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涼宮ハルヒの動揺 (角川スニーカー文庫)  今回は涼宮ハルヒシリーズ6冊目となる『涼宮ハルヒの動揺』の感想です。
 ネタバレ感想につき、アニメ版でタイムリーに楽しんでる方はご注意を。
 ◇

 短編五つからなる一冊。以下、編ごとの感想です。

●ライブアライブ

 伝説の京都アニメーション版ハルヒ第12話「ライブアライブ」の原作です。だいたい書きたいことは書いているのでアニメ版の時の感想へリンクを張って終わりにしてみるテスト。

 プラスすると、「雪山症候群」で閉じ込められた館の中で、ハルヒがキョンに昔から大勢の人が選ぶ道とは違う道を選んできた……みたいに述懐する下りがあるのですが、そういった、その他大勢と相容れなかったハルヒが、学園祭の講堂の演奏という空間を通して、その他大勢と相容れてしまう。そんな自分の変化にハルヒ自身が戸惑っている、というお話。古泉曰く閉鎖空間も発生しなくなっている時期ということで、ハルヒの「憂鬱」が晴れてきてる感じなんでしょうね。

●朝比奈ミクルの冒険 Episode00

 こちらも2006年に騒然となった、まさか初っぱながコレというアニメ版第0話の原作。いきなりこれを初っぱなに持ってきて初見の人の「なんじゃコリャ感」を煽って、原作既読組も含めた口コミを誘導したアニメハルヒの広報の手腕には恐れ入ります。

 本編もなんじゃコリャな内容。原作ハルヒ自体が、「スタンダードな物語の類型を谷川先生が『あえて』リファインしてメタネタにしてる」という話をよくやるんですが、スタンダードな話も、リファインがショボいと本当「なんじゃコリャ」になるよね、というのをさらにメタに読者は笑い話として受け取るという、言葉にすると読解難度(笑)が高そうな作品。

●ヒトメボレLOVER

 長門に一目惚れした中河くんだったのだけど、実は長門個人ではなく、長門の向こう側の情報統合思念体にアクセスしてしまっていたがゆえの「恋」という錯覚だったという結構切ない短編。

 最後の長門さんの心情を察するに、やはり個人を見て貰えない悲しさというのはわりと一般的に理解できる。情報統合思念体までいかなくても、背後にある肩書きや権威に惚れているだけで、別に個人を見ていた訳じゃない恋の錯覚という悲劇は、現実にもままあるので。

 まあ、中河くんは残念ながら長門さんじゃなくて情報統合思念体を見ていた訳だけど、「消失」では特にキョンが、あと「雪山症候群」では古泉なんかが情報統合思念体を敵に回したとしても長門さん個人を……みたいなことを言ってくれているので、逆にちゃんと長門個人を見てくれている仲間もいるんだという部分が救いになってはいるのですが。

●猫はどこに行った?

 「雪山症候群」アフターの、古泉が用意したミステリイベントを描いた短編。

 ハルヒと鶴谷さんがノリノリで大変楽しかった。めちゃくちゃ意気投合してるし。

 そして、時間にフォーカスしたアリバイトリックなのに、時間が専門のみくるちゃんがまるで役に立ってないのが面白かった。

●朝比奈みくるの憂鬱

 みくるちゃんとキョンが、みくるちゃんサイド上層部の思惑のまま、ある少年を助けるという、続く長編への前フリ的な短編。少年が何者なのかなどは、ハルヒが時々勉強を教えている少年、みくるちゃんの未来にとって重要な存在程度しか明かされず、大部分は続きへとキラーパス。

 この話自体では、ロースペックな自分にセルフイメージを下げるみくるちゃんがメインで描かれています。キョンが伝えたくても伝えられなかった、ロースペックでコスプレ要員にしかならない今のみくるちゃんがいて、だけどそれが大人朝比奈さんに繋がっていく。全てに意味はあるんだという部分は良かったな。やはり、やがて終わりが来るSOS団の時間でも、意味はある。なかったことにしてはいけない、というのは、ずっと続いているハルヒシリーズのキー。

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