で僕だけタイムリミットがあるのですよ。「母がデイに行っている火曜日の7時間以内に、売ってるホームレスの方を見つけて買う」。これが、今回僕に課せられたミッションでした。

 まずはホームページ上の仙台での販売場所記述を参考に、「サンモール一番町マクドナルド付近」という記述頼りに向かいました。「付近」という書き方が痺れますね。「付近」にいるから探してくれよ、と。

 で、9時に母親をデイに送り出してから、諸準備して、地下鉄乗って、だいたい10時くらいにはマクドナルド前まで来ていたんですよ。

 しかし、

 いない_| ̄|○

 朝早すぎたのか?

 というか、そもそもホームレスの人の活動時間という概念が、僕には把握できていない。

 マクドナルドはあるんですよ。マクドナルドを見つけるのは簡単なんです。しかし、マクドナルドではなくて、「マクドナルド付近」ですからね。いきなり難易度アップですよ。

 しょうがないんで、とぼとぼともう一カ所のホームページ掲載の販売場所に向かうべく、歩きました。駅近辺を歩くのもエラく久しぶりです。

 そして、とらのあな仙台店にもよりました『こばと。』アニメのティザーチラシはそこでゲットしてきたものです。

 そして、昨日アニメ1話を見てしまった勢いで、『咲-Saki-』1〜5巻も買いました。

『咲-Saki-』買っちゃった

 わーい、咲和、咲のど!

 この辺りで気づきました。

 違うだろと

 今日は「ザ・ビッグイシュー」を手に入れるためにホームレスの人を探すのが目的であって、美少女雀士漫画を買って喜んでいてどうする、と。

 そして、心入れ替えて、ホームページの第二の販売場所と記載されていた、「ハピナ名掛丁入り口」に向かいました。

 いない_| ̄|○

 ちょ、これ、難易度高いですよ。リアルオリエンテーリング。

 そして、僕がどうしたかというと、

 諦めました。

 もう、今日は『咲-Saki-』1〜5巻を買えたので、それでいいじゃないかと。(←近所の本屋には売ってないのです)

 しかし、そこで閃きました。

 ここから一人キバヤシです。

 「待て、『マクドナルド』ではなく、『マクドナルド付近』というのがこの暗号のキモだ。だとするならば、今回も、『名掛丁』ではなく、『名掛丁入り口』という所に意味があるんじゃないか?」

 「ど、どういうことですか、キバヤシさん? 入り口はもうチェックしたじゃないですか。どこにも、本を売っているホームレスの人なんかいないじゃないですか?」

 「いや、俺たちが探している今号の『ザ・ビッグイシュー』掲載の両澤さんインタビューの見出し、ホームページには何と掲載されていた?」

 「『絶対的正義なんてあるのか? 考えて生まれた『機動戦士ガンダムSEED』』ですけど……、ハ!まさか!」

 「そう、絶対的な正義なんてない、正義なんて相対的なものだ。つまり……」

 「つまり……」

 「『入り口』と『出口』も相対的なもの、つまり、俺たちが『入り口』だと思って探していた場所は、相手からしたら『出口』だったんだよ!

 「な、なんだってー!!!」

 ふう。

 という感じで、本当の(というか「ザ・ビッグイシュー」のホームページ作った人的な)『入り口』の方まで歩いていってみたら、発見できました。「ザ・イシュー」という旗が近くに立てかけてあったので、『名掛丁入り口』の概念の場所までたどり着ければ、あとは結構分かりやすかったです。

 むちゃくちゃ丁寧にお辞儀して「ありがとうございます!」って言われて、すごい社交性高そうな方でしたよ。こうして、引きこもりとホームレスの間に金銭的なやりとりがなされ、不況不況と言われる今の日本に、一つの経済活動が生まれたのであった……。こ、これは美談なのか!

 ◇

 次号が、両澤さん繋がりで西川貴教さんインタビューということで、次号も買いにこようかな。た、たぶん次回はもっとすんなり買えるだろう。

 他にも『もやしもん』の作者の方のインタビューがあったり、わりとSEEDファンというのを抜きにしても漫画・アニメ好きにはお得な号になってますので、気合いがある方は、ホームページを参照に探してみて下さい。

 ではでは!

P.S.しかし、SEED_Club_Mobileオンリー告知(僕の知る限り)で、上述のような入手難度の高さというゲリラ感。辿り着けただけで、一SEEDファンとして何だか誇らしいぜ……。

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