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涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)  今回は涼宮ハルヒシリーズ7冊目となる『涼宮ハルヒの陰謀』の感想です。
 ネタバレ感想につき、アニメ版でタイムリーに楽しんでる方はご注意を。
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 これは凄いですね。僕が本格的なタイムトラベルSFを初体験したのって岩本隆雄小説なんですが、初めて岩本隆雄を読んだ時のようにページを捲る手が止まらなかったです。ライトノベルに分類されるであろう作品とはいえ400ページ超えの文庫を1日で読んだのは久しぶりかも。この密度/作り込みで長編書いているのだとしたら、谷川先生もハルヒシリーズと言えど数を連発できないのは分かる。ちょうど岩本隆雄がめったに作品出さない感じで。

 シリーズ中初めて同格の「敵」が出てきた時点でテンション高い話なんですが、みくるちゃん(みちる)が誘拐されてからの展開のギアの上がりっぷりは異常。近刊+今巻序盤で、長門や古泉が徐々に所属している情報統合思念体や機関から独立しはじめて、SOS団に帰属意識を持ち始めている所が描写されていたこともあり、躊躇わず古泉が協力してくれる所が熱い。ハルヒの観察者でありながらも、長門、みくるちゃん、古泉は所属先の違いからお互い牽制し合わないといけない立場だったりして、シリーズの最初の方ではみくるちゃんと古泉の意見の相違なんかも描かれているのに、物語もここまできて、古泉は躊躇わずにみくるちゃんを助けるという。キョン本人も『消失』で今のSOS団を守ると覚悟完了してるので、新しく現れた外部の敵に対しての結束が強まっている感じ。

 あとはタイムトラベルもののお約束でもある「未来改変/過去改変」の功罪についても描かれているのですが、本編を通して大人朝比奈さんの指示にキョンは従いながらも(未来の方が優位)、ポイントポイントで長門が未来長門ととの同期を拒否したり(未来を知ることの否定)、鶴谷山の岩の件に関してだけキョンが大人朝比奈さんの意図を無視しようとしたり(未来優位だけじゃやだぜという感じ)、結局最後にみくるちゃんを八日前に送る時に、キョンは過去の自分に何もメッセージを伝えなかったりと(過去の自分の選択に任せる)、定番の「未来を切り開くのは今の選択」ネタが入っているのね。

 そんな感じで、大人朝比奈さんが望む未来、新たな敵が望む未来、キョン自身が望む未来と拮抗する感じで、『消失』でも描かれていた「世界の選択」ネタが続いている感じでした。

 いやー、面白かった。『消失』が傑作と言うのは良く言われることですが、この『陰謀』も中々。関係無いけど『鵺姫真話』とか岩本隆雄も読み返したくなったなー。

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